再開発が進む渋谷駅周辺を歩いてみました!
渋谷は「谷」という文字が付くことがわかるように、谷底のような場所に駅があるエリアで、坂道が多いうえ、駅の周りでは国道246号線や明治通り、JRや東急の線路など、いろいろな人工物が歩行者の行く手を遮っていました。“かつての若者”の皆様の中には、「渋谷にはよく行ったけれど、桜丘ってどこ?」という方も多いのでは?
その渋谷がいま、大きな変貌を遂げています。銀座線ホームの移動や「ヒカリエ」の開業、「東急プラザビル」の解体、「スクランブルスクエア」の一部開業などは大きなニュースにもなったので、知っている方が多いと思いますが、ほかにもたくさんの変化が起きています。今回はそんな「新しい渋谷」の街並みの中から、とくに「渋谷」駅以南のエリアに注目して散策してみました。さて、どんな景色が広がっているのでしょうか。
まずは、2019(令和元)年11月に開業した新たな渋谷のシンボル「渋谷スクランブルスクエア東棟」の周辺から見てみましょう。このビルはその名のとおり、渋谷のスクランブル交差点を橋上に造ったような動線を持っていて、駅から地上に降り立つことなく、いろいろな方面に出ることができるようになっています。明治通りをまたぐデッキを通れば「ヒカリエ」に、国道246号線をまたぐデッキを通れば、2018(平成30)年秋に開業した「渋谷ストリーム」に、あっという間に到着できてしまいます。しかも、雨に濡れることもありません。かつての渋谷と比較したら、信じられないほど便利になっていました!
「渋谷スクランブルスクエア東棟」の2階からは、歩道橋の橋上にも直接出ることができます。新しくなった歩道橋は、かつてのオンボロ歩道橋とはけた違いの広さで快適。歩道橋を渡って国道246号線の反対側に行くと、こちらからも「渋谷ストリーム」に入ることができます。入り口はガラス張りで特徴的な形をしていますが、実はこの部分は、新しくできた「渋谷」駅C2出口にも接続されていて、エスカレーターとエレベーターがホーム階まで伸びています。
今回の再開発では、こういった「アーバンコア」という吹き抜けがあちこちに作られて、それが複数のフロアや、屋内と屋外を行き来するための回遊拠点になっているのだとか。昔の渋谷は階段だらけで、「バリアフリー」という言葉とは無縁の街でしたが、今後は「あらゆる世代の人にやさしい街」になりそうです。
C2出口のコアからふたたび地上に降り立つと、かつて「山下書店」という名物書店があった辺りに、渋谷川を見渡す広場ができていました。ここは「稲荷橋広場」という広場で、そこから少し下流に行ったところにも、「金王橋広場」という似たような広場がありました。ここから渋谷川に沿って、昔の東急東横線跡を利用した遊歩道が作られていて、「渋谷川リバーストリート」という新名所になっています。隣駅の「代官山」駅の近くまで、600メートルも続いているそうですよ。
エスカレーターで地下まで直結!
今回は「渋谷川リバーストリート」を途中まで歩いてみました。かつては東急東横線の線路が川の上を通っていて、ほとんど日の目を見ることが無かった渋谷川ですが、今ではとっても気持ちのいい散歩道になっています。ふたつの広場を経て並木橋の交差点を渡ると、その先は少しまったりした雰囲気に。広場やベンチがあったり、河津桜が咲いていたり、陸橋の跡が保存されていたり、レールのモチーフが隠されていたりと、いろんな発見がありました。途中のカーブがきつい辺りには「渋谷ブリッジ」という建物ができて、お店や会社、保育所などが入っていました。
駅前の開発はどちらかと言うと「外向け」のお店や施設が多い感じでしたが、駅から南の代官山にかけてのエリアは、ここで働く人々や、代官山や恵比寿に暮らしている人々のための店や施設という印象でしたよ。
昼時になるとキッチンカーが並びます
続いては、「渋谷」駅まで一旦戻って、現在基礎工事の真っ最中の「桜丘」エリアを見てきました。昔の桜丘は国道246号を歩道橋に上って、下りて、という作業が必要な地区で、ここで働く人以外はあまり足を伸ばさないエリアでしたが、今回の開発では桜丘エリアも大部分が区画整理されて、新しく生まれ変わります。以前がわりと地味な場所だっただけに、このインパクトは大きいですね!
詳しいことはまだ発表されていませんが、こちら側にも「渋谷スクランブルスクエア」と同じくらいの、大きなビルが建つ計画があるとか。さらに、「渋谷ストリーム」などのほかの渋谷エリアとバリアフリーで結ばれ、「渋谷」駅には「桜丘改札」という新改札もできて、歩行者の接続が大改善されるそうです!完成予定の2023(令和5)年が楽しみですね!!
2019(令和元)年の秋から工事がスタート
線路沿いは現在絶賛工事中!
工事が始まっていない桜丘のほかのエリアも、2023(令和5)年の1期工事が終わってから開発に着手されることが決まっているとか。開発のコードネームは「ネクスト渋谷桜丘地区」と言うそうで、なんだかカッコいいですね!桜丘地区といえば、シンボルとなっているのが桜並木の「さくら通り」ですが、この左右にあるビルや雑居建物群が、近代的なビルに建て替えられるそうです。今は高い建物と言えば「セルリアンタワー」と「インフォスタワー」だけですが、数年後には、この地区の風景も様変わりしているのでしょうね。
並木の左右も開発予定地に
さて、最後にふたたび「渋谷」駅前に戻ってきました。かつて「東急プラザビル」があった場所には、2019(令和元)年12月に「渋谷フクラス」という18階建てのビルが開業して、すでにお店や会社が入りつつありましたよ。ここの2階から8階と、17、18階には「東急プラザ」も復活したようで、若者だけではなく、お年寄りの姿もけっこう見られました。
このビルの一角にも「アーバンコア」が作られていて、地上や歩道橋フロアをはじめ、各階をバリアフリーで結んでいました。さらに今後、渋谷駅に伸びる「道玄坂デッキ」が完成すれば、雨に濡れることなく、JR「渋谷」駅方面との行き来ができるようになるそうです。楽しみですね!
「東急プラザ」だったビルも新ビルに!
連絡デッキは現在建設中
今回は2018(平成30)年から2019(令和元)年に完成した「渋谷」駅周辺の施設を中心に見て回りましたが、渋谷の再開発事業はまだまだ継続中です。「渋谷フクラス」から駅側を見ると、正面には東急東横店の建物がぽつんと残されている様子が見えますが、ここの営業も2020(令和2)年の3月まで。その跡地には「渋谷スクランブルスクエア」の中央棟と西棟が建てられる予定です。
ほかの地区でも、2019(令和元)年に「渋谷ソラスタ」や「渋谷PARCO」がすでに開業していますし、2020(令和2)年の春には、新しくなった宮下公園もオープンする予定です。ここには書ききれないくらい、ワクワクするような話題が目白押しの渋谷。まだまだこれから数年間は、「訪れるたびに景色が変わる渋谷」に出会えるはずです。みなさんもぜひ、新しい渋谷を見に出かけてみてください!
再開発が進む渋谷駅周辺を歩いてみました!
所在地:東京都渋谷区