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日野市立旭が丘小学校 猿田恵一校長先生 インタビュー

日本一の学校林を擁する「日野市立旭が丘小学校」が育む、子どもたちの「ワクワクする気持ち」

土方歳三の生誕地として有名な日野市。豊田・旭が丘地区は大学などの教育機関、大手企業の工場など様々な地域資源が存在する魅力的なエリアだ。童謡「たき火」の作曲家・巽聖歌氏が晩年を旭が丘で過ごしたことから、地域の人々が集う「たき火祭り」も毎年行われている。日本一の学校林を擁する「日野市立旭が丘小学校」は、「みんなの笑顔が輝く学校」「地域の風が行き交う学校」を目指して日々の教育活動を行なっているという。そんな旭が丘小学校の猿田恵一校長先生に学校のことから地域のことまで、お話を伺った。

日本一の学校林を擁する「日野市立旭が丘小学校」が育む、子どもたちの「ワクワクする気持ち」と「自主的な学び」

日野市立旭が丘小学校
日野市立旭が丘小学校

――小学校の沿革についてお教えください

猿田先生:本校は「日野第六小学校」と「滝合小学校」の児童増加に伴い、日野市内18番目の小学校として1977(昭和52)年に開校しました。現在、各学年3クラスずつの児童数を維持しており、合計547名の子どもたちが元気に通っています。教職員も元気のある若手の先生とベテランの先生の構成比のバランスがよく、コミュニケーションもよく取り合っています。 日野市が掲げている「いのち・まなび・地域」の3つの視点の教育には、特に力を入れています。子どもたちが日々やり遂げた喜びを感じ、明日もまたがんばろうと思えるような「みんなの笑顔が輝く学校」、そして地域や保護者の方々と心が通い合う「地域の風が行き交う学校」を目指して、日々の教育活動に邁進しています。

「いのち・まなび・地域」の3つの視点の教育
「いのち・まなび・地域」の3つの視点の教育

――「いのち・まなび・地域」の視点で行なっている教育活動があればお教えください

猿田先生:“命の大切さを考える”ことをテーマにした「いのちのプロジェクト」を行なっています。今年度の講演会は、本校の養護教諭が大学病院の小児集中治療センター(NICU)の看護師として働いた経験があり、小さな命と長らく関わってきていたことから、知人の助産師さんにも声をかけてもらい「いのちの現場から」という話をしていただきました。助産師さんからは「気が遠くなるような奇跡が重なって人は生まれ育っている」という話や、養護教諭からは掌に乗るくらいの小さな体で生まれてきた赤ちゃんをお世話した体験などを写真を交えて話してもらい、保護者の方々にも参加してもらいました。お母さんたちは自分たちの出産体験と重なるようで、皆さん涙を流しながら聞いていらっしゃいました。感想も書いてもらいましたが、子どもたちからも「改めて命を大事にしたいと思った」「生きたいのに生きられない赤ちゃんの分も生きていきたい」という感想が寄せられ、子どもたちの心に届いた講演会になったと実感しました。

子どものワクワクを引き出すには、先生たちがまずワクワクすること

―― 日々子どもたちと接するうえで、心がけていらっしゃることなどはありますか?

猿田先生:私はよく先生方に、「なぜ先生をやっているのか?」という疑問を投げかけます。教職員なら誰しも「子どもがワクワクしている姿を見たいから」「子どもの目がキラキラ輝く瞬間に立ち会いたいから」という答えが返ってくると思います。それならば、自分たちがもっといろいろなことに興味を持って、子どもより先にワクワクしなくてはいけない。 私は子どもの頃、ありとあらゆることに「これってどうなってるんだろう」って疑問を持っていました。それが全ての根源です。だからこそ今の子どもたちが「不思議に思っていること」を、何より大切にしたいと思っています。 子どもたちが自ら主体的に学ぶこと、途中で投げ出さずに最後までやり遂げること、諦めずに探求していくこと。それらはらせん状に上へ上へと伸びて、その先の学びにつながっていくことです。そのために全教職員が対話し、交流し、協力・協働していくことが重要であり、それを日々共有しています。

先生方の心がけ
先生方の心がけ

「地域の風が行き交う場」で育つ子どもたち

――「地域」の方々との連携も強いとお聞きしました

猿田先生:本校の合唱団は「NHK全国学校音楽コンクール地区大会」で銀賞を獲るなど非常に精力的に活動を行っています。その児童たちが視覚障害者の方々の施設「光の家」や「日野市立病院」、老人福祉施設、大型商業施設など地域の方々の前で歌を披露する機会を増やしています。歌を聞いていただくだけでなく、「光の家」のバンドとのコラボレーションで歌ったり、毎年3月末の「花びらコンサート」には近隣の方々を学校にご招待したりもしています。病院ホールでのコンサートでは入院患者さんたちが涙を流して喜んでくださいました。こんな風に子どもたちの歌声で地域の方々に喜んでいただき、歌声で交流をするのは、子どもたちにとっても地域の方々にとっても楽しく幸せなことだと思います。 また、本校がある旭が丘は、童謡「たき火」の作詞家である巽聖歌氏が晩年を暮らした地でもあります。歌にちなんだ「たき火祭」という地元のお祭りがあり、本校の1~2年生が旭が丘商工連のご協力を得て、育てたさつまいもを地域の方々にお配りしたり、練習した“イモイモ音頭”を披露しています。

校内の様子
校内の様子

――旭が丘地区は地域資源が豊富だそうですね

猿田先生:私は毎朝、子どもたちと“グータッチ”をするために校門に立つんですが、そのお陰ですぐ近くにある「都立八王子東高校」の生徒たちとも顔見知りになりました。なかなかしっかりした子が多くて、楽器を背に自転車通学する姿なども見かけたので、本校での演奏に気軽な気持ちで誘ってみたんです。すると顧問の先生に話をしてくれたようで、2019年の3月10日には、高校のブラスバンド部と本校の合唱部のコラボ演奏会が実現することになりました。小学校が地域の高校と交流するというのは珍しく、私も非常に楽しみにしています。 また旭が丘地区には「株式会社カネコ」という企業があります。鉄道保守のための計測機器を日本で初めて作った会社で、今年度は5年生が社会科見学に行かせていただきました。これ以外にも大企業の工場や事業所などが多く、「トッパン・フォームズ」にも社会科見学に行かせていただいたりお世話になっています。子どもたちは自分たちの住む地域に、日本中で活躍している会社があることに喜びや誇りを感じたようです。また日野市は、甲州街道の宿場町として栄えた歴史のある街で、新選組の土方歳三生誕の地ということで毎年「ひの新撰組まつり」も開かれています。吾妻鏡にも登場する源氏ゆかりの「真慈悲寺」は、「京王百草園」付近にあった幻のお寺と呼ばれていて、浅草の「浅草寺」にも劣らない格式を誇ったとされています。今はもう面影もないのですが、そのミステリアスな歴史も含めて日野市の財産です。 「多摩動物公園」の成り立ちも実に面白く、日野の有志たちが土地を買い集め、東京都に寄贈したことでできたという話です。これらの旭が丘を含む七生・平山地区の地域資源や歴史を掘り起こして、「歩こう調べようふるさと七生」という本にまとめましたので、来年度以降の教育課程に組み込んでもらい、子どもたちが自分の住む街を深く知りもっと地域への愛着を感じられるようになってほしいと考えています。

――アクティブライフ研究実践校として取り組んでいることがあれば、教えてください

猿田先生:子どもたちの体力運動能力の向上を目指してはじめられた取り組み・研究で、朝や中休みの運動の奨励、持久走やなわとびなどを継続的・計画的に実施してきました。3年間で子どもたちの体力や運動能力は確実に伸びています。何より「運動が好きになった」、「体を動かすのが嫌じゃなくなった」という子どもたちが大幅に増えています。また「わからないことは友達に聞くようになった」など、子ども同士のコミュニケーションもアップしているのが嬉しいですね。 今後は運動だけでなく、生活習慣や食育の視点を加えて、子どもたちのねばり強さやあきらめない心の育成を目指して研究をより深めていこうと考えています。

敷地内にある豊かな自然・雑木林が自主的な子どもを育てる

敷地内にある「雑木林」
敷地内にある「雑木林」

――旭が丘小学校ならではの取り組みや教育活動は、どのようなことでしょうか

猿田先生:本校の大きな特徴は敷地内に「雑木林」があることで、実は日本一の規模を誇る学校林です。この自然環境を活かした体験授業や活動に力を入れていることが、本校ならではの取り組みだと思います。例えば自然観察や写生会のほか、理科学習の素材を採取したり、枝や落ち葉を利用した創作活動をしたり、生きた題材として役に立っています。 蜂が活発な季節などの立ち入り禁止時期を除いては、基本的に子どもたちは自由に入って遊んだり自然観察をしています。虫かごや飼育ケースを自宅から持ち込んで校内の雑木林で虫たちを採取したり、カブトムシやクワガタを育てているというのも本校ならではの活動です。子どもたちは樹木や植物の名前、虫の名前もよく知っています。本から学ぶ知識より、経験や実体験から自主的に学んだことは本当の意味で身についた知識といえるでしょう。 また雑木林の奥にはブロックで作ったかまどが設置してあり、そこで煮炊きすることもあります。傾斜が急な雑木林での遊びやかまどでの活動を通して、自然の中でもしっかり生き抜ける力がついているのではないでしょうか。

敷地内にある「雑木林」
敷地内にある「雑木林」

――この地域の子育て環境の魅力について教えてください

猿田先生:旭が丘地区には公立・私立の保育園や幼稚園、小中高校、大学と子育て教育施設が集まっているほか、産科医院から総合病院、小児科クリニックなど医療機関も充実しているので、ファミリーで暮らしていくには非常に安心だと思います。 また公園も多く自然も豊かで、少し行けば浅川という川の河原も広がっていて、開放感ある環境となっています。道路や歩道も広々としていて、ベビーカーを押しながらでも安全に歩けるのではないでしょうか。私自身も日野市で生まれ育っているのですが、地域の方々も温かくて、とにかく伸びやかな土地柄ですから子育てはとてもしやすいと思います。 それに隣の立川市や八王子市まで行ってしまうといろいろなものの値段がグンと高くなりますが、日野市は便利さは変わらず、いろいろと庶民的で暮らしやすい。一度住むとなかなか出て行きたくなくなる、魅力的な街だと思います。

東京都日野市立旭が丘小学校 校長 猿田恵一先生

東京都日野市立旭が丘小学校

校長 猿田恵一先生
所在地 :東京都日野市旭が丘5-21-1
電話番号:042-583-3733
URL:http://www.e-asahigaoka.hino-tky.ed.jp
※この情報は2019(平成30)年1月時点のものです。

日本一の学校林を擁する「日野市立旭が丘小学校」が育む、子どもたちの「ワクワクする気持ち」
所在地:東京都日野市旭が丘5-21-1 
電話番号:042-583-3733
https://www.hino-tky.ed.jp/e-asahigaoka/

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