2015年秋、桜上水駅のわずか新宿側の線路沿いに、ひときわ目を引く外観で大々的にオープンした「RICO DE KITCHEN（リコデキッチン）」。ここはサブタイトルに「カフェ＆ビアー」とある通り、カフェでありつつも種類豊富なビールも揃えた、バルスタイルのお店。取材に訪れたのは開店から半年も経たない頃だったが、すでに多くの常連さんを抱える人気店になっているようだった。

この店を経営しているのは、回転寿司「まぐろ人」や、居酒屋「豊年満作」「きちんと」「しげぞう」など、首都圏の回転寿司や居酒屋を中心に、100店舗以上の飲食店を手がけている「株式会社ティーケーエス」。隣駅の下高井戸に本社と旗艦店を持ち、桜上水にも「福ちゃんでワッショイ」「餃子でワッショイ」という居酒屋を営んでいる。その人気居酒屋グループが、初めてのカフェ業態として出したのがこの店ということだ。

アクセスは、駅の北口から徒歩1分ほど。わずかな距離ながら、すでに住宅街になっているエリアなので時間の流れはゆったりしている。電車から見える外観も十分に個性的で目を引くが、店内はさらに個性的だ。この店のためだけにデザインされた樽のオブジェが壁のように積まれ、天井には花のデコレーションが施され、ビール瓶がシャンデリアになっている。実は、この内装は女子美術大学の学生さん達の手によって作られたもの。女子大生ならではの突き抜けたセンスが、ほかには無い店の雰囲気を形作っている。

この店は昼夜でメニューが変わり、昼のメニューはランチセットのみ。近隣に住む女性客や大学生などが大半を占め、千円以下で楽しめるセットメニューを楽しんでいく。ハンバーグ、鍋焼きカレー、ロコモコ、ビーフシチュー、カオマンガイ（海南鶏飯）、日替わりなど色々な選択肢があり、価格はドリンク付きで税込780円からというお手軽プライスだ。もちろんビールのオーダーもできるし、コーヒー1杯で訪れても大丈夫。線路に面したテラス席もあり、音が気にならなければこちらも気持ちよさそうだ。

昼のコストパフォーマンスも魅力だが、この店が本領を発揮するのはやはり夜。夜は客層も変わり、女性客中心ながら少しアダルトになる。40種類以上ある世界各国の瓶ビールから好みのものをチョイスし、そこにおつまみ的な一品料理を合わせて楽しむのが、この店の定番スタイル。ビールは特に世界のどこの地域というわけではなく、世界中から選りすぐったものだけを置いているので、ビールで世界旅行気分を味わえてしまう。国産生ビールとグラスワインの飲み放題がわずか1,250円（税抜）で付けられるのも、居酒屋系列ならでは魅力だろう。

合わせる一品料理で人気が高いのは、クセが強めの海外ビールに合わせた、クセの強いおつまみ料理。中でも「牛肉とパクチーの冷菜」は圧巻の山盛りパクチーの下に、スライスされたされたローストビーフが眠っており、それをニンニクが効いたタレで絡めて頂くというもの。疲れた身体にも効きそうな一品だ。このほか、自家製しているというピクルスや、定番のチーズ系おつまみ、「ダンボ」という巨大なパイ生地ベースのオリジナルスイーツも人気が高いそうだ。

桜上水エリアにはこれまであまりこの手のカフェやバルは無かったので、駅から近い場所に、席数も十分なこういう店がオープンしたことは、それだけでも注目度が高い。もちろん、世界のビールを味わいたいのであれば他駅から足を運ぶ価値もあるだろうし、地元の人が、家に着く前に「ちょっと一杯」と立ち寄るにも、格好のスペースだ。また、この個性的な空間は入るだけで“異次元”感を楽しむことができる。ちょっと気分転換してから家に帰りたい時、女子同士で集まってワイワイ飲みたい時などに、活用してみたい店である。

RICO DE KITCHEN（リコ デ キッチン）
所在地：東京都世田谷区桜上水4-16-11 J’sコート桜上水1F
電話番号：03-6379-9903
営業時間：11:30～15:00（14:00LO)、17:00～24:00（23:00LO）
定休日：無休
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