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東京ゲストハウス toco.

いつでも、誰でも戻れる故郷のようなゲストハウスを目指して

下町の風情を色濃く残した街、入谷では、近年よく見かける外国人旅行者がいる。彼らはゲストハウス「toco.(トコ)」のお客さんだ。“あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を”と掲げる「toco.」には、世界中からゲストが集う。施設内にはバーラウンジも併設され、世界中からやって来た宿泊客と地域住民とが会話に花を咲かせている。

そんな「toco.」を手がけるは「株式会社Backpackers’ Japan」。気の合う4人の仲間が20代で起業し、この入谷を1号店に、現在では東京の蔵前、京都の河原町にもゲストハウスを立ち上げ人気を集めている。今回は、「Backpackers’ Japan」の創設メンバーの一人である、宮嶌智子さんに「toco.」の魅力や周辺の街のことなどを伺った。

株式会社Backpackers’ Japan
執行責任者 宮嶌智子さん

人が集まる場所を作りたい!

Q.「toco.」誕生のきかっけや、開業までの経緯を教えてください。

発端は、弊社の代表である本間貴裕が「何かを一緒にやろう」と呼びかけたのに対し、私を含む仲間が3人が集まったことがきっかけです。「人が集まる場所を作りたい」という本間の想いもあり、ゲストハウスを始めることに決めました。その後、4人で共同生活を始め、資金集めのため鯛焼き屋で働きました。

私自身は声をかけられたとき、大学卒業後で既に就職をして働いていたので、仕事を辞めることには抵抗がありましたし、周りと同じような社会人ではなくなることに漠然とした不安を感じていました。ただ反対に、その時は社会人1年目だったので、「起業することがどういうことなのか」、「会社員として続けることがどういうことなのか」をはっきりと理解できていなかったこともあり、2つの選択肢を天秤に掛けて考えられたこともよかったと思います。

「株式会社Backpackers' Japan」執行責任者 宮嶌智子さん
「株式会社Backpackers' Japan」執行責任者 宮嶌智子さん
東京ゲストハウス toco.
東京ゲストハウス toco.

築90年の古民家をリノベーション

Q.この場所との出会いや、選ぶ決め手となった点について教えてください。

世界にはどんなゲストハウスがあるのかを知るために世界一周をしたり、日本中のゲストハウスを巡りました。その後、物件探しを始めて、この場所に出会いました。築90年にもなるこの古民家は、母屋が道路に面していないこともあり、近所の方も知らないほど珍しい物件でした。ゲストハウスを開く上である程度の大きさは欲しかったので、この古民家に出会った瞬間、即ここで始めようと決めました。

築90年以上の古民家をリノベーション
築90年以上の古民家をリノベーション
昔ながらの日本家屋の造り
昔ながらの日本家屋の造り
懐かしい縁側やふすま扉
懐かしい縁側やふすま扉
庭

街に開かれた場所でありたい

Q.“あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を”を理念とされていますが、実際にどのような交流が生まれているのでしょうか。

「toco.」は、“街に開かれた場所”でありたいと思っています。ここに宿泊していない方や近所の方も来て頂くことができます。実際、近所のおじいちゃんが毎日のように仕事前に炭酸水だけを飲みに来てくれたり、夜には帰宅前の休憩がてら、toco.のバーで一杯飲んで帰るというような常連さんもいますね。季節によっては、流しそうめんやお花見、ハロウィン、クリスマスパーティなどのイベントも開催しているので、小さなお子さんがやって来ることも多いんです。

日中のチェックインカウンターが、夜はバーカウンターに。toco.スタッフが笑顔で迎えてくれる。
日中のチェックインカウンターが、夜はバーカウンターに。toco.スタッフが笑顔で迎えてくれる。
自然と人が集まるtoco.のバー。スタッフもゲストも地域の人も、垣根を越えて和気あいあいと話が弾む。
自然と人が集まるtoco.のバー。スタッフもゲストも地域の人も、垣根を越えて和気あいあいと話が弾む。

男女問わず、色々な方がいらっしゃっいますね。広い空間ではないので、人の距離感が近く、自然と会話するタイミングが多いので、特に人と交流することが好きな方が集まっています。近所の方が飲みに来て、宿泊しているゲストに「どこから来たの?」とか、「ここがおすすめだよ」と東京のいいところを紹介したりしてくれるので、とてもいい関係性が生まれているな、と感じます。「toco.」のスタッフが紹介するスポットと、この辺りに住んでいる方が紹介するスポットでは全然違うと思うんです。そんな会話を通してゲスト同士が仲良くなって、一緒に築地や相撲を見に行く、なんてこともよくありますよ。

toco.のバーに並ぶお酒
toco.のバーに並ぶお酒
ほどよい距離感で育まれる会話
ほどよい距離感で育まれる会話

空きスペースを有効活用して展示やワークショップを開催

Q.「トコ展」などのイベントについても教えてください。

「toco.」のスペースの一部には、日中は使用していないスペースがあります。その空間を有効活用するために、作家さんの展示を始めました。出展者は知合いにお願いをしたり、他で開催している展示会を見に行って素敵だなと思った作家さんに連絡をしたりなど、その出会いはさまざまです。

ワークショップの企画は主催する作家さんもゲストの方々と交流できるので、とても楽しそうですね。色々とお話をしながら和気あいあいとした雰囲気で行っています。これまでに、「小さじ作り」や、シルクスクリーンでオリジナルプリントを刷ったり、真鍮でブレスレットやリングを作ったりなどしました。これからもこのようなイベントを通して、より多くの方に来て頂くきっかけを作っていきたいと思っています。

スペースを活用し、さまざまな作家の作品を紹介する「トコ展」
スペースを活用し、さまざまな作家の作品を紹介する「トコ展」
お気に入りの作品に出会えるかも。
お気に入りの作品に出会えるかも。
真鍮でアクセサリーを作るワークショップ。参加者も真剣な眼差し。
真鍮でアクセサリーを作るワークショップ。参加者も真剣な眼差し。
シルクスクリーンを使用したオリジナルプリント。目の前で行われる作品作りに興味津々。
シルクスクリーンを使用したオリジナルプリント。目の前で行われる作品作りに興味津々。
個性豊かな作品で、空間も華やかになる。
個性豊かな作品で、空間も華やかになる。

誰もが帰ってこれる故郷にしたい

Q.「toco.」をやっていて良かったと思う瞬間はどのような時ですか。

ゲストがまた帰って来てくれることですね。1年後、2年後にまた帰ってきてくれて、仲良くなったスタッフと再会する瞬間を見れた時は嬉しいですね。「宿」というのは、“そこにあり続ける”という役割が大事だと思っているので、「東京に来たら、またここに泊まろう」と、いつでも誰でも戻って来れる場所であり続けたいと思っています。

誰もが帰ってこれる故郷のような場所
誰もが帰ってこれる故郷のような場所
さまざまな人の心が集まる
さまざまな人の心が集まる

Q.今後どんな場所にしていきたいか、夢や展望はございますか?

現在、3店舗運営しているのですが、その中でも「toco.」は一番小さい宿なんです。これから、店舗数を増やしたとしても、一番小さな宿であり続けると思います。かつ私たちが一番最初にスタートした場所という意味でも、とても大切なので、始めた思いやこういう宿でありたいというものをきちんと持ち続けていたいと思いますね。“「toco.」は「toco.」であり続けたい”、ゲストを迎え入れ続けたいなと思っています。

東京の自然体な生活風景がある街

Q.「toco.」での関わりを通じて、この街はどんな場所だと感じますか?

この辺りに、外国人が来る場所があまりないんですね。なので地域の方にとっては「何でこんなに外国人がいるんだろう」と始めた当初は、疑問に思う方もいらっしゃったと思います。そんな環境も、開業から5年後には外国人が歩いていると「ああ、toco.さんのお客さんね」と、街の方がゲストハウスまで案内してくれるんです。それは本当にありがたいと思っています。

始めてからも、「若い人が頑張ってやっているのね」と街の方々は見守ってくれていましたし、若者が来ることに対して、とても歓迎してくれました。この街には、受け入れてくれる雰囲気や空気感はすごくあると思います。

すっかり地域に溶け込んだ「toco.」
すっかり地域に溶け込んだ「toco.」
ここを拠点に東京に繰り出そう
ここを拠点に東京に繰り出そう
戻ってくるとホッとできる空間
戻ってくるとホッとできる空間

Q.入谷や周囲のおすすめの場所や、この街ならではの魅力を教えてください。

私は「イリヤプラスカフェ」さんと、夜は「オオイリヤ」さんによく行きますね。「イリヤプラスカフェ」さんとは開業当初から仲良くさせてもらっています。「オオイリヤ」さんは近くに最近できたお店ですが、ご飯がとてもおいしいんです。うちのスタッフも含め、「オオイリヤ」さんでご飯食べてから「toco.」に戻って飲むということもあったりして、より入谷の街を回遊できるようになったと思います。

この辺りは、上野や浅草とは全然違うと思うんですよね。観光地では無いですが、落ち着く街だと思います。生活するエリアなので、銭湯に行くためにおじいちゃんが桶を持って歩いているというような、普通の東京の景色があるんですよ。そういうあまり力が入っていない感じがいいなと感じています。
もちろん魅力的なお店などもたくさんありますし、この街に来るきっかけ作りを私たちなりの方法で続けられたらいいなと思っています!

宮嶌さんの自然体の笑顔からも伝わってくるこの街の魅力は、ズバリ「力を入れずにいられる場所」。
宮嶌さんの自然体の笑顔からも伝わってくるこの街の魅力は、ズバリ「力を入れずにいられる場所」。
宮嶌さんおすすめの「イリヤプラスカフェ」
宮嶌さんおすすめの「イリヤプラスカフェ」
「入谷」駅から様々な場所へアクセスも便利
「入谷」駅から様々な場所へアクセスも便利

今回、話を聞いた人

株式会社Backpackers’ Japan

執行責任者 宮嶌智子さん

東京ゲストハウス toco.
所在地:東京都台東区下谷2-13-21 
電話番号:03-6458-1686
バー営業時間:19:00~24:00(L.O.23:30)
http://backpackersjapan.co.jp/




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