小田原おでん本店
初回の訪問であれば、まず注文したいのは写真の「おまかせ五品」だ。この日は「だいこん」(本店オリジナル)、「地あじ雑魚ちくわ」(杉兼)、「地鶏入揚げつくね」(肉の高橋)、「白はんぺん」(うろこき)、「えび天」(丸う)の5品が盛られた。いずれも地元の商店が丹精込めた品々で、噛むほどにじんわりと魚の香りが染み出してくる。大根は冬限定の種だそうだが、特注栽培した大根に社外秘の下ごしらえを施し、他の店では味わえない繊細な舌触りを堪能させてくれる。もちろん5品ばかりでは少々物足りないので、その後は好みを探りながら、1品ずつ頼んでみれば良いだろう。職人とのコミュニケーションも、この店を楽しませてくれる要素の一つだ。
おでんに添えられている3種の薬味は、小田原おでん名物の「梅みそ」と、ツンと辛いワサビと、定番のカラシ。もちろん好みで付ければ良いのだが、特に大根など汁気の多いタネには梅みそがよく合う。薄味おでんには日本酒や焼酎もよく合うので、ぜひ試してみていただきたい。
この店がユニークなのは、小田原おでんを標榜する他店では扱っていない「本店オリジナル」の品が多々あることだ。先ほどの「だいこん」もそうだが、このほか写真の「牛すじ」も本店独自のタレで煮込んだ人気の一品。独特の歯ざわりをぜひ一度試していただきたい。これ以外にも本店のみで扱う種は10種類以上もあるそうだ。
一方、各店舗で扱う“小田原おでん種”も年々増え続けているという。「しらす団子」は市民参加の「おでん種コンテスト」の第1回で最優秀賞を受賞した品で、駿河湾特産のシラス干しとネギが、すりみ団子の中心にたっぷり詰まっている。このほか「チーズロールキャベツ」「金目なると」「じゃこ天」などユニークな品が毎年2品ずつ新たに加わり、“小田原おでん”のムーブメントを盛り上げてくれている。