小田原おでん本店
江戸時代から蒲鉾の名産地として名高い小田原の地。ここの商店主らが知恵を絞り合い、「小田原名産の練り物、水産物、野菜などを使ってなにか町おこしはできないものか」と考案したのが「小田原おでん」だ。その誕生は2003(平成15)年。昨今ではテレビや雑誌などでも数々紹介され、小田原の新たなシンボルとして注目を集めている。
「小田原おでん」のルールは主に3点ある。
(1)「小田原おでん会」が選んだ小田原産のおでん種を使っていること
(2)「小田原おでん会」が薦める“梅みそ”を使っていること
(3)「小田原おでん会」とお店が協力して美味しいおでんを作ること
要約すれば、小田原名産の練り魚介製品や野菜など使った“おでん種”を「梅みそ」で美味しく食べましょう、というもので、おでん種は市内にある13の製造元がそれぞれ分担して担当し、例えば山上蒲鉾店がいわし団子、杉清商店がつみれ、下田豆腐店が厚揚げという具合に作ったものを、「小田原おでん会」加盟のおでん店や居酒屋などに卸している。現在では市民からのアイディアなども募って種の数も増え、全部で30種類ほどもあるという。数ある店の中でも、小田原おでんの本家であり、現在も最も種類豊富におでん種を扱うのがここ、「小田原おでん本店」というわけだ。
おでんの要となるのは、なんといってもダシだ。ここ「小田原おでん本店」で使われているのは、昆布とカツオから丁寧に抽出された薄味のダシで、醤油は一切使わず塩で味を調えた、いわゆる「関西風」。ダシの味だけでも美味しい具もあれば、薬味を添えて味が引き立つ具もある。東京人が食べれば最初は「薄い」と感じるかもしれないが、練り物の繊細な味や風味を感じ取るためには、この薄味のダシというのは必須条件と言えるだろう。