一人ひとりの子どもを大事にした教育に取り組む「豊橋市教育委員会」
愛知県の南東部に位置し、東三河エリアの中心都市として発展してきた豊橋市。温暖な気候に恵まれ、自然にも恵まれた同市は落ち着いて過ごせる、住みやすさがある。そこで今回は「豊橋市教育委員会」を訪ね、豊橋市の教育環境や力を入れている取り組みについて学校教育課の鈴木常浩さんからお話を伺った。
地域の特性を学びに取り入れ、特色のある学校へ
――豊橋市の教育環境の概要について教えてください。
豊橋市内には現在52校の市立小学校と22校の市立中学校があります。また、小学部から高等部まで備えた特別支援学校も1校運営しています。現在、小学校には約21,000名の児童、中学校には約10,500名の生徒が在籍しています。文部科学省が教育の目的とする「『生きる力』を育む」を根底に据えながら、「人をつなぎ、未来をつなぐ、豊橋の教育」をめざす指針として掲げ、一人ひとりの子どもを大事にした教育活動を行っています。
――豊橋市が取り組む「特色ある学校づくりの推進事業」について教えてください。
2000(平成12)年から学校独自の特色を生かした教育活動に対し、補助金を交付して活動をバックアップしています。豊橋市はすべての小・中学校がユネスコスクールに加盟しているのが特徴でもありますね。ユネスコスクールは、ユネスコの理念に沿って継続的に実践を行うユネスコ認定の学校ですが、全校加盟は全国的にも非常に珍しいと思います。このユネスコスクールは、ESD(持続可能な社会づくりを目指した教育)活動の推進拠点となっており、このことも特色ある学校づくりにつながっています。環境教育や福祉活動、栽培や飼育に取り組む学校など、各校で本当に様々な取り組みが行われていますね。
各校区に学校と地域の窓口になる地域教育ボランティアコーディネーターを置き、地域の特性を学びに取り入れることも行っています。例えば野菜づくりを学びたいというニーズがあれば、地元農家を紹介してくれたりもしますし、教育委員会でも地域の歴史、偉人などを題材にした教本を制作することもあります。地域には学びを深める題材がたくさんあるので、それを学びに取り入れることで地域への愛着も高まると思いますし、せっかくの題材が埋もれてしまわないよう、地域との連携は積極的に進めていきたいと考えています。
他地区に先駆けて英語教育をスタート
――豊橋市独自の取り組みはありますか。
英語教育は早くから力を入れて取り組んでいる活動の一つですね。豊橋市は2005(平成17)年に英語教育推進特区に認定されましたが、それ以前よりALT(外国語指導助手)やスクールアシスタントを派遣し、小学3年から中学校まで一貫した市独自のカリキュラムによる英語教育を行っています。
また、いのちを大事にする教育も独自の取り組みといえるでしょう。6月18日を「学校いのちの日」と設定しており、教師、子ども、保護者も含めて各学校でいのちを見つめる授業や体験活動などが行われています。
また、豊橋市は外国人児童・生徒が多い街でもあります。初期支援校「みらい」を今年度開校し、生活言語や学校について学ぶことで少しでもスムーズに日本での学校生活を始められるようサポートしています。適応指導教室もこれまで2ヶ所でしたが、3つめの新しい拠点をこの6月に開校しました。「ホットプラザ」と名付けて活動の充実を図っています。
――幼保小・小中高の連携教育について教えてください。
市として大事にしているのは、情報の連携ですね。幼稚園では保護者中心に学校生活について教えたり、小学校では入学を控えた幼児の情報をあらかじめ持ち、スムーズに学校生活をスタートできるよう準備したり。また小学校から中学校へ上がる際にもっとも戸惑うのが教科ごとに教員が変わる教科担任制と言われます。そこで小学校高学年から理科、音楽、図工など専門性の高い教科で教科担任制を取り入れ、制度に慣れる期間を設けています。
教員こそが、最大の教育環境
――今後力を入れて取り組んでいきたい教育施策を教えてください。
現在も様々な施策に取り組んでいますが、決して完成形ではありません。まずは活動の充実を図っていくことが大切だと思います。また、「子どもに相対する教員が最大の教育環境」とは、当教育長が常々言うフレーズです。教室や設備、学校周りの環境も教育環境ですが、やはり子どもにとって安心できる学校生活、深まりのある学習は教員にかかっています。豊橋市を含む三河エリアは、子どもの学びを大事にしていると言ってくださる方も多くいます。学校生活でいちばん長いのは授業ですから、より教員の力を高めていくことも大切ですね。
――最後に豊橋市の街の魅力を教えてください。
豊橋市は山や海の自然が近くにあり、さらに古い歴史やにぎわう街もあります。新幹線の停車駅でもあり、アクセスの便利さもある。さまざまなものがバランスよくそろっているのが、豊橋の魅力だと思います。市外から来た方からは「気候が穏やかで過ごしやすい場所だね」とよく言われますね。子どもたちも元気にのびのび育っていける地域だと思います。
豊橋市教育委員会
学校教育課 課長補佐 鈴木常浩さん
電話番号:0532-51-2826
URL:http://www.city.toyohashi.lg.jp/3207.htm
※この情報は2018(平成30)年5月時点のものです。
一人ひとりの子どもを大事にした教育に取り組む「豊橋市教育委員会」
所在地:愛知県豊橋市今橋町1
電話番号:0532-51-2111
開庁時間:8:30~17:15 ※一部開庁時間が異なる組織・施設あり
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始(12/29~1/3)
https://www.city.toyohashi.lg.jp/