全校一丸となり、一人ひとりが主体的に学びに取り組む/名古屋市立丸の内中学校(愛知県)
「名古屋城」の城下町にある下町の風情と、オフィス街の両方を兼ね備えたエリアで、地域に溶け込みながら学校運営をしている「名古屋市立丸の内中学校」。まちなかの学校でありながら、自然を身近に感じる学びや野外学習も取り入れ、社会人の基礎力を育んでいます。今回は校長を務める鈴木健先生を訪ね、「名古屋市立丸の内中学校」の概要や具体的な活動、地域とのつながりについて、お話をお聞きしました。
時代の変化を受けながら、少人数学校の良さを活かして学ぶ
――まずは丸の内中学校の沿革や概要を教えてください。
鈴木校長 創立は1965(昭和40)年4月1日、学区は北に「名古屋城」、「名古屋市役所」、「愛知県庁」エリアを含み、東は久屋大通まで、西は堀川まで、南は広小路通りまでを囲んだ地区になります。創立当初は住宅街が多い学区でしたが、徐々にオフィスビルが建ち、現在は堀川沿いの住宅地から通学する生徒が多くいます。2022(令和4)年度の生徒数は78名、4学級の学校です。
――丸の内中学校の教育目標を教えてください。
鈴木校長 「自主、敬愛、真実」を教育目標にしています。「自主」は自ら進んで物事を行い、自己の判断に責任のもてる心を育てる、「敬愛」は人の立場を理解し、互いに協力し合う思いやりの心を育てる、「真実」は真理を誠実に求めていく心を育てる、を意味しています。探究的な学習、横断的・総合的な学習を行うことで、課題解決できる力を養い、一人ひとりが自分の個性や能力を十分に発揮し、「丸中生」であるという誇りをそれぞれがもてることを目指しています。
――全校の生徒数が78名ということですが、少人数ならではの授業や雰囲気を教えてください。
鈴木校長 2022(令和4)年度は1学年31名、2学年25名、3学年22名のため少人数で授業を受けることができています。総合的な学習や特別授業は、全校で取り組むことが多くあります。1年生と2年生が屋形船に乗って堀川をくだり、堀川の歴史や水質、生物等を学ぶ堀川下り体験や、新型コロナウイルス感染症の流行で実施できなかった野外学習のキャンプファイヤーを校庭で全校で行う体験など、学年の枠を超えて活動することも多くあります。
今年は一年生が「丸中ファーム」でさつまいもの苗を植えて育て、生活委員が企画した「丸焼きフェスティバル」を秋に開催しました。これは、SDGsの「つくる責任 つかう責任」につながり、自分たちでつくったものは自分たちで消費することを全校で学びました。SDGsのつながりで言えば、生徒会が中心になって残飯を減らす啓蒙を行うなど、生徒自身がSDGsを理解し、自主的に取り組んでいます。全校が集まってランチルームで昼食を取っていることなどもあり、みんな顔見知りになり、仲良く活動に取り組んでいます。
――鈴木校長から見た、丸の内中学校の生徒さんの印象を教えてください。
鈴木校長 素直で誠実な生徒たちが多いと思います。毎日の丁寧な清掃で美しく校舎が保たれており、学校行事にも一生懸命取り組んでいます。学校以外の場での活躍の機会をもつことができ、たくさんの人と関わりながら、切磋琢磨して経験を積んで、大きく成長してもらいたいと思います。
教科に集中できる専用教室と、環境学習に取り組むビオトープ
――学校設備についてはいかがでしょうか。
鈴木校長 専用の教室が多くあるところでしょうか。能楽の実習やお茶の作法学習を行う和室もあります。音楽ホールは床、壁、カーテンを改良し、音響効果を高めています。また、プロジェクターとスクリーンが設置されているので、大画面での映像鑑賞が可能です。美術室、理科室、被服室、調理室のほかに、社会科と英語科についても専用の教室を設置しています。
――校門の横にはビオトープがありますね。
鈴木校長 環境学習の一環として、1年生が中心になり、テクノ中部さんとコラボレーションしビオトープを整備しました。夜、ヘイケボタルの光を観察することができ、生徒は喜んでいました。まちなかでも、豊かな自然があれば、いきものが活動できることを体感できたようです。校内には実のなる木も多く植えられており、四季を感じたり、生態系を自然に学んだりすることもできます。
「丸フェス」をはじめ、全校が主体的に取り組む学校行事
――丸の内中学校では、どのような行事が行われていますか。
鈴木校長 2022(令和4)年度は、1学期は1年生が南知多で農業体験を、2年生は豊田市稲武地区で野外学習、3年生は修学旅行で東京での分散学習と山梨での自然体験をしました。2学期は合唱コンクール、学習発表会、体育大会を1日で行う「丸フェス」、3学期は出し物や合唱で3年生に感謝を伝える3年生を送る会を行う予定です。
――「丸フェス」について詳しく教えてください。
鈴木校長 土曜日に開催し、保護者の方が生徒の活動を見学することができる行事です。午前中に合唱コンクールと学習発表会、午後に体育大会「丸中五輪」を行います。当日に向けて、夏休み明けから練習が始まります。合唱は練習を重ねるたびに各クラスのまとまりが出てきますし、学習発表会については、それぞれの学年の特徴をいかした構成や発表内容を考えながら準備が進められます。体育大会に向けてもバトンパスの練習などを積み重ねていきます。
当日の体育大会は全校を赤組・白組に分けて、1年生から3年生がチームになり、リレー、大縄跳び、綱引きなどの競技を行います。生徒は出番が多く、一人ひとりが主役になりながら参加する場面が多いので、丸フェスが終わるとヘトヘトになるようですが、仲間と協力することの大切さや楽しさを実感しています。社会性を養う上でも大切な行事だと考えています。
地域とつながり、生徒の社会性を伸ばす学校づくり
――学校で取り組まれている地域活動、地域連携について教えてください。
鈴木校長 PTAの方と一緒に、学区内の道路清掃を行なっています。また、1年生は入学式にカーネーションの苗を植え、母の日に地域の道で、緑の募金をしてくださった方にカーネーションの花を渡しました。募金は公益社団法人 国土緑化推進機構に寄付し、来年度の環境教育や緑化活動に充てていただくことで、次の地域緑化、学校緑化につなげています。
――丸の内エリアの魅力を教えてください。
鈴木校長 オフィス街が広がるエリアですが、住宅地が残る堀川沿いは下町の雰囲気がありますし、「名古屋城」が近いことから歴史もある地域です。本校の校章は「名古屋城」のシャチホコをモチーフにしており、校舎の4階からは「名古屋城」がよく見えます。校内のビオトープではヘイケボタルが飛びましたが、「名古屋城」の外堀ではヒメボタルが飛び、緑豊かな「名城公園」が近く、いきものや自然が身近にあるエリアです。
名古屋市立丸の内中学校
校長 鈴木 健 先生
所在地:愛知県名古屋市中区三の丸1-9-2
電話番号:052-211-3251
URL:https://www.nagoya-c.ed.jp/school/marunouchi-j/
※この情報は2022(令和4)年11月時点のものです。
全校一丸となり、一人ひとりが主体的に学びに取り組む/名古屋市立丸の内中学校(愛知県)
所在地:愛知県名古屋市中区三の丸1-9-2
電話番号:052-211-3251
https://www.nagoya-c.ed.jp/school/maruno..