スペシャルインタビュー

学びを将来につなげる「Y-NEXT」を実践中! “アツい校長先生”がいる「横浜市立山内小学校」

”校長先生”と言う言葉のイメージは近年変化してきている。複数の学校で教員経験を重ね、教育委員会で俯瞰的な視点を会得し、現場を熟知しながら経営感覚も併せ持つ「スーパー校長先生」が各地で誕生しているのだ。そのうちのおひとりが、「あざみ野」駅からすぐ近くの「横浜市立山内小学校」に2019(平成31)年度4月に赴任した佐藤正淳先生。熱意の塊のような佐藤先生の行動力は、多くの新しい改革を生み出している。

今回はその改革の中核にある「Y-NEXT」の話題を中心に、学校の魅力と教育への思い、地域の魅力などについて、お話をうかがった。

開校から146年の歴史と伝統のある学校

――まず、学校の歴史について教えてください。

本校は今年度で開校から146年を迎えまして、歴史と伝統をもった学校です。全校児童は今年667人で、一般学級が19学級、特別支援学級が3学級です。市内では中程度の規模の学校かと思います。

校長の佐藤正淳先生
校長の佐藤正淳先生

――教育活動において、重点を置いていることは何でしょうか?

前任の校長の時代から、「安心・安全」という点は重視しています。また、創立130年目の頃から「あったかハート」という言葉を学校の目指すキーワードとし、子どもや教職員、保護者や地域にも、浸透しているように感じます。

そういった基盤を踏まえつつ、私が着任した時に「この学校の強みは何だろう?」と考えた時に「チームで対応する力」だと思いました。一般的には、ひとりの担任がひとつのクラスを見るという形が主流だと思いますが、本校は2012(平成24)年度から教科分担制をとっています。たとえば、1組の先生が3組の理科を、2組の先生が1組の家庭科を、3組の先生が2組の社会科を担当する、というような形でして、3年生以上の学年はこのような体制をとっています。

私は以前、横浜市の教育委員会にいたのですが、その頃から山内小学校は教科分担制を実践していたので、教育委員会として視察に来たことがあります。今では多くの横浜市の小学校で同様の取り組みを進めているので、そういった意味で本校は先進的な小学校だったのかな、と思っています。

キーワードは「あったかハート」
キーワードは「あったかハート」

ワクワクする授業づくり
ワクワクする授業づくり

「Y-NEXT」(ワイ-ネクスト)の推進

――2019(平成31)年の4月にここに着任され、半年も経たない間に様々な取り組みを立ち上げられていますが、そのシンボルとして「Y-NEXT」という言葉を掲げているそうですね。これはどんなものでしょうか?

校長として赴任して、「自分のミッションは何だろう」と考えた時に「まず授業を改善していこう」と思ったんですね。2020(令和2)年度には新しい学習指導要領が全面実施されて、プログラミング教育が入ってきたり、英語が教科化されたりと、いろいろな変化があると思います。つまり、それは同時に授業の変革も求められているということだと私は考えています。

これから子どもたちが生きていくのは、あらゆることが予測困難な時代だと思います。そういった中で、学校の力だけで子どもたちを育めるのか、公教育というフレームだけで教育を進めていいのか、と問われると、私は疑問を感じるのですね。

本校はチーム体制が整う学校として、教育のさらに先を見据えて「学校での学びを、社会や自らの将来につなげる」という取り組みをすべきだと思っています。そこで考えたのが、「Y-NEXT」でした。ロゴマークも作って、様々な取り組みを始めているところです。

この「Y-NEXT」の基本理念は、「未来をつくっていく子どもたちのために、ワクワク、キラキラするような授業を創っていこう」というもので、「needからseeds」を基本理念に、様々な“本物”を経験できるような企画を授業の中に盛り込んでいます。“本物”から学ぶことで「自分の学んでいることは、自分に関わる何かにつながっているんだ」と感じてもらって、子どもたちの将来につなげていってもらえればと思っています。

廊下の名前にも使われている
廊下の名前にも使われている

子どもたちには“本物”と出会わせたい

――Y-NEXTの実践例としては、具体的にどんなものがありますか?

例のひとつとして、工事の仮囲いを使ったアート制作があります。本校は2019(令和元)年現在、校舎の一部を建て替え中ですが、これをピンチではなく「チャンス」ととらえて、アート作品のキャンバスにしてしまおう、という取り組みです。

市民ギャラリーあざみ野の方に指導をしていただきながら、養生テープを使った作品を創ったり、横浜美術大学の学生さんや、森田建設(株)さんに協力してもらったりしながら、1年生が描いた絵を拡大して、着色して、仮囲いに貼ってもらって発表する、ということを考えています。

また、近くにある「Godai」というスポーツクラブさんと協働して、体力向上を図ってみたり、この秋にはJAXAの方の協力を得たイベントなども企画しています。ほかにも、5年生の総合的な学習の時間で「早淵川の環境を守る」という活動をしていますが、この活動の成果をポスターでアウトプットする時には、(株)電通のコピーライターの方に来てもらって、キャッチコピーの付け方を教えてもらったり、写真の撮り方について、市民ギャラリーの方にコツを教えてもらったりする予定です。さらに、PR動画を作って、それをインターネット上にアップするときには、ドローンの空撮が得意な保護者の方に、撮影方法・編集方法を教えてもらったりと、それぞれの世界のエキスパートから、“本物”を学べるような体制づくりを進めています。

子どもたちには、「ごっこ遊び」ではなく、社会の中で信念をもって何かに取り組んでいる人、何かを作っている人、何かと戦っている人たちに、出会わせてあげたいんです。本当はほかにも紹介したい話はあるのですが…。(笑)

大人と交流できる活動が多数
大人と交流できる活動が多数

子どもたちの書いた絵
子どもたちの書いた絵

――すみません、今回は文字数の兼ね合いもありまして、このくらいにさせてください。(笑)

そうですね。詳しくは学校のホームページや、そこにアップされている学校だよりを見ていただくということで…。(笑)インスタグラムも始めたのでぜひチェックしていただければと思います。公式インスタグラムを開設している学校はかなり珍しいと思いますので!

▼インスタグラムはこちら!
https://www.instagram.com/yamauchi.e.s/

覚悟を持ち、子どもたちの将来を見据えて教育に取り組む

――校長先生の熱意の原動力とは何なのでしょうか?

私は校長はもちろん、他の先生方も「K.K.F.」を持つべきだと考えています。「K.K.F.」というのは私の造語で、「感性」「覚悟」「フットワーク」を指します。何かに気づいて、覚悟を持って、フットワークよく動く、ということが肝心なんですね。ですから僕は、何か面白そうなことや、子どもたちのプラスになりそうなことを見つけたら、すぐに名刺を持って、担当の方に会いに行くようにしています。そのほうが熱意も伝わりますし、話が早いじゃないですか。

たとえば、塾との連携などもその一例です。本校は通塾率が高い小学校で、6年生については6割以上が塾に行っています。しかし、学校の教員も塾の先生も、お互いがどんな授業をしているのか、全く見たことがないんです。学校と塾、公立と私立、それはある意味、大人たちによって作られた“壁”だと私は考えています。そういう壁をいい意味で壊していくことも、「大人の覚悟」だと思うのです。

そんなことを考えていた時に、ちょうど塾の「湘南ゼミナール」の方とご一緒する機会があったので、僕は「相互に授業を見せ合いませんか」と話を持ちかけました。今度、先生同士授業を見あったり、合同の研修をしたり、意見交換をしたり、という機会をもつ方向で話が進んでいます。同じように、私立の学校についても、子ども同士で交流ができないかということで、話を進めているところです。

“アツく”語る佐藤校長先生
“アツく”語る佐藤校長先生

――そうなると、保護者もまた「大人の覚悟」をもって、学校と一緒に歩んでいくことが必要ですね。

そうなんです。様々な挑戦をしようとする分、学校も失敗することがあるかもしれません。しかしそういった場合、我々は真摯に反省をして次の一歩を歩もうとしますから、保護者の方にはそれに対して背を向けるのではなく、半歩歩み寄っていただければ、と思っています。

先生たちに経験の差があるのは当たり前。授業の差があるのも当たり前。子どもへの寄り添い方が違うのも当たり前。それぞれに強みもあるし、弱みもあります。だからこそ、保護者の方の理解と励まし、協働の姿勢がなければ、この差は永遠に埋まらないのです。保護者の方には「子どもの成長を支えるパートナーである」という思いを持って、本校の教育活動にご示唆をいただく、ご理解をいただきたいな、と思っています。

失敗はあって当然なので、その時に互いにどうやって受け止め、歩み寄れるか。それが、学校と家庭との信頼関係というものであり、子どものたちの将来にも結びついていくものと思っています。

授業風景
授業風景

少しずつ、できることから
少しずつ、できることから

教育環境の整う美しが丘エリア

――新しい校舎の建設が進んでいるそうですね。どんな校舎になるのでしょうか?

現在(児童数の増加によって)校庭にプレハブ校舎が設置されていますので、その解消がひとつの目的になっています。当然、今よりクラスが増えても対応できるような建物になりますし、地域交流室など、時代に沿った部屋なども設置されていく予定です。2020(令和2)年の夏には完成する予定です。

――私立校への進学状況についてお聞かせください。

私立の中学への進学率は、2018(平成30)年度は、24.5%でした。毎年だいたい3割前後かと思います。これは、市内のアベレージよりも少し高いくらいだと思います。このほか、数字的なことから本校の特徴ということですと、自己肯定感が高い子どもが多いというのが、本校の自慢のひとつです。横浜市内の平均よりも5ポイントほど高めです。それから、通塾率が高く、全学年平均で5割以上、6年生に限れば67%という数字も出ていまして、これは横浜市内の平均よりも10ポイントほど高いです。

校内の様子
校内の様子

――最後に、美しが丘エリアの子育て環境の魅力についてお聞かせください。

私自身も過去に、この近くに住んでいた時期がありました。自然もありますし、買い物等の利便性も高く、非常に暮らしやすい地域だと思います。最近引っ越してきたという方から話を聞いても、「住環境が非常に良い点が魅力でした」という声は多いです。公園もたくさんありますから、子どもたちものびのび遊べると思います。

教育環境としても、区の図書館が学校からすぐの場所にありますし、「市民ギャラリーあざみ野」も徒歩で5分くらいの位置にあります。駅も近いですから、塾に通うのも、進学して遠くの学校に行く場合にも便利ですね。近隣には「桐蔭学園」や「慶應義塾横浜初等部」といった名門校もありますから、非常に恵まれている地域だと思います。

近くにある「横浜市山内図書館」
近くにある「横浜市山内図書館」

「あざみ野」駅
「あざみ野」駅

それから、地域に暮らす方々も魅力的ですね。新興住宅地にはない安心・安定があるというか、今の町内会長も、本校のOB、OGばかりで、地域のネットワークがしっかりしているので、子どもたちを温かく見守ってくれています。ですから子育て中の方でも、安心して過ごしていただけるような地域だと思います。

 

校長の佐藤正淳先生
校長の佐藤正淳先生

今回、お話を聞いた人

横浜市立山内小学校

校長 佐藤正淳先生
※この情報は2019(令和元)年7月時点のものです。

学びを将来につなげる「Y-NEXT」を実践中! “アツい校長先生”がいる「横浜市立山内小学校」
所在地:神奈川県横浜市青葉区新石川1-20-1 
電話番号:045-911-0003
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/schoo..