姫路が洗練された街へと大変貌!にぎわいを生む「キャスティ21」とは?
姫路市姫路駅周辺整備室/文化コンベンション整備室インタビュー
平成18(2006)年のJRの鉄道高架化に伴い、生み出された新たな駅前の土地の高度利用を実現するために姫路市が進めてきた街づくり計画「キャスティ21」によって、ここ数年で姫路駅前はにぎわいのある魅力的なエリアとして変貌を遂げました。そして、駅前の地価は平成26(2014)年度から4年間でなんと36%以上も上昇(※姫路市駅前町252番の地価状況)!「キャスティ21」の経緯や現在の状況について、姫路市の姫路駅周辺整備室係長の小坂哲史さん、同室の係長の小幡晃義さんに。そして、2021年秋に完成予定の文化コンベンションセンターの概要について、文化コンベンション整備室の運営企画担当課長補佐の西本英史さん、同室の釣公士郎さんにお話をお伺いしました。
――まずは「キャスティ21」が始まった経緯について教えてください。
小幡さん:南北の市街地を分断するように通っていた国鉄(現JR)を高架化するきっかけになったのは昭和47(1972)年に高架線路により整備された新幹線の開通でした。慢性的な渋滞を高架化により改善できるという機運が高まったのです。現実的には山陽本線、姫新線、播但線、飾磨港線を高架化する必要があり、莫大な資金が必要となり、幾度となく頓挫をしましたが、昭和61(1986)年に飾磨港線が廃止になったことで事業費が縮減でき、高架化を目指す「連続立体交差事業」に加え、道路を整備する「関連道路事業」、土地を集約し活用する「土地区画整備事業」の3つの事業が平成元(1989)年に認可されました。
「キャスティ21」はこの3つの事業を一体として行うことにより、「にぎわい」と「うるおい」にあふれた交流都市の形成を目指すまちづくりの計画のことです。その後、平成18(2006)年に山陽本線、平成20(2008)年に姫新線と播但線が高架化され、平成23(2011)年には全ての鉄道高架事業が完了しました。
――「キャスティ21」の概要について教えてください。
小坂さん:鉄道を高架化し、車両基地や貨物基地を移動させることによって生み出した土地を、駅前の玄関口にあたる「エントランスゾーン」、民間を誘致し商業の拠点とする「コアゾーン」、新たな市民交流の場である「イベントゾーン」の3つに分け、開発を進めてきました。ちなみに、「キャスティ21」という名称は、お城の「キャッスル」と都市の「シティ」、そして「21世紀」を組み合わせた造語で、市民から愛称を募集し、平成2年に命名されました。
小幡さん:「エントランスゾーン」については、播磨の中核都市にふさわしい都市の顔として、「城を望み、時を感じ人が交流するおもてなしの広場」というコンセプトのもとに整備が進められ、まず姫路城の外堀をイメージした駅前空間「キャッスルガーデン」が平成25(2013)年4月30日にオープン。そして、姫路の玄関としての「門」をイメージした「キャッスルビュー」が同年6月15日にオープンしました。また、広場空間を活用する条例が平成27(2015)年4月に施行され、「キャッスルガーデン北広場」、「キャッスルガーデン」、「中央地下通路」の空間を市民の方にイベント利用していただくようになりました。
イベントの件数としては、平成27年度が232件イベント、平成28年度が311イベント、平成29年度が392イベントと年々、増加しています。「キャッスルガーデン北広場」では音楽イベントやダンスの発表など、「中央地下通路」ではワインの試飲会や化粧品の販売などのさまざまなイベントが行われており、その都度、にぎわいを見せています。
小坂さん:「コアゾーン」については理想的なまちづくりを進めるため民間主導による開発を進め、現在、姫路城を一望できる天空チャペルを有する「ホテルモントレ姫路」や映画館・スーパーマーケットなどが入店している複合商業施設「テラッソ姫路」をはじめ、フィットネスクラブ、専門学校、クリニック、保育園などの魅力的な施設がオープンしています。
また、「エントランスゾーン」と「コアゾーン」をつなぐ700mの屋根付き歩行者デッキを整備し、平成30(2018)年7月から全面開通。将来的にはイベントゾーンまで歩行者動線を整備する予定です。市民の皆さんに愛着を持っていただけるように愛称を募集し、「コアゾーン」は「キャスティタウン」、歩行者デッキは「キャスティウォーク」という愛称に命名されました。
――イベントゾーンの現在の状況について教えてください。
釣さん:現在、「姫路市文化コンベンションセンター」の建設を進めており、2021年秋のオープンを目指しています。約2000席の大ホールや4000平方メートルの展示場など巨大な空間を有する施設で、「新たな出会い、発見、価値を創出し、姫路の魅力向上と都市の活力を生み出す交流拠点」をコンセプトに、これまで姫路市内で開催できなかった大型コンサートや国際会議、大規模の展示会など、集客力の高い催事を開催できるようになります。また、市民の皆さんにも気軽に利用いただけるように、中ホール(約700席)、小ホール(約180席)など、さまざまなニーズに合わせたサイズの会場も整備予定です。姫路城の連立式天守をもとに洗練されたデザインに設計しました。また、屋上緑化や夜間照明などを整備することで、新幹線や在来線を利用する方の目に止まるようなランドマーク的要素を兼ね備えた施設となります。
また、西側にある三角形の公園を「キャスティ21公園」と名付け、歩いていて楽しくなる自然豊かな空間づくりを進めていきます。そのほか、「イベントゾーン」の東側には新県立病院が計画されており、2022年の開院を目指しています。
西本さん:「姫路市文化コンベンションセンター」では、「ホール」や「展示場」等の複数の機能を生かして、中心市街地の活性化につながる大規模なイベントを開催・誘致するだけでなく、市民の皆さまにも使いやすい施設を目指しています。やはり継続して「にぎわい」を創出し続けることが大切です。今後、「姫路市文化コンベンションセンター」の役割は大きいと思っています。
――「キャスティ21」によって、地域住民にとってどのような影響やメリットがありますか?
小幡さん:高架事業によるメリットの1つとしては交通の円滑化があげられます。また、平成27年4月1日から規制を開始した「大手前通りのトランジットモール化」により、駅前の大通りにおいて路線バス・タクシーを除く一般車両の通行を禁止し、歩行者を中心とした安全で快適な歩行環境を実現しました。これほどの規模でトランジットモール化したのは日本初の試みではないでしょうか。また、歩行者環境の整備に当たっては、高低差のあるところにエレベーターを設置するなど、車椅子やベビーカーの利用者にとっても通行しやすい環境を実現しています。
そして、商業施設等の充実により、駅周辺で様々なサービスが受けられるようになったことも大きなメリットと考えています。かつては買い物するのに神戸や大阪に出る方も多かったと思うのですが、現在では、姫路駅周辺に買い物をする施設がますます充実してきています。
――開発された施設の中に、子育てのご家族にとってうれしいサービスはありますか?
小坂さん:昨年、キャスティタウンにある「リコルス姫路」の中に「リコルス保育園」という新たな保育施設ができました。エリア内には、他にも保育施設がありますが、市の施設としても子育て支援を行う「すこやかセンター」があり、子育て情報相談室など、子育て家族にうれしい施設があります。
――今後実現したいことを教えてください。
小坂さん:今後の「キャスティ21」としてはイベントゾーン内での施設建設や、エリア内の街区を新しく整備したりする区画整理事業を進めていく必要があります。市民の皆さんが豊かに暮らせるための街づくりを進めていきたいと思います。
――最後に、五軒邸周辺の魅力について教えてください。
小坂さん:歴史を感じる静かな街並みで、近くに美術館、歴史博物館、図書館など文教系施設が豊富なのも魅力の1つです。駅や「キャスティ21」にも近く、利便性の高いエリアだと思います。
今回話を聞いた人
姫路市姫路駅周辺整備室係長 小坂哲史さん
同室係長 小幡晃義さん
文化コンベンション整備室課長補佐 西本英史さん
同室の運営企画担当 釣公士郎さん
所在地 :兵庫県姫路市安田4-1
電話番号:079-221-2111
URL:http://www.city.himeji.lg.jp/
※この情報は2019(平成31)年3月時点のものです。