インタビュー vol.2

外国語教育やICT教育にも力を入れ次世代を担う子どもを育てる「武蔵野市立大野田小学校」


「武蔵野市役所」近くにある「武蔵野市立大野田小学校」は、市内に数ある小学校の中でも規模の大きい小学校のひとつ。5階建ての立派な校舎のほか、平成30年度には新しく増築棟が完成した。今回は藤橋義之校長を訪ね、学校の特徴と地域の魅力について、お話を伺った。

外観
外観

開校70周年を迎える大規模校、設備が整った2005年に建てられた校舎

――小学校の歴史についてお教えください

藤橋校長:本校は2019(平成31)年の4月に68周年を迎え、間もなく70周年を迎えるという小学校です。「大野田」という名前のとおり、かつては野原や田んぼが広がっていた場所にできた学校ですが、今や、児童数は800人を超えており、武蔵野市の中でも2番目に大きな小学校となっています。市の推計によると、今後も増加傾向になっているそうですので、数年後には900名くらいになるのではないかと思います。教育目標については、いわゆる「知・徳・体」の三本柱で、「深く考える子」「明るく思いやりのある子」「強くたくましい子」ということで設定をしています。

教室
教室

――新しく広い校舎が印象的ですが、特徴をお教えください

藤橋校長:この校舎は2005(平成17)年に完成したものですが、大きな特徴は、教室がオープンスペースになっていることです。学年ごとに3つの教室が並んでいますが、教室ごとの仕切りはあっても、廊下と教室の仕切りが無く、教室の外もオープンに使えるようになっています。

オープンスペースは、学年の集まりやクラスの活動などで多目的に活用されています。一見すると「子どもたちはそんな環境でうまく学習ができるのかな」と心配されてしまうのですが、子どもたちには環境に適応していく力がありますので、授業中に誰が通っても、自然なかたちで学習に集中して取り組んでいます。教員としても、子どもたちの様子をぱっと見て取れますので、いろいろなことに気が付きやすく、非常に良い環境だと感じています。

オープンスペースが特徴的
オープンスペースが特徴的

校舎については、「百年校舎」と言われるほど頑丈な建物になっています。その一方で、空間に関しては非常にゆったりとした設計がなされていて、校内のあちこちにデッキがあったり、屋外緑化をされた部分があったりと、緑があふれる、開放的な校舎であるという点も大きな特徴です。

それから、「専科棟」という別棟があり、そちらに音楽、図工、家庭科の教室がすべて集まっているというのも特徴です。他校ではいろいろな場所に特別教室が散らばっていると思うのですが、本校はひとつのエリアにまとまっていますので、非常に使いやすく、効率よく移動ができる作りにもなっています。

ユニークなスペースとしましては、「けやきホール」という階段状になっているスペースがあり、約200人ほどが入れるホールになっています。階段の下はステージ状になっているので、そこで表現活動をしたりということも可能です。プールについても床が可動式ですので、低学年の子でも安心して授業を受けられるように工夫されています。

けやきホール
けやきホール

外国語とICTの活用に力をいれた教育内容で、考える力を養う

――とくに力を入れている取り組みについてお教えください

藤橋校長:外国語活動の教育課題研究開発校になっていますので、そちらに力を入れて取り組んでいます。それ以前にはICT教育の研究校で、電子黒板、タブレット、パソコンなどの機器を活用した教育についても取り組んできましたので、現在も引き続き力を入れています。

全教科にわたるものでは、「考える力をつける」ということに重点的に取り組んでおり、各教室には「考える術(すべ)」という掲示もしつつ、それぞれの授業の中で、関連づけたり、比較したりしながら、「考える」という機会をなるべく多くもてるように心がけています。

具体的な例のひとつとしては、本校では5年生の「セカンドスクール」で、長野県の飯山市に行っていますが、「飯山の観光大使になろう」というテーマで事前学習や現地取材を行い、「飯山のいいところ」「飯山の課題」といった風にまとめて、それを武蔵野市と比較したり、飯山の方に向けて発信する、といったことをやっています。その際には子どもたちが自分で検索をして調べたり、パワーポイントを使ってまとめて、保護者や飯山の方々に発表したりと、ICTも駆使しています。

もうひとつ特徴的なものとしては、「コーディネーショントレーニング」を取り入れていることです。「脳との感覚統合で動きをよくしていく」という、最近注目を集めている「体幹トレーニング」ですが、本校は市内の各学校にそれを広げるための拠点校としての役割を担っており、体育の先生方が中心になって取り組んでくれています。

図書館
図書館

様々な場所で活躍する大野田小の児童たち

――吹奏楽クラブの活動が盛んということですが?

藤橋校長:本校は吹奏楽クラブが非常に盛んで、4年生から6年生の希望者で編成されていますが、現在およそ80名ほどが所属しています。市のジョイントコンサートにも毎年出演していますし、校内でも催しています。

クラブ活動以外のところでは、本校はオリンピック・パラリンピック教育に関しても力を入れている学校で、実際にオリンピアンやパラリンピアンの方をお招きして、子どもたちと関われるような場を数多く設けているというところも特徴かと思います。

これに関しては、実は先日、「ボッチャ」という競技の大会があって、そこに本校の子どもたちが代表に選ばれて、全国大会に出場したんです。特にボッチャのクラブがあったわけではないので、やりたい子をつのって、休み時間に練習を重ねていったという即席チームだったのですが、それが強いチームになっていったんですね。

吹奏楽クラブの活動が盛ん
吹奏楽クラブの活動が盛ん

行政の中心に近い立地を活かして、様々な施設を活用

――学校の周辺は武蔵野市の行政の中心地で、いろいろな公的施設や体育・文化施設が集まっていますが、こういった施設との連携・活用事例などはありますか?

藤橋校長:近くにNTTの研究所がありますので、そちらの見学に5年生が毎年行かせていただいています。ただ見学をするだけではなく、いろいろなレクチャーまでしていただいて、非常にありがたく思っています。近隣に福祉関連の施設も色々とありますので、特に4年生が「総合的な学習の時間」の中で行っています。

日常的な部分では、市の運動場や体育館については、特にいぶき学級でよく利用させていただいています。市営のプールは温水もありますから、年間を通して利用できるという点でも、非常に助かっています。

「武蔵野市民文化会館」も徒歩で行ける場所にありますので、オーケストラ鑑賞教室などに関しても、ぱっと行くことができますし、消防署の見学も歩いて行けますし、いろいろな場面で、この立地の素晴らしさというのは感じます。

屋上
屋上

地域の人々と協力して子どもたちを見守り、育てる

――「地域コーディネーター」とはどういった連携をされているのでしょうか?

藤橋校長:「地域コーディネーター」は、学校と地域を結ぶ窓口となる専門職員で、武蔵野市では各校に一人ずつ配置されていますが、本校ではもともと大野田小学校の保護者だった方にお願いをしています。この方は地域とのつながりが深い方なので、非常に助かっています。

たとえばオリ・パラ教育に関しては、「もしそういう方がいらっしゃれば紹介してほしい」とお願いをして、実際につないでいただいたり、低学年の「昔遊び」の体験活動に関しても、福祉センターに呼びかけていただいたり、地域の方の中から英語が堪能な方を探していただいて、外国語の時間に入ってもらったりといった具合に、いろいろな場面で関わっていただいています。

専科教室も充実の設備が揃う
専科教室も充実の設備が揃う

――「地域子ども館あそべえ」についてお教えください

藤橋校長:早朝と午後の時間帯に、校庭や「あそべえ」専用の部屋を使って、子どもたちが自由に遊べるという、学校に併設された児童館のようなものです。そこには教員ではなく「あそべえ」のスタッフが常駐をして見守ってくれています。祝日と年末年始以外は毎日やっていますので、こちらに行っている子どもたちは多いと思います。特に、朝から開放をしているという自治体は少ないので、これも武蔵野市ならではのものかと思います。

校庭
校庭

――「地域の防災拠点」としての役割もあるそうですが、どんな備えをされているのでしょうか?

藤橋校長:「防災拠点」というのは「避難者が生活できるエリアを確保する」ということが目的で、校舎全体の中の一部を開放できるエリアに定めて、災害時にはそちらを避難所として運営していく、という決まりになっています。防災倉庫を備えていたり、災害時にトイレを利用できる仕組みがあったり、地下水を組み上げる設備があったりします。

また、非常時には地域の「防災の会」と連携して、避難所を運営することができるように、いろいろな取り決めもされています。ちなみに本校の場合は、非常時には体育館と「けやきホール」が避難所として使われる計画になっています。

災害発生時には防災拠点として利用される
災害発生時には防災拠点として利用される

文化的、体育的、福祉的な要素がぎゅっと詰まった街

――吉祥寺北町エリアの魅力をお教えください

藤橋校長:この辺りは行政の中心であると同時に、「福祉のまち」でもあると思っていますので、そういった環境の中で、子どもたちが育つことができるというのは、ひとつ大きな魅力ではないかと思います。

また、この地域には緑が非常に多いですね。桜並木もありますし、公園も近くにいくつもありますし、四季を感じられる環境があると思います。運動をするにしても、体育館、運動場、プールなどがすべて揃っています。文化的な要素、体育的な要素、福祉的な要素、すべてが詰まっていて、素晴らしい環境だと思います

周辺の街並み
周辺の街並み

武蔵野市立大野田小学校

藤橋義之 校長先生
所在地:武蔵野市吉祥寺北町4-11-37
電話番号:0422-51-0511
URL:http://oonoden-e.musashino-city.ed.jp/
※この情報は2019(平成31)年4月時点のものです。

外国語教育やICT教育にも力を入れ次世代を担う子どもを育てる「武蔵野市立大野田小学校」
所在地:東京都武蔵野市吉祥寺北町4-11-37 
電話番号:0422-51-0511
http://www.musashino-city.ed.jp/~gakkou0..