一宮市の小中学校の「隣接校選択制」への取り組み/一宮市 教育文化部総務課
一宮市は2007(平成19)年度より、入学する小学校、中学校を隣接している学区の学校から選べる「隣接校選択制」を導入している。実施10年目を迎え、どのくらいの保護者に選択制が支持されているのか、またこの制度によってどのようなメリットがもたらされたのかについて、同市の教育文化部総務課学校事務グループ浅田孝広さんにお話しを伺った。
市町村合併により導入した「隣接校選択制」
――一宮市における小中学校隣接校選択制の概要をお教えください
浅田さん:2005(平成17)年4月に、一宮市、尾西市、木曽川町が合併して、新「一宮市」が誕生して以来、小学校、中学校の通学区域の見直しの議論が持ち上がりました。2005(平成17)年から2007(平成19)年までの3年間審議会で検討を重ねた結果、交通環境面や、子どもたちの学校教育を将来に渡って保障する観点から、通学区域の弾力的な運用については、隣接校への入学が可能な制度を導入することが望ましいとの見解が多く、2008(平成20)年4月から小学校、中学校に入学する新1年生を対象に「隣接校選択制」を取り入れることになりました。
「隣接校選択制」の理念は、「子どもは地域の宝であり、家庭のみならず学校を含めた地域で子どもを育てていくことが最も重要である。また、より良い教育を目指すため、学校と地域との連携も大切な要素である」と定められています。ですので、基本的には住所地の学区の小中学校への通学が原則です。ですが、様々な事情から、隣接している学区の小中学校(隣接小中学校)への入学を希望される方もいらっしゃいますので、新小学1年生、新中学1年生を対象に、前年度の11月に募集を行い、希望申請していただくことができるようにしております。
「隣接校選択制」の申請数は10年間で伸びています
――毎年どのくらいの数の生徒さんが「隣接校選択制」を申請されるのでしょうか
浅田さん:毎年、学区内の入学予定児童・生徒数や学校の教室数などを鑑みて、受け入れ人数枠を設けているのですが、初年度(2008(平成20)年入学対象者)であれば、小学校は343人/25人(受け入れ枠/申請数)、中学校は236人/45人でした。今年度(2017(平成29)年入学対象者)は、小学校が366人/79人、中学校が174人/61人と、制度が始まって10年が経ちますが、申請数は小学校では倍以上に伸びています。これは、この制度の認知度が上がったとともに、ニーズがまだまだあるということの表れではないかと思っています。今年度の申請数は小中学校合わせて140名、この数は新1年生全体の約2%に過ぎませんが、一宮市としては、このような需要にも対応していくことが、学校教育の充足に繋がると考えておりますので、この制度は続けていきたいと考えています。
――申請される方はどんな理由で「選択制」を選ばれているのでしょうか
浅田さん:選ばれる理由としては、「合併したことによって、隣接する学校の方が通いやすくなったから」や、「将来、隣接する学区に引っ越しをする予定があるから」などが挙げられます。小学校のお子様がいらっしゃる保護者の方であれば、「通っていた保育園が隣接学区にあり、そちらにお友達が多く行くから」ということもよく聞きます。中学校の場合は、理由が少し変わり、「隣接学区に自分がやりたい部活動があるから」という理由が重視される傾向にあります。
――制度開始後、10年が経ち、成果を実感されていらっしゃいますか
浅田さん:まずは申請者の方が徐々に増えていますので、隣接学区の学校に通いたいというニーズは確実にあるのだなと感じております。一律で「この学校に通いなさい」という制度ではどうしても不都合が生じる方が出てきてしまいます。小さな声であっても、ニーズがある限り応えていくことができる制度があることは、地域全体の満足度向上につながるのではないかと考えています。
――最後にひとことお願いいたします
浅田さん:より公平な学校選択を可能とするため、「隣接校選択制」は今後も実施していきます。毎年各学校の受け入れ人数枠に変動はありますが、基本的にはまだその枠に余裕がある学校が多いです。ご自分の住まれている場所で隣接校の方が通いやすいと思われる方や、特色ある学校教育による学校選択を希望される方などがいらっしゃいましたら、このような制度があることを思い出していただければと思います。
一宮市役所
教育文化部総務課 学校事務グループ
浅田孝広さん
※この情報は2017(平成29)年5月時点のものです。
一宮市の小中学校の「隣接校選択制」への取り組み/一宮市 教育文化部総務課
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