交流を通して心も体も成長!

学校や塾とは違う、人との付き合い方や優しさを学ぶ場/「東野児童センター」 所長 河野純栄さん


東野地区以外からも多くの乳幼児親子や小・中学生が遊びに来るという「東野児童センター」。遊戯室や工作室、図書室や広場などが揃う広々としたセンターには、子どもたちが体を動かしながら、仲間と楽しく遊べる環境が整っています。小学生無料の「おさんぽバス」など、子育て中のファミリーにやさしい浦安市の子育て環境について、東野児童センター所長の河野さんにお伺いしました。

――東野児童センターの歴史や概要について教えてください。

河野さん:当センターは0~18歳未満(未就学児は保護者の付き添いが必要)までの子どもとその保護者が集える場として、1998(昭和63)年4月に「総合福祉センター」の2階にオープンしました。大きな遊戯室、工作室、図書室、視聴覚室、未就学児用のえくぼルームのほか、屋根付き屋外の砂場や広場があり、廊下は「けんけんぱストリート」になっているなど、遊び心たっぷりの施設です。

午前中は乳幼児向けのサロンなどを開いたり、遊戯室を乳幼児向けに設定したりと子育て支援の場となっています。持参したご飯やおやつを食べられる「ピクニックエリア」もあるので、のんびりと過ごすこともできますよ。

屋根付きの砂場
屋根付きの砂場

小学生が下校した後は、遊戯室はボール遊びや卓球台などを出して、小学生が体を使って遊べるようにしています。図書室では子どもたちは没頭して本や漫画を読んだり、ボードゲームで友だちと遊んだり自由に過ごしています。ここでは友だちと関わり合いながら、体や手を動かしてほしいと思っていますので、ゲーム機の持ち込みは一切禁止。携帯電話も通話は外で、ゲームもダメと伝えています。ある意味これは一般社会のマナーと共通する部分がありますので、理解してご協力いただければと思います。ちなみにそのルールは大人へも適用されますので(笑)、お子さんが遊ぶのを待つ間のお母さん・お父さんたちにも長時間の携帯使用は、基本的にご遠慮いただいています。児童センターでは携帯電話から離れて子どもと遊ぶ時間を大切にしていただきたいと思います。

「けんけんぱ」で遊べる廊下
「けんけんぱ」で遊べる廊下

――利用方法などについて教えてください。

河野さん:遊びにいらっしゃる方のほとんどは近隣の方ですが、時には電車やバスに乗って市外からも来てくださいます。地域の制限はありませんので、どこにお住まいの方でも大歓迎です。

月曜日~金曜日は10時~18時まで、土曜日と日曜日は9時~17時まで開館しています。休館日は第4月曜日と、子どもの日を除く祝日、年末年始(12月29日~1月3日)です。

子どもたちは学校や塾で張りつめていた神経を、まるでここでゆるめるかのように「のんびり・ゆったり・楽しく」過ごしています。私たちも厳しく管理するというよりも、そんな子どもたちを見守る気持ちで接するようにしています。

お母さんが企画・準備・実施する会で仲間づくり

思いきり体を動かして遊べる遊戯室。乳幼児用の乗り物やトランポリンもある
思いきり体を動かして遊べる遊戯室。乳幼児用の乗り物やトランポリンもある

――赤ちゃん向けの活動などはありますか?

河野さん:たくさんありますよ。生後3ヶ月~1歳6ヶ月までの赤ちゃんとその保護者、妊婦さんを対象にした「赤ちゃんサロン」はほぼ毎週開かれていますし、「お父さんも一緒の赤ちゃんサロン」も年5~6回あります。内容は、絵本の読み聞かせや助産師さん・栄養士さんからのお話など、多岐に渡ります。

また「マシュマロクラブ」という、お母さん主動の親子で遊ぶ会もあります。これはお母さんたちが企画・準備・実施する集まりで、公園への外遊びや屋上運動会など様々な活動を2歳は木曜日、3歳は水曜日に行っています。最初は“自分たちで企画する”ということに戸惑う方も多いので、毎年2月に説明会を行い、内容を詳しくご説明しています。週1回の集まりですのでお母さんたちも密に連携を取り合い、一緒に活動内容を考えていくうちに本当に仲良くなるようで、1年間の活動を終えるときには皆さん涙涙です。

このほか毎週水曜日と木曜日、予約なしで自由に参加できる「親子であそぼうフルーツキャンディ」。浦安市の子育て・家族支援者養成講座修了生が、“子どもとゆっくり過ごせる場を提供したい”と立ち上げた「おやこの広場・ほこほこ」というサロンもあり、毎週月曜日と金曜日、第2・最終水曜日に本施設の部屋で0~3歳までの親子を迎えています。

エントランス横の受付
エントランス横の受付

――このほかにもイベントなどがありましたら、教えてください。

河野さん:毎年11月の第3日曜日の家族の日に、「あきまつり」という全館あげてのイベントを開催しています。児童センターのキッズスタッフやママさんボランティア“マミーズ”、2つの町内の子ども会などが参加してゲームコーナーを担当したり、チームハッピーというダンスグループによる発表があったり、工作室ではプラ板体験ができたり、社会福祉協議会による出店やバザーもあったり、1日楽しく遊んで過ごせる催しです。特に職員たちと高校生ボランティアによる「おばけやしき」が大好評で、“今年もありますよね?”と問い合わせが来るくらい。本当に怖くて、途中で出て来てしまう子どももいるんですよ。

工作室
工作室

また夏休み期間には小学校高学年~高校生を対象に、「ふれあい体験 赤ちゃんとあそぼう」という事業を実施しています。参加する小中高校生には、助産師の方に協力をいただき、事前に妊娠から出産までのビデオを見せ、「命の尊さ」や「命のバトン」のお話をして、その後に赤ちゃんを抱っこさせてもらったり、一緒に遊ぶ体験をします。兄弟が少なくなったり、近所付き合いが希薄になったりと、赤ちゃんを見たことがない子どもたちが最近は増えました。赤ちゃんやその保護者の方々と交流することで、「自分もこんな風に大切に育てられたんだ」「命はこういう風に受け継がれていくんだ」ということを小中高生たちに実感してもらいたいと考えています。この事業は「赤ちゃんサロン」に参加者しているお母さんと赤ちゃんのおかげで成り立っています。保護者の方には小中高生の質問に答えていただいたり、一緒に過ごしていただきます。お母さんにとっても、“小中高学生になるとこんな風になるんだ”と子どもの育ちの参考にもなりますし、地域の子どもたちと顔見知りになるよいチャンスです。この活動は非常に意味深いので、これからも続けていきたいと思っています。

異年齢交流のなかから自然に生まれる優しい気持ち

毎週末には折り紙遊びの時間も
毎週末には折り紙遊びの時間も

――利用する児童たちの学年・年齢を超えた交流などはありますか?

河野さん:特に異学年交流を意識してはいませんが、子ども同士は自然に混ざり合い、話をして遊んでいるようですよ。ここには近隣の複数の小中学校から集まって来ますから、一緒にドッジボールをしながら「何年生?」なんて聞き合っています。ドッジボールには年齢制限がありませんので、小さい子や女の子がいれば左手で投げて少し手加減したり、誰が言い出すともなく年少者に優しくする習慣が生まれているような気がしますね。人に強制されるのではなく、自然発生的にこういう態度や行動が生まれるのは一番望ましい形です。優しくされた低学年の子は、その経験を重ねて高学年になり、また年少者に優しさを返す、そんなサイクルが子どもの中で回っていると感じます。

もちろん毎日のように喧嘩もあれば、揉め事もあります。でも人が生きていくって、人との関わり合いですから、何のトラブルもなく平穏に過ごすことがベストではない。このセンターに通える年齢の間に多くの人と関わって理解し合って、時には喧嘩もして、人との付き合い方を学んでほしいと思います。

ボードゲームなども置いてある図書室
ボードゲームなども置いてある図書室

――今後、力を入れて取り組んでいきたい活動について教えてください。

河野さん:乳幼児~未就学児の子育て支援にはこれまでも力を入れて来ましたが、今後も続けていきたいと思います。また小・中学生にはもっと新しい内容…例えば工作や遊びなど、子どもたちが興味を持てるようなものを提供して、児童センターが楽しくて遊びに来たくなる場所でありたいと思います。

「子育てしやすい街」と誰もが口を揃える浦安市

――浦安市東野周辺の子育て環境の魅力について教えてください。

河野さん:センターにいらっしゃるお母さんたちも、みなさん「浦安市は子育てがしやすい」「行政のサポートが手厚い」とお話されているのをよく聞きます。海外から一時帰国された方も、「オーストラリアよりもずっと子育てしやすい」とおっしゃってましたね。

この「東野児童センター」は、地域の方々の協力なくしては成り立たないほど、この地域の方々は積極的に関わってくださっています。赤ちゃんサロンの講師や子どもたちにベーゴマやけん玉を教えてくださる名人たちも、みんな地域の方々。東野地区は、そんな風に地域で子どもたちを育てよう・見守ろうという気持ちがある、温かな場所ですよ。

イベントの様子を掲示している
イベントの様子を掲示している

※浦安市には「東野児童センター」のほか、もう1か所「高洲児童センター」があるほか、「子育て支援センター」も11か所、「つどいの広場」も2か所あり、子育て中の親子がベビーカーや自転車で行かれる身近な場所に子育て支援施設が整備されています。それぞれの施設では、助産師による相談会やベビーヨガ、手作りおもちゃの会など、趣向を凝らした活動が行われています。

浦安の子育て情報を集めたサイト「MY浦安」や、結婚・出産・育児・保育園・幼稚園情報までを網羅する「みんなの子育てハンドブック ひとりじゃないよ」の制作・配布など、浦安市からの情報発信も充実しています。また、東野地区は東京メトロ東西線「浦安」駅へもJR京葉線「新浦安」駅へもバスでのアクセスがよく、行き先や用途によって2つの線を使える便利な場所。通常の路線バスに加えて、「おさんぽバス」というコミュニティバスが3路線あり頻繁に通っているので、浦安市内も移動しやすい環境です。「おさんぽバス」は小学生以下が無料で利用できますので、市民の方にとっては便利で使いやすい路線になっています。

東野児童センター 河野純栄所長
東野児童センター 河野純栄所長

浦安市健康こども部 東野・高洲児童センター

所長 河野純栄さん
所在地:千葉県浦安市東野1-7-1 総合福祉センター2階
電話番号:047-355-2736
URL:http://www.city.urayasu.lg.jp/events/kodomo/touno/index.html
※この情報は2018(平成30)年10月時点のものです。

学校や塾とは違う、人との付き合い方や優しさを学ぶ場/「東野児童センター」 所長 河野純栄さん
所在地:千葉県浦安市東野1-7-1 (総合福祉センター内)
電話番号:047-355-2736
開館時間:平日10:00~18:00、土・日曜日9:00~17:00
休館日:第4月曜日、祝日(こどもの日を除く)、年末年始(12月29日~1月3日)
http://www.city.urayasu.lg.jp/shisetsu/k..