地域全体でライフサイクルに沿った支援を行う神戸市西区の子育て支援とは?/神戸市西区役所 子ども家庭支援課


神戸市のなかでは最も人口が多く、面積は2番目に広い西区。ニュータウン開発が進んできたエリアで、農村地域と言われるエリアでもある。機能的に整備され住宅と自然を多く残すこの西区は神戸市の中で児童数が最も多く、市の新たな文化や教育の集積地としての期待もかかっている。そんな神戸市西区の子育て支援事情について、こども家庭支援課の平山順子さんと区役所3階に設置されている「神戸市地域子育て応援プラザ西」所長の藤本三容子さんにお話を伺った。

ライフステージに応じた切れ目のないサポートが心強い

インタビューに応じる平山さんと藤本さん
インタビューに応じる平山さんと藤本さん

――まずこども家庭支援課の業務内容について教えてください

平山さん:こども家庭支援課ではお母さんの妊娠から始まって子どもさんが大きくなっていくまでを、ライフステージに合わせて切れ目のない支援を行っていくという方針でサポートしていく業務を担っております。母子保健法や児童福祉法といった法律的な指針に則った部分もそうですが、児童虐待などの問題への対処も担っています。妊娠後の母子健康手帳の交付からお母さんへの面接を行い、出産してからも新生児訪問を行います。その後は4カ月・9カ月・1歳半・3歳の乳幼児健診に、対象となる全ての親子が来られるようにフォローしています。受診実数としては98%くらいで、来られない方に関してはこちらから訪問して乳幼児の様子を見せていただくなどフォローを行い、ほぼ100%の把握を行っています。

その後も、子どもさんが大きくなって小学校・中学校になると、地域のネットワークのなかで連携を取って子どもたちを見守っていきます。性感染症の知識といった性教育や実際に乳幼児を抱っこする「命の感動体験事業」などを通じて、次第に大人になっていく子どもたちを支援しています。そして子どもたちはやがてお父さんお母さんになっていくというふうに、ぐるっと一周回ってライフステージに合わせた支援を行っています。また思いがけない妊娠や産後うつなどについてのSOSの事業や、何らかの形でヘルプを必要とする方については助産院等と連携して個別の対応などを行っています。今、お話した一連の取り組みのなかで育児不安やしつけの問題、親の孤立などに関しては個別の施策も合わせた対応を考えていくという母子支援事業を行っている部署になっております。

西区総合庁舎
西区総合庁舎

――保育園の入園などを含め子育てに悩んだ方が相談できる場所はどんなところがあるのでしょうか。

平山さん:神戸市では各区役所・支所に「保育サービスコーディネーター」という窓口を作っておりまして幼稚園や保育施設についてご家族それぞれの不安なこと、気になっていることを相談していただけるようにしております。保育園がいいのか幼稚園がいいのか、子育てしながら働くにはどうしたらいいのかというようなことに関して、電話での対応もしていますので気軽に相談して頂きたいと思います。

――例えば子育てしながら働くということなど、収入状況に関連することもあると思うのですが、そういう部分に関しても一括して「保育サービスコーディネーター」の窓口で相談するということになるのでしょうか。

平山さん:そうですね。それぞれのケースに応じて保育士との個別の面談であったり、相談の上で別の担当窓口をご紹介させていただくといったこともありますが、まず入り口としての窓口は「保育サービスコーディネーター」で受け付けております。

保健福祉部
保健福祉部

――どんな方が多く相談に来られるのでしょうか? またどんな悩みを持たれている親御さんが多いでしょうか。

藤本さん:1歳までの方は離乳食や夜泣きに関して、1歳から1歳半までは人見知りや保育園の入園に関して、1歳半からは好き嫌いや自分を出してくるいわゆる“イヤイヤ期”に関しての相談があります。1歳6カ月くらいからはトイレットトレーニングの相談が多いですね。子どもさんの年齢に関係なく多いのは公園以外の室内で遊びに行ける場所についてです。例えば児童館などで行われるイベントや地域福祉センター等のサークル活動の情報に関して尋ねてこられます。

――屋内での遊び場などは子育てマップのようなものは作られているのでしょうか。

平山さん:西区子育て支援情報のチラシには一覧が載っていましてインターネットでも情報が見られるようになっています。また西区だけでなく神戸市全体の子育てに関するあらゆる情報を包括してまとめたWebサイトの「ママフレ(KOBE子育て応援団ママフレ)」というものも配信しています。これは妊娠・出産に関する届け出から健康やお金に関してのこと、保育施設や保育のサービス、相談窓口や病院に関することなど子育てに関する必要な情報をまとめた役に立つ情報サイトです。タイムリーな時期に子育ての基礎知識やアドバイスが届く「こうべ子育て応援メール」も配信しています。

西区子育て支援情報一覧(PDFにリンクします)

「こうべ子育て応援メール」(神戸市HPへリンクします)

みんなが子育てを考え、新たな命をつむいでいく

交流や福祉活動の場になっている「井吹北地域福祉センター」
交流や福祉活動の場になっている「井吹北地域福祉センター」

――子育て支援センターの活動内容に関してお話を伺いたいと思います。

藤本さん:神戸市には区に1か所地域子育て支援センターがあるのですが、西区には2か所設けられています。活動内容については大きく分けて6つあり、地域の親子が集まって情報交換や交流の仲間づくりをする「子育てひろば」、親子を対象にした「子育て講座」、「子育てサークル支援活動」、「子育て相談」、「子育て情報発信」、保育園などで一緒にふれあいあそびや給食体験などを行う体験保育「親子ふれあいあそび」です。

――利用者数や利用されるお母さんの層などはどうなっていますか。

藤本さん:早い方は5カ月・6カ月ぐらいから出てこられる方もいらっしゃいます。人数については事業の内容や場所により異なりますが多くて15組前後くらいです。「西神南」駅のそばにある「井吹思い出広場」では毎年7月に水遊びを行っていますが、口コミなどで20組以上来られることもあります。給食体験等の食育の事業は、お母さんたちには関心が高く人気があり、抽選を行う事もあります。

平山さんと藤本さん
平山さんと藤本さん

――続いて、こども家庭支援課で行っている具体的な事業について教えていただけますか。

平山さん:いろんな事業を行っていますが、特に反響が高いものでは、西区が発祥で現在では神戸市全体で行っている「命の感動体験事業」というものがあります。1年に17の小学校において地域の民生児童委員さんや児童館等と協働で実施しています。内容は、小学校5年生・6年生を対象に助産婦さんが、赤ちゃん人形の抱っこ練習の授業を行い、その後の交流会で、乳幼児と触れ合うことで命の尊さや子育てについての理解を深める事業です。その地域に住まわれているお母さんと乳幼児に小学校へ来ていただいて、児童と一緒に遊びます。児童にはあらかじめ自分の生まれたころの話や名前の由来を聞くなどの予習をしてきてもらった上でお母さんと乳幼児の交流会に参加してもらいます。

――参加された小学生の子どもさんたちのリアクションはどんな感じでしょうか?

平山さん:「かわいいなあ」というところから、お母さんからの話を聞いたり、子どもたちが質問をしていくうちに「自分たちもこんなふうに育てられたんだ」「大切に育てられてきたんだ」という意識を強く持つようになります。小学校の5年生・6年生というと思春期に入ってくる難しい時期でもあるので最初は硬く難しい表情をしていたのが、次第に柔らかくなります。最後には離れたくないと言って泣き出す乳幼児もいて、いつも最後はほんわかした雰囲気で終わります。

――小学校の児童にとっては重要な体験になっているのですね。

平山さん:お母さんたちも「自分の子どもを大切にしてもらった」という気持ちを持たれて喜ばれることと、住んでいる近隣の学校で参加してもらうので、自分の子どもが大きくなったら通うであろう学校を観ることができ、参加している児童の様子を見ることで子育ての見通しが立ちます。地域の民生児童委員さんも一緒に参加してもらいますので、民生児童委員さんは地域のお母さんの顔を覚えられますし、事業の後は児童、お母さん・乳幼児、民生児童委員さん、学校の先生とのコミュニケーションが生まれ地域づくりにも役立っています。

都市と自然の機能的バランス・未来の神戸の原石がここに

井吹北地域福祉センター
井吹北地域福祉センター

――それでは地域の魅力や子育て環境などについてお話を伺おうと思います。

藤本さん:西区は神戸市で一番人口が多い区で面積では北区についで2番目になります。神戸市のなかでは有数の自然環境に恵まれた場所で、最近よく言われる「トカイナカ」の魅力を持った街と言えると思います。自然と都市・住宅機能が各駅を中心にバランスよく広がっていて子育て環境には特に良いのではと感じています。農村と都市の関わりなどで神戸市の新たな文化や教育の集積地としての期待もかかっています。これからさらに発展の期待ができるエリアではないかと思っています。

――では最後に子育て世代の方に向けたメッセージを一言いただければ嬉しいです。

藤本さん:西神中央地域、西神南地域では幼稚園、保育園、保育所、認定こども園、児童館、民生児童委員さん、主任児童委員さんなどが、皆さんの子育てを応援しています。子育てをする中でいろいろと不安なこと、心配なことがたくさんあるかと思いますが、皆さんの周りにはたくさん応援してくれる人がいるということを知っていただき、子育てを楽しんでほしいと思います。私たち地域子育て応援プラザも今後も子育て中の皆さんを応援していきます。

神戸市西区役所
神戸市西区役所

神戸市西区役所 こども家庭支援課

こども保健係長 平山順子さん
神戸市地域子育て応援プラザ西(地域子育て支援センター西)所長 藤本三容子(みよこ)さん
所在地 :兵庫県神戸市西区玉津町小山180-3
電話番号:078-929-0001
URL:http://www.city.kobe.lg.jp/ward/kuyakusho/nishi/
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。

地域全体でライフサイクルに沿った支援を行う神戸市西区の子育て支援とは?/神戸市西区役所 子ども家庭支援課
所在地:兵庫県神戸市西区玉津町小山180-3 
電話番号:078-929-0001
開庁時間:8:45~17:15 ※第2・4木曜日は一部窓口で19:00まで開庁
閉庁日:土・日曜日、祝日、年末年始
http://www.city.kobe.lg.jp/ward/kuyakush..