麗和幼稚園 園長 斎藤敦夫さんインタビュー

遊びと絵本と祈りを大切にする/麗和幼稚園(埼玉県)


埼玉県さいたま市にあるJR「浦和」駅から徒歩約10分。浦和諸聖徒教会を母体とする『麗和幼稚園』は、2012(平成24)年に100周年を迎えた歴史ある幼稚園です。現在園長を務めるのは、長年絵本や童話の編集に携わり、『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』などの著作で知られる児童文学作家の斎藤敦夫さん。今回は、毎年同園で行われる「絵本大学」の講師も務める齋藤先生に、お話を伺いました。

遊びが子どもの個性を輝かせる

モザイク壁画で彩られた入口
モザイク壁画で彩られた入口

――園の概要について教えてください

齋藤園長:1912(大正1)年に、埼玉県で最初に認可された幼稚園です。定員は80名。年少・年中・年長の3クラスがあり、午後4時半まで延長保育も行っています。キリスト教の精神に基づいた人間教育に重点を置いています。

園舎
園舎

――園の特色について教えください

齋藤園長:人間の豊かさは、幼い頃に遊んだ量と質によって決まると考えています。だから当園では「遊ぶこと」を重視しています。それぞれの園児が「やってみたい」と思って取り組む遊びが、幼児にとっての学びであり、その中でこそ子どもは個性を発揮し、成長するものです。それ以外で他の園と違うところといえば、制服や給食、通園バスがないところでしょうか。また、教会を母体とする園なので、日曜礼拝があるのも特徴です。

思い思いに遊ぶ子どもたち
思い思いに遊ぶ子どもたち

――遊びを重視しているとのことですが、子どもたちは具体的にどんな遊びをしているのでしょうか

齋藤園長:外遊びなら泥んこ遊び、鬼ごっこ、木登り、虫取りなど。もちろんブランコやすべり台といった遊具も人気です。室内だと積み木、パズル、お絵描きといったところでしょうか。特に変わった遊びをしているわけではないんです。園児一人一人の意思を尊重し、極力その子がやりたいことをやらせてあげるよう努めています。

食育にもつながる季節の実り豊かな園庭

園庭のシラカシとツリーハウス
園庭のシラカシとツリーハウス

――園での行事について教えてください

齋藤園長:運動会、クリスマス会、芋掘りなど季節ごとにいろんな行事があり、全園児で「大宮第二公園」に出かける遠足もあります。7月には奥多摩にあるJR「古里」駅近くの宿泊施設「奥多摩福音の家」を利用した1泊2日の宿泊保育を行っています。調理保育も盛んで、園庭の柿をもいで切り分けて食べるほか、持ち寄ったお米をといで炊き、みんなで握って食べる「おにぎりの日」もあります。子どもたちが握るおにぎりは大抵すごくしょっぱいんですけど、みんな大いに楽しんでます。

踏み台と古タイヤ
踏み台と古タイヤ

――園庭が調理保育にも役立っているようですね

齋藤園長:桜、梅、木蓮、タイサンボク、オシロイバナ、金木犀、彼岸花・・・四季折々楽しめるよう、さまざまな木が植えられています。中央にある大きな木はシラカシで、秋になると子どもたちが大好きなドングリがなります。柿の木は実を食べるだけでなく、若葉を天ぷらにして食べていますよ。ブドウやキウイ、ムカゴなども、育つ様子を眺めてからみんなでおいしく食べています。

泥団子をぶつけて遊ぶシート
泥団子をぶつけて遊ぶシート

――「絵本大学」についても教えていただけますか

齋藤園長:世界と日本の絵本50冊を一年かけて楽しみながら、子どもの成長と絵本の関係を考える講座です。絵本体験の素晴らしさを知ってもらうために始まった保護者向けのイベントで、2003(平成15)年から続いています。作品選びを間違えたり、少し字が読めるようになると読書の自立を急がせたり、保護者が良かれと思ってやることが結果的に子どもを活字離れにしてしまう場合があるので、そういったことを防ぐ一助になればと思っています。

ツリーハウス越しに見るシラカシ
ツリーハウス越しに見るシラカシ

全神経を子どもに向け、しっかり叱る

――幼稚園の園長になられてみて、いかがですか

齋藤園長:イギリスの詩人・ワーズワースの詩に「子どもは大人の父である」という一節があるように、子どもの言葉やふるまいにはハッとさせられるものがあります。児童書の編集者、作家として子どもをしっかり見てきたつもりでしたが、最初は毎日が驚きの連続でした。保育のプロである先生方に学ぶことも多く、園児同士のいざこざを止めようとして「せっかく始めたケンカを止めないでください」と若い先生に注意されたこともあります(笑)。

園庭に面した1階の保育室
園庭に面した1階の保育室

――子どもたちが毎日安全に生活するために、意識していることはありますか

齋藤園長:常に全神経を子どもたちに向けること、でしょうか。毎日その日に起こった出来事を報告し合うのですが、先生方はみんな「後ろに目があるのか」と思うほど園児のことをよく見ています。また、叱るべきときはきちんと叱ります。以前、長い板切れで他の園児をぶつ真似をする子がいたので、お尻を叩いて叱りました。お母さんにそのことを伝えると「家でも棒を人に向けたりしていたので心配していました。叱ってくださって良かった」と言っていただきました。

園庭のブドウ
園庭のブドウ

――そのほか、保育で大切にしていることがあれば教えてください

齋藤園長:私は人間にとって大切なのは「耳を澄ます」ことだと考えています。そして「耳を澄ます」こととは祈ることだと思っています。遊びと絵本は子どもたちに、自然のささやきや動物たちの声、人の言葉に「耳を澄ます」ことを教えてくれます。麗和幼稚園は、100年以上にわたって守られてきた“遊びと絵本と祈りの場所”です。今もその精神に変わりはありません。

――最後に、浦和常盤エリアの魅力についてお聞かせください

齋藤園長:この辺りは静かな文教都市です。湘南新宿ラインができて急行が停まるようになったので交通の便も良く、住みやすい場所だと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。園児たちの自主性を育む、昔ながらの遊びや幼いうちから海外の絵本にふれたりと情操教育上にも良い試みをおこなっている、埼玉県さいたま市浦和区の『麗和幼稚園』の斎藤園長のお話でした。これからさいたま市エリアへの移住と、子育てを考える際の参考にしていただければ幸いです。

園長の齋藤さん
園長の齋藤さん

麗和幼稚園

園長 齋藤惇夫さん
所在地 :埼玉県さいたま市浦和区仲町2-10-1
電話番号:048-822-4594
保育時間:8:45~14:00 第1・3・5水曜日のみ8:45~11:30
URL:http://www5b.biglobe.ne.jp/~reiwa/
※この情報は2019(令和元)年6月時点のものです。

遊びと絵本と祈りを大切にする/麗和幼稚園(埼玉県)
所在地:埼玉県さいたま市浦和区仲町2-10-19 
電話番号:048-822-4594
http://www5b.biglobe.ne.jp/~reiwa/