理事長 柳島隆二さんインタビュー

地域に根ざし、歴史を刻み続ける/海野町商店街(長野県)


長野県上田市で昔から親しまれている「じまんやき」など、上田の風土・文化を感じさせる店が居並ぶ「海野町商店街」。その始まりは、戦国時代とも言われています。城下町として栄えた当時の様子とは異なりますが、それでも歴史を感じて買い物ができる、味わい深い商店街です。今回は商店街の歴史やイベント、街の変化に加え今後の展望などを、「海野町商店街」理事長、柳島隆二さんに伺いました。

「海野町商店街」理事長 柳島隆二さん
「海野町商店街」理事長 柳島隆二さん

上田の街の中心にある、賑わいと活気

――まずは「海野町商店街」の歴史について、お聞かせください。

柳島隆二さん:商店街を中心とする海野町については、「上田城」を築いた真田氏が先祖の地・海野郷から商人を移住させたのが起源とされています。町が発展し、人々の往来が活発化していくなかで自然発生的に商店街の原型が出来上がったと考えられています。

「海野町商店街」に振興組合が発足した1967(昭和42)年から1973(昭和48)年に掛けては様々な動きがありました。到来するモータリゼーションを見据えての道路拡幅と、そのセットバックに伴う改築工事。そして歩道と車道の分離や、アーケードを設置したのもこの頃です。平成に入ってからは歩道のカラー舗装やフットライトの設置、新しいアーケードへのリニューアルもしました。令和2年4月時点での店舗数は47。その数は10年前と比べてもほとんど変わっていません。

古くからの店舗も、継続した賑わいを生んでいる「海野町商店街」
古くからの店舗も、継続した賑わいを生んでいる「海野町商店街」

――新旧がバランスよく共存している商店街かと思いますが、それ以外に「海野町商店街」の特徴・魅力はどのようなところでしょうか。

柳島隆二さん:一口に言えば“地域密着型”の街に支えられた商店街ということですね。金物屋に花屋、飲食店に洋品店が立ち並び、生活に必要となる大半のものがここで手に入ります。また、昭和40年代からすでに駐車場を確保しており、現在は30分間無料の2層3階建の駐車場になっています。

古い話ですが、かつて海野町には「ほていや」という百貨店がありました。屋上に遊園地があって、私もそこで遊んだ記憶があります。街の中心にあったので当然ながらいつも賑わい、そこで買い物を終えた人がそのまま商店街を歩くといったいい流れができていました。

その「ほていや」は1977(昭和52)年に撤退し、商店街としても少なからず影響が出てしまいましたが、街歩きや商店街歩きをすれば所々にいいものがありますから、それを拾い上げ、磨いていくことが今後の商店街づくり・まちづくりに繋がっていくのではないかと考えています。

――最近の「海野町商店街」の変化があれば教えてください。

柳島隆二さん:2015(平成27)年4月に、国内最大規模のコワーキングスペース「HanaLab.Unno」がオープンしました。1階がコワーキングスペースで、2階は8部屋のシェアオフィスになっており、託児所を併設しているので1〜3歳の子どもを預けることができます。子育て中の女性と社会をつなぐ場所として期待しています。

また、学園都市・上田の拠点として「まちなかキャンパスうえだ」が商店街に設置されました。上田市内の4大学と地域が連携しながら、学生と市民が交流する場を提供しています。商店街ではこの施設と連携し、大学、市、商工会議所、商店街が参加する「ワークショップまちづくりプロジェクト」を立ち上げ、学生の意見を聞きながら事業やイベントの見直しをしています。

長野県上田市の大学生と地域活動のためのスペース「まちなかキャンパスうえだ」
長野県上田市の大学生と地域活動のためのスペース「まちなかキャンパスうえだ」

人が笑顔で集う場所こそ商店街

――「海野町商店街」では色々なイベントが開催されるそうですね。

柳島隆二さん:年間を通じてイベントを開催していますが、最も規模が大きいのは夏の「上田七夕まつり」です。ライブ演奏をはじめ、大小様々な出し物があるのですが、やはりメインとなるのは七夕飾りです。森林組合から購入した立派な竹をそれぞれ軒先に立て、店舗ごとに飾りつけます。300メートル近い商店街の両側から通りの中心にむかってしなる光景は、さながら竹のトンネルです。

「夏の風物詩」として、多くの人で賑わう「上田七夕まつり」
「夏の風物詩」として、多くの人で賑わう「上田七夕まつり」

春と秋は「フードサミット」という名称の食をテーマにしたイベントがあります。市内の農家や生産物直売所、飲食店に声をかけ、商店街で販売してもらっています。こうした情勢ですから今年度は、イベントの開催はできなかったのですが、年末の「北海道サロマ大海産物市」だけは実施しました。利益を度外視した人気のイベントで、開催期間は3日でしたが、2日目でほとんど完売してしまいました。どれくらい仕入れるのか、いつもその量に悩みますね。

――最近ホームページもリニューアルされたそうですが、今後の商店街としての取り組みや注力したいことはありますか?

柳島隆二さん:ECサイトが隆盛を極めている時代ですから、商店街としては現状を維持するのではなく、積極的に新しいことに挑んでいきたいと考えています。まだ始まったばかりですが、実店舗を構えながら、並行してオンライン販売を手掛ける人も出てきました。それに加え、劇場・ゲストハウスの「犀の角」と連携して、商店街のイベントに手伝ってもらうということにも、これから力を入れていきたいですね。

魅力あふれる商店街の景観
魅力あふれる商店街の景観

――最後になりますが、上田市中央エリアの住環境について聞かせてください。

柳島隆二さん:もともと私は東京で働いていたのですが、自分の店を持ちたいという気持ちが強く、それならばと故郷の上田に戻ることにしました。そこで改めて思ったのは、上田は住みやすい街だということ。昨今、“コンパクトシティ”が注目されていますが、個人的には上田がそれを体現しているように思います。

歴史・文化薫る風土の上に、学校、役所、病院、商店街をはじめとする買い物施設があります。雪も少なく、徒歩圏内の「上田」駅から新幹線に乗れば、東京に日帰りで行けてしまうことも大きな魅力ですね。

戦国時代からの歴史を有する歴史と地域に根ざした商店街
戦国時代からの歴史を有する歴史と地域に根ざした商店街

海野町商店街

理事長 柳島隆二さん
所在地 :長野県上田市中央2丁目10番13号
電話番号:0268-22-9301
URL:https://unnomachi.jp/
※この情報は2020(令和2)年2月時点のものです。

地域に根ざし、歴史を刻み続ける/海野町商店街(長野県)
所在地:長野県上田市中央2丁目10番13号 
電話番号:0268-22-9301
https://unnomachi.jp/