活気で満ちあふれる商店街の歴史を今に伝える/株式会社いせき 専務 井関克行さん
株式会社いせき
専務 井関克行さん
活気で満ちあふれる商店街の歴史を今に伝える
創業122年の老舗小売店
1893(明治26)年の創業より、木綿織物の産地として栄えた所沢の歴史を今に伝える老舗の小売店「いせき」。「所沢」駅の西口に広がる市内でもっとも賑わいのある繁華街「プロペ通り」にお店を構え、地域に根ざしたお店づくりが多くのファンの支持を集めています。
今回は、「株式会社いせき」の専務として多忙な日々を送るとともに、2014(平成26)年には「公益社団法人 所沢青年会議所」の理事長を務めるなど、まちづくりにも尽力する井関克行さんに所沢の街の魅力についてお話を伺いました。
まず、「いせき」の創業から現在に至るまでの沿革について教えてください。
「株式会社いせき」の歴史は1893(明治26)年に創業した初代井関丑五郎(いせきうしごろう)による織物の買継商に始まります。明治から昭和のはじめにかけて、所沢界隈は木綿織物の産地として栄えていたのですが、丑五郎の生まれた青梅も機織りの町だったことから、織物の道を歩んだものと思われます。
買継商の仕事は、東京・大阪はもとより北海道や九州まで販路を拡大するほどの実績をあげていたようですが、1942(昭和17)年に施行された繊維関係企業に対する整備令により廃業を余儀なくされ、買継商としての歴史にいったん幕を下ろしました。
その後、丑五郎の孫にあたる井関武七が太平洋戦争後の混乱のなか化粧品と文房具の小売店としてお店を再開させたのが1945(昭和20)年の年末です。翌1946(昭和21)年には衣料品の登録店制度が発令され、1947(昭和22)年3月には正式に登録店として衣料の配給品を扱えるようになり、その後、呉服を扱うようになりました。
当時はまだ呉服店としては駆け出しで、それこそ試行錯誤の連続だったようですが、当時はまだ珍しかった新聞の折込広告や商店街と共同でイベントを企画するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。昭和40年代に入ると「所沢」駅前に西友や丸井といった大型店が相次いで出店し、50年代には市内でも屈指の繁華街として街は賑わい、それと共に会社を発展させてきました。
昔ながらの土蔵のお店も増改築を繰り返し、1988(昭和63)年には現在の6階建てのビルを完成するに至りました。創業より122年、会社設立より65年を迎える「いせき」は現在、4代目社長のもと35名の社員とともに地域に根ざしたお店づくりに邁進しています。
2フロアに分かれている売場では主にどのような商品を扱っていますか?
1階の生地売場では、無地やパッチワークの生地はもちろん入園・入学シーズンになると毎年100件以上もの加工の依頼があるキャラクターのプリント生地など、生地だけでも膨大な数の商品を取り扱っています。
レッスンバックや、シューズケース、お弁当入れなど、近くの幼稚園や保育園、小学校に子どもが通う親御さんの口コミにより評判が広がり、ご好評をいただいています。
また店舗奥には各メーカーのミシンを取り揃えた展示コーナーもあるのですが、専門のスタッフが常駐しているため使い方に関する説明や試し縫いなども丁寧に指導しています。
続いて2階のカーテン売場には、およそ800点ものオーダーカーテンのサンプルを取り揃えているのですが、近隣のマンションにあたらしく引越してきたご家族などにも好評で、専門のアドバイサーによる出張見積りや採寸も無料で行っています。
駅周辺で生地やホビー用品を扱うお店は他にもいくつかありますが、ミシンコーナーのインストラクターや1階の生地売場には60歳を過ぎても今なお現役で活躍する販売員がいるなど、経験と専門性を合わせ持ったスタッフがいるのは、地域に根ざした商店街のお店という点でもお客様の信頼感につながっているかなと思います。
地域とのつながりという点では具体的にどのような取り組みがありますか?
最近の出来事としては、所沢市のイメージマスコット「トコろん」のぬいぐるみを販売しています。2013(平成25)年の「全国ゆるキャラグランプリ」で26位になったのですが、「mini miniトコろん(15cm)」(税込1,200円)と「BIGトコろん(90cm)※お取り寄せ」(税込29,800円)の2種類があります。
ぬいぐるみそのものは市内にある専門の会社が制作しているので販売しているだけですが、店内にもところどころにぬいぐるみをディスプレイすることで、PRのお手伝いをさせてもらっています。
また、市内にある中学校の“職場体験”の受け入れや、近隣の大学からはインターンの協力要請もあり、毎年多くの学生さんにお越しいただいています。それと、私自身は「公益社団法人 所沢青年会議所」のメンバーのひとりでもあり、およそ70名のメンバーとともに“まちづくり”にも携わっています。
「公益社団法人 所沢青年会議所」では具体的にどのような活動をしていらっしゃるのですか?
まず、「公益社団法人 所沢青年会議所」の目的としては、“まちづくり”とそれを支える“ひとづくり”の2つを大きな柱としているのですが、具体的な取り組みとしては、例えば2014(平成26)年には“B級グルメイベント”や“ダンスコンテスト”など、所沢の魅力をPRする企画を行いました。
他にも子どもを対象とした“わんぱく相撲大会”や“体験塾”と名付けた体験学習活動では、小学校3〜6年生までの約50名とともに伊豆大島を訪れ、土砂災害後のゴミを拾うボランティア活動を行いました。「公益社団法人 所沢青年会議所」のメンバーには、商店主のほかにも工務店の社長さんやお医者さんなど業態業種を超えて幅広い分野の方が集まっているため、今後も所沢の発展のためにさまざまな活動を進めていく予定です。
所沢の街の魅力について教えてください。
所沢には“航空発祥の地”を今に伝える「航空公園」があります。また、映画のモデルになったことで「トトロの森」としても親しまれている「狭山丘陵」など、豊かな自然に恵まれた生活の素晴らしさをあらためて気づかせてくれる環境があります。
スポーツでは「埼玉西武ライオンズ」の本拠地でもありますし、食ではB級グルメでもお馴染みの“だんご”と“うどん”は、所沢の食文化をあらわす代表的な食べ物です。住宅地や路地裏にも名店として親しまれているお店があり、ぜひ食べ歩きを楽しんでいただければと思います。
これから、さらに街の魅力を高めていくためにお考えのことを教えてください。
「所沢」駅前を中心とした“中心市街地の発展”というのが、今もっとも必要とされている事だと感じています。お店のある「プロペ通り」について言えば、チェーン店なども増えてきており、賑わいをみせています。
そんな中で、こだわりや魅力のある個人商店なども、チェーンのお店と上手く共存し、一緒になって街を盛り上げていければ、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで老若男女を問わずみんなが安心して過ごせる商店街になるのではと思います。
最後に、これから所沢に移り住もうと考えている方にメッセージをお願いいたします。
武蔵丘陵など、豊かな自然が身近な住環境となっており、住み心地のよいエリアだと思います。また、青年会議所での活動をして いると、よく分かるのですが地域のつながりが強いように感じます。子育てにも地域が支えてくれる環境が整っているので、安心できると思います。
それから、創業より122年を迎える「いせき」では、歳時記や季節に合わせてさまざまな売り出しを行っています。お越しいただければ、活気ある所沢の商店街の雰囲気を感じていただけると思います。
今回、話を聞いた人
株式会社いせき
専務 井関克行さん
所在地:埼玉県所沢市日吉町9-22
電話番号:04-2922-1355
URL:http://www.iseki-tokorozawa.jp
※記事内容は2015(平成27)年3月時点の情報です。
活気で満ちあふれる商店街の歴史を今に伝える/株式会社いせき 専務 井関克行さん
所在地:埼玉県所沢市日吉町9-22
電話番号:04-2922-1355
営業時間:10:00~19:00
定休日:毎月第3水曜日(ただし2月と8月は19~21日のいずれかを定休とし、第3水曜日は営業する)
http://www.iseki-tokorozawa.jp