店主 北川さんインタビュー

上田のソウルフード“志゛まんやき”の変わらない魅力/富士アイス(長野県)


長野県上田市の中心市街地にある、約300mの「海野町商店街」の真ん中あたりに店を構える「富士アイス」。店先には、焼きたての「志゛まんやき」を求める人が絶えません。寒風吹きすさぶなか、待ってでも買いたいと思わせる「志゛まんやき」は、上田のソウルフードとも呼ばれています。そんな「志゛まんやき」を手作りし続ける「富士アイス」の三代目、北川さんにお話を伺いました。

忙しい営業時間の合間をぬって、お話いただいた北川さん
忙しい営業時間の合間をぬって、お話いただいた北川さん

1日1,000個以上が売れる「志゛まんやき」。「富士アイス」の三代目として

――さっそくですが、創業から現在までの歩みを聞かせてください。

北川さん:創業したのは1935(昭和10)年で、当時の屋号は「富士屋」でした。日本一の山と言えば富士山。そこから“富士”を取ったようです。その後、屋号が「富士アイス」に変わるのですが、当時まだ珍しかったアイスキャンディーを販売していたことからその屋号になりました。

平均すると1日1,000個以上が売れますが、曜日や季節によってもその数は変動しますね。平日よりも土曜日と日曜日、季節で言えば冬が忙しくなります。商品はあんことカスタードクリームがあり、それ以外ではあんこを単体でも販売していますよ。数十年も通われる方、また1人で20個、30個と買っていかれる方もいらっしゃいます。

――「志゛まんやき」は上田のソウルフードと言われています。その名称の由来が気になるところです。

北川さん:実は、はっきりとしたことは私も分かりません。推測するしかないのですが、興味を持ってもらいたかったからという理由も考えられますし、初代の奥さんの名前に“志”の字が入っているので、そこから取ったのかもしれません。実際のところは分かりませんが、いずれにしてもこうした質問を受けることが多くて注目されるので、いい名前にしてくれたなと思います(笑)。

「志゛まんやき」
「志゛まんやき」

――「志゛まんやき」のこだわりを教えてください。

北川さん:あんこは北海道・十勝産の小豆を使い、8時間以上かけて炊きあげます。一度に1日分を仕込むのではなく、必要な分だけの生地をつくり、注文数に応じて焼いていきます。冷めても美味しいと言っていただけますが、やはり焼き立てを召し上がっていただけると作り手冥利に尽きますね。

――創業80年以上という長い歴史がありますが、創業当時から変わらないことや変わったことはありますか?

北川さん:基本的なことが、創業時から変わっていませんね。商店街のイベントがあるときは期間限定商品を販売しますが、基本となる商品はあんことカスタードクリームだけ。変わったと言えるほど大きなものではありませんが、当時と比べると甘さは抑えられていると思います。時代によって好まれる甘さがあるので、もしかしたら将来的に少しずつ変わっていくかもしれませんね。

――これまでの歴史の中で困難な局面はありましたか?

北川さん:飲食業ですから季節・気候によって売れる・売れないは確かにあります。しかし私が3代目を継いでから20数年が経ちますが、その間に大きな危機はありませんでした。地域の方に支えられて今日にいたることを考えると、本当にありがたい限りですね。

「志゛まんやき」の歴史を見ることができる写真
「志゛まんやき」の歴史を見ることができる写真

変わりゆく街の景観の中で、変わらないものとは

――3代目として20数年が経ったとのことですが、上田市中央エリアの変化についても聞かせてください。

北川さん:街並みということでは、周りの商店街にあったアーケードが撤去されて随分印象が変わりました。昔は駅まで傘をささずに行けたものですが、今となってはそれも過去の話ですね。この「海野町商店街」の場合は、アーケードは撤去しないリニューアルとなったので、通りの大きな印象は変わっていませんね。

それ以外ではやはり、マンションが増えてきましたね。後継者がいないため、どうしても店を閉めてしまう店舗もありますので、そこがマンションに変わっています。大型ショッピングモールができ、ECサイトで買い物をするのが当たり前になりましたが、そうした状況でも小学校は、社会科見学で商店街を以前と変わらず使ってくれていますね。本当にありがたいですね。

逆を言えば、商店街があることで子どもたちは身近な社会を学び、住んでいる街を知ることになるとも言えます。時代は変わっても、商店街の役割はまだまだあると思いますよ。

商店街の一部を形成する「富士アイス」
商店街の一部を形成する「富士アイス」

――最後に、上田市中央エリアの住環境について聞かせてください。

北川さん:住むにはとても便利だと思います。市役所、学校、病院、さらには商店街もありますし、全国的に知られるようになった「上田城」も徒歩圏内です。信州ですから寒いには寒いのですが、雪は少ないので雪かきの苦労もありません。こうした利便性もあって、多くの人が移り住んでいるのだと思いますよ。

富士アイス

店主 北川さん
所在地 :長野県上田市中央2-10-14
電話番号:0268-22-1077
URL:https://unnomachi.jp/
※この情報は2021(令和3)年2月時点のものです。

上田のソウルフード“志゛まんやき”の変わらない魅力/富士アイス(長野県)
所在地:長野県上田市中央2-10-14 
電話番号:0268-22-1077
https://unnomachi.jp