全校一丸となって小中一貫教育を推進する/八潮市立大曽根小学校(埼玉県)
つくばエクスプレス(TX)「八潮」駅から徒歩15分。TXの高架と首都高6号三郷線の間の住宅地に、「八潮市立大曽根小学校」はある。校長として5年目となる須賀裕之校長先生に、日々取り組んでいる教育活動や地域住民との関わり、周辺の魅力などについて伺った。
直線で100m取れる広い校庭と緑に覆われた中庭が魅力
――まずは「八潮市立大曽根小学校」の歴史や概要についてお聞かせください。
須賀校長先生:本校は1969(昭和44)年の創立で、56年目を迎えました。現在の児童数は589名で、通常学級18級、特別支援学級3学級の計21学級あります。歴史をさかのぼると、本校は「八潮町立八潮第四小学校」として産声を上げ、1994(平成6)年に校名変更が行われて現在の「八潮市立大曽根小学校」となりました。児童数は1976(昭和51)年の1,344名をピークに少しずつ減っていき、ここ数年は600名弱で推移しています。学区内ではマンションや一戸建ての住宅の建設が進んでおり、今後は児童数の増加が予想されています。
本校の自慢のひとつが、市内の小学校では一番広いといわれる校庭です。数年前の区画整理によって南側が削られましたが、それでも広く、休み時間や昼休みには校庭で遊ぶ子どもたちの元気な声が聞こえてきます。また、地面がやわらかい草で覆われている中庭もかなりの広さがあり、子どもたちはこちらでも縄跳びや鬼ごっこをするなど自由に使っています。
須賀校長先生:初代校長である清水義潔先生が作詞された校歌も本校の誇りです。作曲は4年前のNHK連続テレビ小説「エール」のモデルになった古関裕而先生です。数々の名曲を手がけた古関先生が作曲されたことは大変名誉なことです。以前お聞きした話によると「清水先生が学生時代に音楽が好きで、古関先生にピアノを習っていた。その関係から校歌の作曲を依頼したのではないか。」とのことです。
――学校経営と教育目標についてお聞かせください。
須賀校長先生:学校経営の基本理念は「学校は子どもたちのためにあり、時代を担う人づくりを目指して知・徳・体の調和のとれた教育を行う学び舎である。そのため児童の教育に携わる教職員は教育公務員としての自覚を持ち、授業を核として常に変化していく予測困難な社会をたくましく生きる力を担う教育を推進していかなければならない。」です。これをふまえ、本校では「進んで学びとる子」「仲よく助け合う子」「体を鍛える子」という学校教育目標を掲げ、「輝く笑顔と夢いっぱいの学校」をめざす学校像としています。
日々の授業や朝学習を通して、望ましい学習態度や基礎学力の定着を図る
――教育目標に沿った具体的な取り組みがあれば教えていただけますでしょうか。
須賀校長先生:教育目標を具現化するための取り組みの重点が5つあります。1つめは「学力がつく学校」として、学力向上に努めています。児童の主体的・対話的な学びを重視し、45分間の授業を大曽根スタンダードと名付け「つかむ・見通す」「考える」「深める」「まとめる」という流れで進めています。これに伴い、望ましい生活態度を身につけるための大原中ブロック「生活スタンダード8か条」にも取り組んでいます。また、週3日は始業前の15分間を「レベルアップタイム」として全校児童が国語や算数の問題に取り組み、基礎学力の定着を図っています。タブレット端末が一人1台寄与されたことで、ICTを活用した授業も進んでいます。
須賀校長先生:2つめは「心と体が育つ学校」です。毎週火曜日の朝時間を「フレッシュタイム」として全校児童で運動をしています。また、月1回程度「大曽根っ子タイム」と名付けた縦割り活動を行っています。異学年によるグループ活動を通して集団の一員という自覚を高め、より良い人間関係を築き上げることをねらいとしています。さらに、市内の直井亜紀先生という助産師さんに毎年ご協力いただき、命の授業を実施しています。いわゆる性教育ですね。6年生を対象にした授業に加え、家庭での伝え方について保護者に対してもお話いただいています。
3つめは「安心できる学校」の具体策のひとつとして、今年度から市内一斉小中合同引き渡し訓練が始まりました。災害時に保護者が迎えに来られない場合、代理として中学生が弟や妹を迎えに来ることができます。市内一斉に行うことで実際に中学生が小学生を迎えに来ることが可能になり、さらによい訓練ができるようになりました。
須賀校長先生:4つめの「信頼できる学校」のひとつは、地域住民と連携した取組です。八潮市ではすべての小中学校でコミュニティスクールの運営を実施していて、本校でも年3回を基本に学校運営協議会を開催しています。構成メンバーは校長、教頭、主幹教諭、保護者、自治会の代表者、PTAの役員等で、第1回では、学校経営方針や取組等を校長から説明し、みなさんから意見をもらって承認を受けています。
また、保護者や「いぶきの会」(お父様方)の力をお借りして、昨年度は運動会での自転車整理やテント設営のお手伝い、校内美化活動として校庭の側溝清掃や除草作業などを行いました。保護者や地域の方が関わるイベントとして今年度は、学期ごとの「スポチャレ」、アクセサリー教室、そして毎年土曜日の授業参観後にバザーや模擬店の出店などを行う「大曽根っ子まつり」などを予定しています。
須賀校長先生:5つめが「小中一貫教育に取り組む学校」です。八潮市は、「基礎学力の定着が不十分」「不登校の児童生徒が多い」といった課題を解決するため、2006(平成18)年度に小中一貫教育を取り入れ、19年目を迎えています。当初の課題についてはかなり成果が出てきているので、次のステップが考えられているところです。今後も小中9年間の「授業のつながり」を大切に、授業改善を推進し、全ての児童生徒に「学力」、「体力」、「豊かな心」を育成していきます。
小学校10校と中学校5校で5つのブロックを構成していて、本校は「大原小学校」と「大原中学校」の3校で大原中ブロックを構成しています。3校の先生方が各部会に分かれ、それぞれが9年間を見通したテーマを決めて活動しています。夏季休業中に3校合同の研修会を開いて進捗状況を確認しています。最も意義深いのは、小中学校の先生方が顔見知りになることです。小中共通の指導プラン「八潮スタンダード」に沿った学習や生活の実施に加え、子どもたちの様子を個々に伝え合うことで、小学校から中学校へのスムーズな進学を後押ししています。
都心まですぐ!道路や公園、商業施設が整備された、便利で落ち着いた住宅地
――地域をフィールドにした授業、出前授業などもあるのでしょうか。
須賀校長先生:市内の小学5・6年生と中学1年生の希望者を対象に、八潮市が「八潮こども夢大学」という取り組みを行っています。提携する近隣の大学をまわって体験授業を受けるもので、学ぶ意欲や探求心の向上を図るねらいがあります。出前授業はコロナ禍で中止にしたものがありましたが、少しずつ復活しています。本校の目の前にある「八潮いこいの里」という高齢者施設との交流は昨年度再開しました。4年生の総合的な学習の時間で行う福祉教育の一環で、子どもたちが実際に訪れて交流しています。
――八潮エリアの環境で子どもたちが育つ、その魅力をお聞かせください。
須賀校長先生:2005(平成17)年のTX開業に伴い東京都心へのアクセスが向上し、住宅地として人気を集めているので、若い人も移住しやすいのではないでしょうか。私はTXの開通時に担任教諭として本校に勤務していたので、街の変化を肌で感じました。それまで都心に出るにはまずバスで「草加」駅や「綾瀬」駅まで行く必要がありましたから、本当に便利になりました。中学受験をする子も増えましたね。
本校周辺でも、住宅とともに広々とした道路や公園などが整備されています。昨年度は正門からすぐの所に「大曽根小北さくら公園」がオープンしました。住民の声を反映して作られた公園で、毎日たくさんの人が利用しています。お子様を持つ保護者にとっては、こうした便利で落ち着いた環境が重要なのではと思います。
――最後に、これから八潮エリアにお住まいになられる方々へメッセージをお願いします。
須賀校長先生:中川や綾瀬川といった一級河川が流れる自然が身近にある一方、便利な商業施設も点在しています。「住みやすさナンバー1のまち 八潮」をめざして市も力を入れているので、環境は整っていると思います。
八潮市立大曽根小学校
須賀裕之校長先生
所在地:埼玉県八潮市大字垳527
電話番号:048-996-6372
FAX:048-997-9017
URL:https://www15.schoolweb.ne.jp/swas/index.php?id=1110052
※この情報は2024(令和6)年5月時点のものです。
全校一丸となって小中一貫教育を推進する/八潮市立大曽根小学校(埼玉県)
所在地:埼玉県八潮市大字垳527
電話番号:048-996-6372
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