生きる力を培う教育を行う/立川市立立川第二中学校 常盤隆 先生
校長 常盤隆 先生
生きる力を培う教育を行う
「立川市立立川第二中学校」
東京西エリア最大の乗車人数を誇る「立川」駅は、JR中央本線・南武線・青梅線のほか、多摩都市モノレール線も乗り入れるという三多摩地区の中心駅。駅前の充実した商業施設に加え、少し歩けば静かな住宅街が広がり、特別快速を使えば新宿まで25分という通勤にも便利な地の利で人気のベッドタウンである。「立川」駅から歩いて18分の立川市立立川第二中学校は、緑豊かでのびのびとした環境に恵まれ、地域に根付いた中学校。その魅力を常盤隆校長先生にじっくりと伺った。
立川市立立川第二中学校の概要についてご紹介ください
戦後間もない1947(昭和22)年、曙小学校内に設置し出発した本校は、現在487名の生徒が学ぶ学校となり、2013(平成25)年で開校66周年を迎えました。開校当時は松林の中に建つ学校でしたが、今でもその松が何本か残っており、当時の風景をしのぶことができます。
通常4階建てが多い中学校のなかで、本校は2棟、すべて3階建て。大きな校庭と相まって、広い空を感じることができる恵まれた環境です。晴れた日には、校舎から秩父山地の山並みも見え、街中にあってもじつにのどかな学校ですね。
地域の方々から支えられている活動が多いそうですが
本校の生徒は伝統的にきちんと「あいさつ」をする子どもたちが多いのですが、これは2005(平成17)年から始まった朝の「あいさつ運動」の成果です。この活動は地域の保護司や児童委員の方々のほか、PTAと生徒会も一緒に門に立ち、登校してくる生徒たちにあいさつをするものです。朝に顔を合わせてあいさつをすることで、子どもたちには「地域に守られている、助けてもらっている」という気持ちが芽生え、地域の方々も「私たちの町の子ども」という意識を持ってくださるようです。
地域清掃のボランティアに手を挙げる生徒たちが「地域の方々や町にお礼をしたい」と話す子どもが多いのも、日々の「あいさつ」からさまざまなことを感じ取っているからだと思います。
恒例行事の「三町合同高尾山ナイトハイク」についても教えてください
昭和50年代後半、校内暴力や学校崩壊など中学校が荒れている時代がありました。そんなとき、「中学生が興味を持って参加してくれる活動はないか」「ありあまるパワーをぶつける場所はないか」と、学区の曙町・高松町・栄町の三町の子ども会連合会が企画したのが、この「高尾山ナイトハイク」です。
当初は「夜中に中学生を登山させるとはなにごとだ!」と市の教育委員会や学校からも猛反対されましたが、あくまでも子ども会の活動として開催し、本校の生徒が200名も参加したそうです。以来毎年恒例の行事となり、今年も二中の生徒180名近く、教師も11名近くが参加しました。地域の方々が付き添いから現地で待機する安全対策役までやってくださり、総勢82名のスタッフがサポートしてくださるなど、まさに地域力を感じる活動です。
夜10時に学校体育館に集合して、「立川」駅まで歩くのですが、その道々に途切れなくズラリと交通安全協会の方々や見送りの方々も立ってくださり、「気を付けてね」「行ってきます」とお互い声を掛け合いながら出発しました。1982(昭和57)年の初開催から一度も事故なく実施し続けられているのも、すべて地域の方々の協力のお陰と感謝しています。
2008(平成20)年~2009(平成21)年度に「スポーツ教育推進校」として教育活動を行ったそうですね?
じつは今年度も「スポーツ教育推進校」として東京都教育委員会から指定を受け、スポーツの教育活動に意欲的に取り組んでいます。前回と同様「持久力をつけること」を目標に、体育授業内などで走る場面を多く設けて、体力と持久力の向上に努めています。
これは前回の活動で分かったことですが、持久力はトレーニング次第でアップさせることができるので結果が出ることで、本人も達成感が持ちやすいこと。そして持久力がつくことで、学習の面でも我慢強く問題に取り組んだり、毎日の勉強が苦じゃなくなったりと、忍耐力や継続力も自然とついてくることが期待できます。体力がつくことで学習面にもプラスになる、それを実感できる意義のある取り組みにしたいです。
そのほかにも特徴のある教育活動があると聞きました
本校は平成23~25年度、東京都教育委員会「言語能力向上推進校」の指定を受け、「言葉の力~伝え合う力を持った生徒の育成~」というテーマで、さまざまな取り組みをしています。私が特に子どもたちに期待しているのは、この「伝え合う力」という部分です。間違っていても、また、皆とは違う意見でも自分の考えや気持ちを伝える、そして自分とは違う人の意見を聞く。お互いの意見の噛み合わせ方、コミュニケ―ションの基礎力をつけてほしいと考えています。
もう一つ力を入れているのが「クリティカルシンキング(批判的思考)」という考え方です。答えを出すことは得意でも、論理的に考え、思いを伝えることは不得手といわれる日本の子どもたち。情報を鵜呑みにせず、根拠を探し、自分で考え、判断して評価する力を備えるために特徴ある指導をしています。授業中、先生から子どもたちに「なぜ?」「根拠は?」と繰り返し問うと、最初は「教科書に書いてあった」などと答えていましたが、そのうち「この資料だけでは分からない」「もっと○○の情報がほしい」など見極めようとする力がついてきます。この「なぜ」「どうして」を問う力、そして自分なりの考えを持つことこそが、これから子どもたちが成長し社会に出たときに役に立つ力になると信じています。
立川第二中学校の生徒たちの様子を教えてください
とても気持ちの安定した落ち着いた生徒たちで、朝礼や集会なども非常に静かに話を聞くことができる子どもたちですね。これは地域、ひいては各家庭が安定しているからだと思います。ナイトハイクの提案などもそうですが、地元の方々が子どもを大切に慈しんでくださる気持ちが子どもにも伝わっていると感じますね。
先日行った「道徳授業地区公開講座」では「わたしのふるさと・立川」というテーマで授業を行い、自分の好きな立川を詩で表現する取り組みを行いました。その時の詩を読むたびに、地域の方々から温かく接してもらった体験が、子どもたちの地元を愛する気持ちに反映されていると実感します。私たち教師も、そんな環境に支えられていますね。
今回、話を聞いた人東京都立川市立立川第二中学校
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生きる力を培う教育を行う/立川市立立川第二中学校 常盤隆 先生
所在地:東京都立川市曙町3-29-46
電話番号:042-523-4338・4339
http://www.tachikawa.ed.jp/jh02/?page_id..