山内一豊の居城跡に建ち、長年地域の人に見守られ続けてきた「一宮市立黒田小学校」
JR「木曽川」駅と名鉄「新木曽川」駅に挟まれた場所にある「一宮市立黒田小学校」。戦国武将・山内一豊生誕地である「黒田城跡」に建つ小学校で、敷地の東側には石碑が建てられ、城跡であったことが示されている。毎年9月に行われる一豊まつりは同校が会場となり、町中を練り歩く戦国パレードの帰着地ともなっている。長年地域と共に歩んできた小学校でもあり、現在も学校活動に多くの地域住民が関わる姿がある。周りの人みんなに見守れながら育つ児童たちの雰囲気も穏やかで、温かい空気が流れる「一宮市立黒田小学校」。今回は岩井政美校長に、学校運営で大切にしていることなどについてお話を伺った。
歴史ある場所に建つ小学校、地元の歴史についても積極的に学ぶ
―校舎の東側には「黒田城跡」があり、歴史のある場所に建つ小学校なんですね
岩井校長先生:本校は、戦国武将の山之内一豊の出生の地と言われている「黒田城跡」に建つ小学校です。校舎の東側には石碑があり、歴史好きの方がよく見学に来られる場所でもあります。小学校としての歴史も木曽川町では一番長く、今年で創立146年目を迎えております。
―山内一豊にちなんだ歴史的なイベントも多い地域なのでしょうか?
岩井校長先生:毎年9月に、「木曽川町一豊まつり」というのがあり、小学校のグラウンドがメイン会場になります。一豊公をはじめとした戦国武将に扮した方たちが町内をパレ―ドし、最後はグラウンドに集まります。地域の方々も楽しみにしてらっしゃるイベントで、当校の金管バンド部も夏休みに練習してパレードに参加します。
そういったお祭りも開かれる歴史ある場所に建つ小学校なので、子どもたちにも地元の事を知ってほしく、歴史の授業が始まる高学年から地域の事を勉強する機会を設けています。近くに地域の歴史についての資料を展示している「一宮市木曽川資料館」があるので、館長さんにお越しいただき地域の歴史を勉強したりしています。
―「黒田小学校」の教育目標にはどんな思いが込められているのでしょうか?
岩井校長先生:校訓は「よく考える子 がんばる子 あかるい子」というものがあるのですが、子どもたちにはよりわかりやすく、「夢」「感謝」「積み重ね」の3つの言葉をキーワードにして、機会あるごとに伝えています。
現在は、20年先がどうなっているかわからないような時代ですが、それでも「夢」を持って生きると、毎日の勉強に身が入りますし、自分自身を好きになることができるので、「夢」を大切にしたいと思っています。
児童が各々に夢を書いたメモを廊下に貼り、「夢ロード」として互いの夢を見られるようにしています。子ども同士も「あの子あんな風に思っていたんだ」という新たな側面を発見できているようです。
「感謝」は、今は人との付き合いが非常に難しくなってきている部分があると思うので、まずは学校の中に「ありがとう」があふれるといいなという思いを込めています。
「積み重ね」は、勉強だけじゃなくて、「夢」に向かってもそうだし、自分で決めたことをこつこつできる力を身に付けましょうという意味が込められています。
―「夢」を持つ子どもになるためには、小学校の時の体験がやはり重要ですか?
岩井校長先生:実は黒田小学校に赴任するまでは、中学校ばかりで勤務をしておりまして、小学校での経験が少なかったんです。最初はちょっとドキドキしていたのですが、中学校での経験が長かったからこそ感じるのは、小学校の時に思いきり「夢」を抱かせてあげることが重要だということです。中学校になると進路の選択もあり、本当はこうしたいけど、成績など様々な条件を踏まえると諦めなければならない場面が出てきます。ですが、一度挫折したからといって人生はそこで終わりではありません。小学校の時に抱いた強い思いがある子は、例えその進路が希望のものでなかったとしても、「人生はこれで終わりではない」と思えて、折れずに頑張り続けられるんじゃないかと思うんです。
どんなに夢があっても、順風満帆に行く人はどのくらいいるでしょうか。ほとんどの人が山あり谷ありで目標を叶えていくのではないかと思います。ダメになっても、自分を信じて頑張り続けられる力こそが身に付けてほしい力だと私は考えています。
―そのための指導で心がけていることはありますか?
岩井校長先生:例えば、学校はこの程度の学力や自主活動の力を付けてほしいという基準があるのですが、全員がそれを簡単にクリアできる訳ではありません。ですが、クリアできなかった子はだめかというとそうではありません。特定の分野で人と比べてしまうと、優れている劣っているということで一喜一憂してしまいます。本来はその子なりの強味があるはずで、それは人と比べなくてもいいものなんです。その強味を生かしていけるような指導ができればと考えています。
―地域の人との関わりも深い小学校だとお伺いしましたが、具体的な関わりを教えてください
岩井校長先生:小学校の運営は地域の人に支えられている部分がとても大きいです。他の地域と比べても、小学校に愛着を持ってくださる方が多い場所だと思います。登下校の時の見守りボランティアさんの数も年々増えていますし、地域のご年配の方に来ていただいて一緒遊んだり、給食を食べていただいたりする「黒田小サロン」という市内でも珍しい取り組みもしております。毎回20名くらいの方にお越しいただき、楽しく交流させていただいています。
また、毎週金曜日に「たまてばこ」という本の読み聞かせを行っており、こちらは保護者や保護者OB、地域の本が好きな方が有志で集まってくださり、子どもたちに本を読んでいただいています。1、2年生はとても楽しみにしており、毎回多くの子たちが集まります。
廊下には、地元の人が描いた絵が飾られ、定期的に入れ替えもしてくださいます。そのように、本当に温かな地域の人に守られた小学校だなと思います。そんな雰囲気も相まって、子どもたちも非常に落ち着いた子が多いのではないかと思います。学校は、地域に開かれているからこそ、安全で安心なものになることを実感しております。
――一宮市の中でも、木曽川町周辺の子育て環境の良い点がありましたらお教えください
岩井校長先生:JRや名鉄に挟まれた便利ば場所ですが、非常に穏やかな空気感がある場所なので、子どもの環境にもいいのかなと思います。自然も残っていますし、一方で近くには大型ショッピングセンターもあって、小さな子どもを持った親御さんとっては過ごしやすい環境かなと思います。
そして何より、地域の方が黒田小学校のことを大好きだと言ってくださる方が多く、子どもたちを見守ってくださることが何よりよい環境であると思います。
一宮市立黒田小学校
岩井政美先校長先生
所在地:愛知県一宮市木曽川町黒田字古城26-2
電話番号:0586-28-8740
URL:http://www2.schoolweb.ne.jp/swas/index.php?id=2310171
※この情報は2019(令和元)年11月時点のものです。
山内一豊の居城跡に建ち、長年地域の人に見守られ続けてきた「一宮市立黒田小学校」
所在地:愛知県一宮市木曽川町黒田古城26-2
電話番号:0586-28-8740
http://www2.schoolweb.ne.jp/swas/index.p..