“確かな学力”につなげる大和市の教育
大和市文化創造拠点「SiRiUS(シリウス)」が開館し、新たな文化の発信拠点を手に入れた大和市。今回は、その大和市教育委員会がインタビュー先となる。大和市の試みや教育の特徴、また教科化される英語への取り組みなどについて、お話を伺ってきた。
大和市の教育とは
――大和市の教育方針について聞かせてください。
大和市では、「大和市学校教育基本計画」に基づいた教育を実施しています。“自ら成長する力をはぐくむ学校教育”を基本理念とし、それを実現させるために3つの要素が必要と考えています。“子どもを中心に据えた学校教育”と“家庭と共につくる学校教育”、そして“地域社会と共につくる学校教育”の3つです。最初に挙げた“子どもを中心に据えた学校教育”については、教育を通じて子どもの潜在的な能力を引き出し、幸せな人生を歩んでもらうという立場を改めて明確にしたものに他なりません。
“家庭と共につくる学校教育”に関しては、生活スタイルの変化により、社会の一員として生きていく上で欠かせない資質を各家庭内で教わらないケースが増えてきたため、学校と家庭が互いに協力・補完し合うことが求められるようになりました。最後の“地域社会と共につくる学校教育”については、生きる知恵や社会性を身につける場として、地域社会が重要な役割を担っていることを再認識した上で、学校と地域社会の双方が、子どもにより良い環境を提供していくという意味です。
――大和市の特徴的な取り組みがありましたら教えていただけますか?
放課後の空き教室を活用し、学習習慣と基礎学力の定着を図る「放課後寺子屋やまと」を全市立小学校で実施しています。中学校については、非常勤講師の力を借り、躓きやすいとされる数学・英語を中心に学習支援をしています。ハード面としては、男子トイレの個室化工事が2018(平成30)年度で終わる予定で、自動照明や自動水栓、さらには乾式の床に変わります。
他市と比べても充実していると言えるのは、学校内とは思えない図書室ですね。すでにリニューアル工事は終わっています。各校に1人ずつ配置している図書館司書は、話題になっている本や読むべき本との橋渡しになってくれるだけでなく、子どもが興味を持ちそうなポップなどの作成も担当。リニューアルだけでなく図書館司書のそうした努力により、貸出冊数が飛躍的に伸びました。
――児童・生徒の学業以外でのフォローについてはいかがでしょうか。
校門を潜ることはできても、そこから教室まで足が向かないという児童もいますから、“不登校”と一括りにするのではなく、それぞれのケースに合ったフォローを不登校児童支援員にお願いしています。小学校には不登校児童支援員を配置する一方で、中学校には不登校生徒支援員がいます。人と話したり、相談しづらいという場合には、電話とメールによる窓口を設けています。
――英語教育の取り組みについても聞かせてください。
小学校における英語の教科化に伴い、各教員が対応できるように民間企業と連携し、2016(平成28)年からの3年間でその準備を進めているところです。ALT(外国語活動指導助手)やAET(外国人英語指導助手)の派遣に加え、学校で学んだ外国語学習を活かせる場として、小学生を対象にEnglish Dayも開催しています。
グローバル社会に対応すべく、子どもたちは小学校低学年から英語に触れることになりますが、1・2年生は“ふれる”をテーマとし、正しい発音に触れたり、それを真似たりしながら英語の面白さを発見。3・4年生になるとテーマは“慣れ親しむ”になり、簡単な単語を組み合わせることで、コミュニケーションを図ります。5・6年生のテーマは“進んでコミュニケーションを楽しむ”で、2年ごとにステップアップしていきます。
――他校や地元企業との“連携”についてはいかがでしょうか。
市内に一貫校はありませんが、小学6年生の担任が、進学先である中学校の様子を見にいくなどの連携はあります。また、中学生になればキャリア教育の一環として、協力していただける地元の商店街で働かせてもらうといったことはあります。
未来に向けて
――今後さらに力を入れていこうと考えていることはありますか?
“確かな学力を身につけさせる教育の推進”という一言に尽きます。小学校の英語教育や「放課後寺子屋やまと」をさらに充実させながら、より良い教育環境を提供していけたらと考えています。
――“教育”というテーマで伺ってきましたが、最後に市としての特徴や魅力を聞かせてください。
一口に言うと“利便性の高い街”ですね。鉄道についても8駅あるので、横浜だけでなく都心部へのアクセスにも便利です。また、「上和田野鳥の森」や「つるま自然の森」、「泉の森」など自然にも恵まれているので、語らいの場、休らいの場に困ることはありません。さらに外国籍の方が多いことから、いたるところに国際交流のシーンがあり、そこでは多文化を学べる機会があります。良いバランスの上に、そうした特徴がアクセントになっている街が大和市ではないかなと思います。
大和市教育委員会
木下さん、河村さん
所在地:神奈川県大和市下鶴間1-1-1
電話番号:046-260-5203
URL:http://www.city.yamato.lg.jp/web/municipal/kyouiku.html
※この情報は2017(平成29)年6月時点のものです。
“確かな学力”につなげる大和市の教育
所在地:神奈川県大和市下鶴間1-1-1
電話番号:046-263-1111
開庁時間:8:30~17:00(一部窓口のみ/土曜日8:30~17:00、日曜日8:30~12:30)
閉庁日:土・日曜日(一部窓口を除き)、祝日、年末年始(12/29~1/3) ※祝日でも土・日曜日であれば一部窓口は開庁
https://www.city.yamato.lg.jp/index.html