東京都立国立高等学校校長 岸田裕二さん インタビュー

生徒たちが能動的に学び、楽しむ学校。/東京都立国立高等学校 岸田裕二さん

都立高校としてトップクラスの進学実績を誇る「東京都立国立高等学校」は、都立高校初の甲子園出場を果たした野球部など、部活動や文化祭をはじめとした行事も盛んで、文武両道の伝統を持つことでも知られている。今回は校長を務める岸田 裕二さんにこの学校の特徴についてお話を伺った。

進路指導重点校として都立高校有数の進学実績を誇る

――長い歴史を持つ学校だそうですね。

校舎
校舎

岸田校長:本校は1940(昭和15)年に開校して、2016(平成28)年で77周年を迎えました。卒業生には「京都大学」の総長をしておられる山極 壽一先生や、「国立情報学研究所」の新井 紀子先生、「信州大学」の前学長を務めた山沢 清人先生など、著名な方が多数いらっしゃいます。また、「東京大学」の准教授の池内 恵先生も本校の卒業生で、今度、講演をお願いすることになっています。

――進学校として有名ですが、進学実績はいかがでしょうか。

3年生の進路ガイダンス
3年生の進路ガイダンス

岸田校長:本校は2003(平成15)年には進路指導重点校に指定され、難関国公立大学入試に対応した指導を行っていることが特徴です。都立高校のなかで国公立大学合格者数は全国でもトップクラスです。

2016(平成28)年度の「東京大学」合格者は、現役10名・浪人10名、合わせて20名でしたが、2017(平成29)年度は現役15名・浪人10名の合計25名合格を目標にしています。2016(平成28)年度の国公立大学合格者は205名で、来年は220名を目標にしています。

――難関国公立大学入試に対応した指導について詳しく教えてください。

生徒自身で考える授業を目指す
生徒自身で考える授業を目指す

岸田校長:本校は進路指導重点校として、教員数が基準に比べて2名多くなっています。また、教員を公募で採用することができ、優秀な人材に集まっていただけるという特徴があります。

カリキュラムは「東京大学」「京都大学」「一橋大学」「東京工業大学」といった難関国公立大学に現役で入学する実力を身につけることを目標にしています。このため1、2年生では芸術科目以外すべて必修科目としています。通常の授業だけでは指導しきれませんので、10月以降は始業前、昼休み、放課後の補習がありますし、夏休みも補習を行います。今年は補習の体制を変え、とくに夏休みの補習を充実させることにしました。

本棚に並んだ東京大学の過去問題集
本棚に並んだ東京大学の過去問題集

指導方法にも工夫しています。本校ではアクティブラーニングを積極的に取り入れ、受け身ではなく生徒自身で考える授業に取り組んでいます。今年度は東京都教育委員会のアクティブラーニング推進校に指定されたので、さらに充実していきたいと思います。

また、本年度は英語教育推進校にも指定されました。具体的な取り組みはこれからになりますが、日本語をなるべく使わず、英語で授業することも検討しています。

――進路指導で工夫している点はありますか。

3年間を同じクラスで過ごす
3年間を同じクラスで過ごす

岸田校長:本校は3年間クラス替えをせず、担任も基本的には変わりません。ひとりの担任が1年生から3年生まで生徒の成長を見守っていきます。進路指導も3年間で模試を10回以上行い、成績の変化を見ながら指導できるというメリットがあります。

合言葉は「全部やる、みんなでやる」

――部活動も盛んだそうですね。

甲子園出場記念碑
甲子園出場記念碑

岸田校長:本校では部活動も行事も勉強もすべてやりきる、それも全員で成し遂げるという意識を生徒が持っています。新入生もこういった学校だと理解して入学してきますから、部活動も盛んです。野球部は1980(昭和55)年に都立高校で初めて甲子園に出場しました。チアリーディング部や少林寺拳法部も全国大会に毎年出場する実力を持っています。

1年生はみんな何らかの部活に参加していますし、運動部は週に1日の休みを確保するように指導していますから、空いた日に文化部を兼部する生徒も多いのです。

――都立高校では珍しい天文ドームもありますね。

天文ドームの大望遠鏡
天文ドームの大望遠鏡

岸田校長:本校の屋上の天文ドームには15センチ大望遠鏡と6センチ太陽望遠鏡があります。本校は運動部だけでなく、文化部の活動が盛んなことも特徴で、これらの望遠鏡は地学部の活動でも使われています。

――文化祭も盛りあがると伺いました。

岸田校長:文化祭は約1万人の人が訪れる本校最大の行事です。毎年9月の第1週の土日に行われますが、準備は前の年の10月の中旬からはじまります。本校の行事はすべて生徒が企画・運営し、教員は基本的に手を出しません。

文化祭「国高祭」は最大の行事
文化祭「国高祭」は最大の行事

3年生によるクラス演劇は本校の文化祭の目玉で、毎回満員になります。クラス演劇は各教室で行われ、1教室1回につきおよそ80名が鑑賞できます。3年生8クラスが1日に4公演行いますから、延べ2,500名程度鑑賞できます。それが毎回満員なので、どれだけ人気か分かっていただけるかと思います。

クラス演劇の垂れ幕
クラス演劇の垂れ幕

――ほかにはどのような行事があるのでしょうか。

岸田校長:4月に新入生歓迎会があり、各部活が活動内容を発表します。その後、第九演奏会があります。これはプロのオーケストラとソリスト、指揮者に来ていただき、2、3年生の音楽選択者に加え、希望者がドイツ語で第九を歌うというイベントです。

第九演奏会
第九演奏会

これらの行事も生徒自身で実行委員会を組織し、準備を進めます。生徒たちはいずれかの行事の実行委員会に加わっているのではないでしょうか。行事を企画することもよい経験になると思いますので、私はこれからも行事を大切にしたいと思っています。

――国立高校の生徒の特長を教えてください。

岸田校長:大学の先生にお話を伺うと、本校の生徒は大学入学後も伸びていくという評価をいただいています。アクティブラーニングを取り入れているので、物事を主体的に考えていくことができるし、文化祭も部活動も積極的にチャレンジする姿勢がいいのではないでしょうか。

勉強も部活動も行事もすべて積極的
勉強も部活動も行事もすべて積極的

文教エリアならではの近隣教育機関との連携

――大学と連携して教育を行っているそうですね。

岸田校長:本校は「一橋大学」が近いことから、「一橋大学」の先生に来ていただいて講演をお願いしています。内容は経済についてお話しいただくことが多いのですが、英語で講義していただくこともあります。

一橋大学との連携も
一橋大学との連携も

また、本校では定期試験前に大会議室を自習室として開放しているのですが、そこに「一橋大学」や「東京大学」の学生に来ていただいて、勉強を見ていただく「サポートティーチャー」という取り組みも行っています。

――近隣の小・中学校との交流はあるのでしょうか。

岸田校長:本校は「国立市立国立第一中学校」や「国立市立国立第三小学校」に隣接していますので、合同で防災訓練を実施しています。また、夏休みには本校の生徒が市内の3つの中学校に出向いて補習のお手伝いを行うこともあります。本校をよく知ってもらうため、近隣の中学生・小学生を対象に学校説明会も実施していますし、学習塾の生徒や先生向けの説明会も行っています。

隣接する国立市立第三小学校
隣接する国立市立第三小学校

落ち着いた街並みは教育にも暮らしにも好環境

――国立の魅力を教えてください。

岸田校長:本校の目の前は大学通りで、入学式の頃は桜がきれいですし、晩秋になるとイチョウ並木が美しく色づきます。12月にはクリスマスのイルミネーションも楽しめます。文教地区ですから遊戯施設や繁華街がなく、学習環境として恵まれています。

大学通りの街並み
大学通りの街並み

「国立」駅東側高架下の商業施設「nonowa 国立」など、「国立」駅周辺にはショッピング施設が集まっているのも便利ですね。街並みも整っていますし、本校と同じ国立市東には「一橋大学」があるのも生徒のモチベーションにつながるでしょう。こうした環境は暮らしの場としても恵まれていると思います。

東京都立国立高等学校

校長 岸田 裕二 さん
所在地:東京都国立市東4-25-1
電話番号:042−575−0126
URL:http://www.kunitachi-h.metro.tokyo.jp/homepage/
※この情報は2016(平成28)年6月時点のものです。

生徒たちが能動的に学び、楽しむ学校。/東京都立国立高等学校 岸田裕二さん
所在地:東京都国立市東4-25-1 
電話番号:042-575-0126
http://www.kunitachi-h.metro.tokyo.jp/ho..