「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に、学年を越えた人間関係を築く「品川区立清水台小学校」
東急大井町線・池上線「旗の台」駅より徒歩5分。小規模校ならではの良さを生かした教育活動を展開する「清水台小学校」では、1年生から6年生までの学年を越えた“縦割り班”による取り組みが行われています。毎朝校門の前に立って行う「あいさつ運動」や昼休み時間の遊びを通じた「なかよしタイム」など、豊かな人間性を育む機会に恵まれています。今回は、平成29(2017)年4月に校長として着任した髙橋壯昌(たけまさ)先生を訪ね、「清水台小学校」の概要と特色についてお話を伺いました。
1953(昭和28)年の開校より65周年を迎える「清水台小学校」
――まず、学校の沿革、概要についてお聞かせください。
学校の北側に「第二延山小学校」(昭和3年創立)という大きな学校がありまして、児童数の増加にともない設置されたのが本校のはじまりといわれています。1953(昭和28)年11月の開校より、今年度で65周年を迎えました。
平成23年からは児童数2桁の小規模校として運営してきたのですが、2016(平成28)年4月に89名だった児童数が、去年は120名、今年は140名と、ここ2年間で50名も増えているのです。
もともとこのあたりにお住まいで学区域のお子さんももちろんいますが、特に今年の1年生はいろいろな地域から集まってきているのも事実です。
品川区の調査によると、これから先数年は品川区全体で子どもの数はゆるやかな増加傾向にあるらしく、小規模校の本校にもそれが数字として表れているのではないかと思います。
また「清水台小学校」といえば小規模校で手厚くみてもらえるというような評価をいただいているようで、子どもが大勢いる環境よりもそういうところで子どもを育てたいという考えをもったご家庭のお子さんが、本校への入学を希望している場合もあります。
豊かな人間性を育む“縦割り班”による取り組み
――学校の特色についてお聞かせください。
“縦割り班”といって、1年生から6年生までの縦割りで組織した班での取り組みを行っています。全校児童140名を9つのグループに分けて、それぞれのグループに1年生から6年生までの子どもたちが所属する班ごとの活動を行います。
今日の昼休みも縦割り班で活動する「なかよしタイム」が予定されていて、異学年の集団が一緒に遊びます。
私がこれまで勤務した学校でも縦割り班の取り組みはあったのですが、たとえば遠足のような特定の行事や集会のための編成であることが多かったように思います。しかし本校の縦割り班は遊びも、給食も、掃除も、朝のあいさつ運動にも及びます。
つまり行事のための縦割り班ではなく、生活に息づいている縦割り班ともいえます。普段の生活を見ていてもお互い声をかけあったり、名前で呼び合ったりと、1年生から6年生まで非常に仲が良く、深い人間関係を築いているところが小規模校の本校ならではのよさなのです。
縦割り班の活動を通して、高学年は小さな子たちの前で手本とならなければいけませんし、規範意識や規律なども自然と意識するようになります。またそれを見て育つ低学年は「将来自分もああなりたい」という憧れを抱いて、何年か先の自分の姿というものを目の前のお兄さんお姉さんに重ねて行動するようになります。そういう関係が豊かな人間性を育んでいくと私は感じているところです。
「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に掲げ教育活動を展開
――教育目標についてお聞かせください。
私が着任したときに感じた本校の第一印象は、子どもたちが学年を越えて仲が良いということと、教職員が子どもたち全員の顔と名前を把握して指導に当たっているというところに非常に感銘を受けました。
そこで、この本校の特色をもっとアピールしていこうと、昨年、学校経営方針に「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に掲げ、本校の教育の柱にしました。
小規模校ではあるものの子どもたちには毎日新しい出会いがあって、その出会いというのは良いこともあれば、時には課題と向き合わなければならないこともあって、それを友達や教職員と共有しながら根気強く取り組むことによって、チカラに変えていくことが大切だと考えています。
もちろん出会いというのは学校の中だけのことではなく、地域の方との出会いであったり、地域の良さに触れたりということも含め、子どもたちを取り巻くすべての環境に様々な出会い、様々なふれあいがあって、一人ひとりが主体的に生きていく、それが清水台の教育なのだという想いを合言葉に込めています。
詳しくは学校HPの「学校だより」や「校長室より」でも触れておりますので、ぜひご覧ください。
一人1台のタブレットを用意し、ICT教育にも取り組む
――学習面で特筆すべき取り組みは?
学校の概要をまとめた「学校案内(平成29年度版)」もHPからご覧いただけますが、特色ある教育活動のひとつにICT教育があります。
平成26年度に「品川区教育委員会ICT活用推進校」の指定を受け研究を行ってきましたが、本校では人数が少ないこともあって子ども一人に1台のタブレットが用意されています。
品川区全体でICT教育に力を入れてはいるのですが、人数の多い学校ではまだ十分に整備できていないと聞いています。本校は研究推進校であったことが評価されたと思っています。
高学年になれば自分のタブレットで調べものをしたり、プレゼンテーションを作って発表したり、タブレットを家に持ち帰って宿題や家庭学習にも活用しています。また全学年の教室にプロジェクターと電子黒板、パソコンと連動した実物投影機も整備されていて、ICT機器を効果的に活用した授業に取り組んでいます。
「荏原第五中学校」と連携した小中一貫教育への取り組み
――小中一貫教育また保育園、幼稚園との関わりについて教えてください。
品川区では平成18年度からすべての公立小中学校で小中一貫教育を実施しています。区内に6校ある施設一体型の義務教育学校はその象徴的なところではありますが、本校のようないわゆる施設分離型の小中学校でも近隣の学校同士が連携し合って小中一貫教育に取り組んでいます。
本校は「旗の台」駅の南側にある「荏原第五中学校」と連携しています。7月には6年生を対象とした部活動体験、夏休みには本校の6年生の勉強を8年生がみてくれるサマースクールが行われます。
ちなみに品川区では中学1年、2年、3年を7年、8年、9年と呼んでいるのですが、具体的な連携についての取り組みは今後HPにも掲載していく予定です。
また幼稚園、保育園との関わりについては「旗の台保育園」が近くにあって、本校の行事を見に来てもらったり、1年生と交流したりする機会もあります。また5歳児のお子さんは本校のプールも使いますし、一緒に給食を食べることもあります。
「品川コミュニティ・スクール」としての学校運営がスタート
――「品川コミュニティ・スクール」としての現状についてお聞かせください。
私が着任した2017(平成29)年度から「品川コミュニティ・スクール」としての学校運営がはじまったのですが、もともと小規模校だったので保護者や地域の方との関係性はすでに築かれていましたし、認識としてそれを広めていくことが今は大事なことだと思っています。
「品川コミュニティ・スクール」とは、学校と保護者、地域が連携して子どもたちを育てていく仕組みのことで、保護者、地域住民、学識経験者が参画する「校区教育協働委員会」が立ち上がりました。
また本の読み聞かせや放課後学習支援など具体的な学校支援を行う「学校支援地域本部」、学校支援ボランティアの募集や学校がどのような支援を必要としているのかを把握して学校と地域とをつなぐ「学校地域コーディネーター」と呼ばれる方も新たに配置され、地域全体で学校教育を支援する体制が整いました。
人と人とのつながりが感じられるあたたかい街
――学校周辺の地域の魅力についてお聞かせください。
地域の魅力は・・・やっぱり人のあたたかさですね。毎朝校門の前で挨拶をしていると、1年も過ぎればお互い顔が分かるようになって声をかけ合う関係になりますし、それこそ「おはようございます」とか「今日は暑いですね」だけじゃなくて、「今日は荷物を持ってどちらに行かれるんですか?」というような会話もできるようになりました。
そうすると地域の方も「先生も毎日大変だね」と労わりの声をかけてくださったり、人と人とのつながりを感じられる瞬間があったりします。
学校運営に関していえば、地域の方は行事によく足を運んでくださいます。保護者の方も子どもたちの様子をよく見てくださっているので、今後も変わらずご理解とご支援をいただければと願っています。
来週は2年生が商店街のまち探検に行くのですが、お店の方が「協力します」とたくさん手を挙げてくださいました。これからも引き続きよろしくお願いいたします。
品川区立清水台小学校
校長 髙橋壯昌(たけまさ)先生
所在地:品川区旗の台1-11-17
URL:http://school.cts.ne.jp/smizudai/
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。
「出会い ふれあい 清水台」を合言葉に、学年を越えた人間関係を築く「品川区立清水台小学校」
所在地:東京都品川区旗の台1-11-17
電話番号:03-3781-4841
http://school.cts.ne.jp/smizudai/