3世代が通う家庭も。地域に支えられ歩み続ける「千葉市立寒川小学校」
千葉市中央区の住宅街にある「千葉市立寒川小学校」は、来年度150周年を迎える歴史ある学校だ。教育方針、コロナ禍での取り組みや変化、千葉エリアの魅力などについて、木内克英校長先生にお話を伺った。
子ども目線を大事にしながら、手本となる姿を見せる
――学校の歴史と概要、教育方針についてお聞かせください。
木内先生 1873(明治6)年に寒川尋常小学校として開校しました。当時は長洲にあるお寺の一部を借りる形で始まったようです。その後、1923(大正12)年に現在の場所に新しく校舎が建てられ、移転しました。戦時中は「寒川国民学校」という名前に改称され、戦後に現在の「千葉市立寒川小学校」と改められました。1973(昭和48)年に開校100周年を祝い、来年には150周年を迎えます。
児童は565名で、全6学年各3クラス、特別支援学級2クラスの計20クラスです。少なすぎず、多すぎず、ちょうどいい人数だと思います。全学年を3つに分けやすいので、運動会も3色対抗で行っています。児童数はここ数年落ち着いていて、推計を見る限りは今後もしばらく大きな変動はなさそうです。
教育目標に「心豊かにたくましく生きる子どもの育成」を掲げ、子どもも教職員も「一人一人がいかされる活気のある学校」という学校像も大事にしています。
――日々の教育においてはどんなことを大切にされていますか。
木内先生 大事なのは、知・徳・体をバランスよく育むことです。そのために各教科の授業や行事の中でどんなことを行い、どんな力を身につけさせるか、ということを常に考えています。先ほど申し上げた教育目標を達成するため、今年度は「思いやりの心」と「自主性」に重点を置き、先生方にもその点を意識して指導にあたってもらっています。私は本校に赴任して3年目なのですが、1年目に子どもたちの様子を見て、もっと主体性がほしいと感じました。人とのかかわり合いなどを含め、自分で考えて表現する力が十分ではないな、と。それでこの2年はその点を重視しています。また、「素敵な挨拶をしましょう」ということも言い続けています。
――子どもたちと関わる中で大切にしていることがあれば、教えてください。
木内先生 子どもの目線で考えることを大事にしています。教員になって37年目になりますが、これはずっと変わりません。といっても、子どもの悩みも多様化しているので簡単ではありません。担任教師一人だけが子どもに向き合うのではなく、教員同士で助け合い、専門スタッフの力も借りながらチームで対応しています。
また、子どもの手本となることも意識しています。たとえば毎朝校門で子どもたちを迎えるときは、笑顔で元気に挨拶をします。正直、この挨拶でかなりのパワーを使います(笑)。でも、子どもたちがしっかりお辞儀をしたり、明るく元気な声を出したり、それぞれに一生懸命返してくれる挨拶に新たなパワーをもらっています。
アフターコロナを見据えて学校運営を見直す
――コロナ禍で生まれた工夫や新たな取り組みがあれば、教えてください。
木内先生 感染予防の観点から難しいのが、外部から人を呼ぶこと、密を避けることです。工夫した点、従来から変わった部分もそのあたりが多いですね。例えば学習参観は2~3時限にわたって行い、保護者の方をいくつかのグループに分け、それぞれ指定した時間帯に来ていただいています。
全校児童で行っていた縦割り活動は、1年生と6年生、2年生と4年生、3年生と5年生という「ペア学年」での実施に変えました。1年目は取りやめたのですが、異学年交流は非常に重要な教育活動で、いつまでも中止にしているわけにはいかないと考え、規模を縮小して行うことにしました。全校児童による縦割り活動だとリーダーは6年生だけですが、ペア学年だと4・5年生にもリーダー意識が芽生えます。それは良いところだと感じていて、今後の活動にも活かしたいと思っています。
ちなみに運動会でも全校遠足でも、このペア学年を利用して密を避けています。たとえば運動会だと、一緒に校庭に出るのは一組のペア学年とその保護者のみで、他の学年は教室でライブ配信を楽しみます。
昨年4月にタブレット端末「ギガタブ」が配布され、一気にデジタル化が進みました。昨年度は「やってみよう」を合言葉に手探り状態での活用だったので、今年度はより学習効果を考えて進めています。外部講師による出前授業などもそうですが、職員会議も基本的にはオンラインで行っています。出張も減り、これまでかかっていた時間や経費が削減できているのは非常に良いですね。
――現在、特に力を入れて取り組んでいる行事や活動があれば教えてください。
木内先生 多くの子どもたちは運動会や全校遠足、宿泊学習などの行事を楽しみにしています。縦割り活動もそうですね。大勢で集まるイベントを実施しにくい状況が続いているせいもあるかもしれません。子どもたちが楽しみにしている分、私たちも自然と力が入ります。
――今後、力を入れて取り組んでいきたい活動はありますか?
木内先生 まずは来年度の150周年に向けて、楽しいことをいっぱい企画・実現したいと思っています。職員だけでなく、子どもたちや保護者の意見も聞いて企画を考えているところです。子どもたちはこの2年間楽しいことを我慢してきましたから、存分に楽しんでほしいですね。「子どもたちにアイディアを募って学校のマスコットキャラクターを作ったらどうか」など、さまざまな意見が出ています。
それから、学校運営におけるさまざまな活動を見直したいと思っています。教科数が増えたり、タブレット端末が導入されたり、児童や教師を取り巻く環境はどんどん変わっています。そしてこの2年間、感染対策のために多くの工夫を重ねてきました。一度それらを振り返って、不要なことはやめ、良いものは続けるなどの判断が必要でしょう。そういったアフターコロナに向けての準備を考えています。
多くの遺跡がある、緑豊かな海のまち 千葉エリア
――地域の方々との交流、近隣の保育園・幼稚園・中学校と連携して取り組んでいる活動があればお聞かせください。
木内先生 私は休校措置が取られた2年前の4月に本校に来たため、あまり交流活動は経験できていません。長い歴史があり、3世代にわたって本校に通うご家庭もあるので、地域に支えられながら歩んできた学校だと思います。通常は、近隣のお年寄りから昔遊びを教えてもらっているようです。車いす体験などを行う4年生の福祉教育でも、地域の人にご協力いただくことがあります。
幼稚園や保育園との連携については、本校に入学予定の子どもたちが来て、1年生が遊びを教えてあげる場を設けています。また、中学生が本校に来て陸上大会や球技大会に向けて練習する子どもたちにいろいろ教えてくれたり、逆に子どもたちが中学校に行って部活動を見学したり、中学生との交流はスムーズな進学に役立っていると思います。
感染予防のため特にお年寄りとの交流は控えていますが、核家族化が進んだ現代の子にとって高齢者とのふれあいは大切です。状況を見て少しずつできることを増やしていきたいと思います。
――周辺の教育環境についてお聞かせください。
木内先生 徒歩圏内に「千葉市科学館」、特別支援学級のミニ遠足で行く「千葉市立郷土博物館」など、子どもたちが楽しく学べるスポットが多くあり、恵まれた環境です。「本千葉」駅や千葉市消防局庁舎「セーフティーちば」なども、子どもたちにとっては多くを学べる場所です。全校遠足で行く「千葉県立青葉の森公園」は緑豊かな上に、文化施設もあります。また、小規模なものを含め近隣には学習塾がたくさんあり、通っている子も多いです。
――最後に、千葉エリアの魅力をお聞かせください。
木内先生 この辺りは海のまちです。「千葉ポートパーク」も近いですし、普段から海に親しめるのが大きな魅力でしょう。由緒ある寺社や多くの遺跡がある地域でもあり、歴史を身近に感じられるところも良いですね。先日も6年生の授業で「千葉市埋蔵文化財センター」の方が来て、この辺りで出土した昔の土器を見せてくださいました。前庭では、市内の遺跡で発掘された古代のハスの実から発芽・開花した「大賀ハス」を育てているんですよ。大きな商業施設やスポーツ施設もあり、とても暮らしやすい環境だと思います。
千葉市立寒川小学校
校長 木内 克英先生
所在地:千葉県千葉市中央区寒川町1-205
電話番号:043-224-2400
FAX:043-222-0182
URL:https://www.city.chiba.jp/school/es/003/gakkoshokai/index.html
※この情報は2022(令和4)年5月時点のものです。
3世代が通う家庭も。地域に支えられ歩み続ける「千葉市立寒川小学校」
所在地:千葉県千葉市中央区寒川町1-205
電話番号:043-224-2400
https://www.city.chiba.jp/school/es/003/..