HOME >  東京都エリア  >  新宿区 インタビュー  >  SPECIAL INTERVIEW
新宿区立愛日小学校

SPECIAL INTERVIEW
新宿区立愛日小学校

「新宿区立愛日小学校」は開校から135年の歴史をもつ小学校で、文人や芸術家も多く住んだ神楽坂で、歴史や文化と共に歩んできた。地域との結びつきが強く、2017(平成29)年には新しい校舎が完成する予定だ。そんな「新宿区立愛日小学校」について、岡本由美校長先生にお話をお聞きした。

新宿区立愛日小学校
岡本由美 校長先生

現在新校舎が建設中
夏目漱石も通った歴史ある小学校

開校から135年の歴史のある小学校ですが、沿革について教えて下さい

1870(明治3)年に「東京府第3学校」として開校されたのが本校の前身です。その後、「吉井学校」と名前が変わり、1880(明治18)年に近くにあった「市ヶ谷学校」と一緒になって、「愛日学校」ができました。新宿区では3番目に古い学校で、今年でちょうど開校135年になります。合併前の「市ヶ谷学校」には、夏目漱石も通っていたんです。

「愛日小学校」の校名の由来について教えてください

「愛日」と言う名前の由来は、中国の「大戴礼記(だたいらいき)」の中の一節「君子愛日以学、及時以行(君子は日を愛みて以て学び、時に及びて以て行う)」から取られました。長三州先生という漢文の学者で、明治天皇の侍講をされていた方が付けてくれたんです。それを校訓として、現在でも式の時に「君子は…」と斉唱しています。「一日一日を大切に学び、時が来た時はそれを実行する」という意味で、子ども達には先人のこういう思いを大切にして学校が135年も続いてきているんですよって話をしています。

現在新校舎を建設中ですね

最初の校舎は関東大震災が発生する前年の、1922(大正11)年に落成したばかりだったんです。震災では防火壁がすこし壊れた程度で済んだので、学校を避難者の収容所にしていたそうです。その校舎が昭和に入ってからも使われていたんですが、1945(昭和20)年、戦災によって全焼してしまいました。長三州先生の手紙などは、当時近くに住んでいた音楽の先生が持ち出して、プールに投げ込んだため、焼失を免れたそうです。その先生がいなかったら、昔の物は全部焼けてしまって何も残らなかったですね。

それからしばらくは閉鎖されていたのですが、1952(昭和27)年に、「愛日小学校」の設置が条例で決まり、日本で初めての鉄筋コンクリート4階建ての校舎が建てられました。その校舎を昨年の7月まで、約57年間使用していましたが、北側の擁壁の安全性が確保できないため全面的に建て替えることにことになりました。

新しい校舎はどんな設備があるのでしょうか

新しい校舎は地下1階、地上4階建ての5階建てになる予定です。今までは体育館が道の反対側にあって使いづらかったんですが、校庭の一部が体育館になって、その上がプールになります。プールを使わない冬は、プールの底が上がってきて校庭のように使えるんです。都心にあり校庭が狭いので、子ども達の遊ぶ場所を確保しようということで工夫されています。校庭は人工芝になります。

教育目標や方針を教えて下さい

愛日の頭文字をとって、「あいさつをする子」、「いたわりのこころをもつ子」、「じぶんからまなぶ子」、「つよくげんきな子」と、子ども達にわかりやすい教育目標を定めています。私は、一人一人の子を大事にするということを大切にして、卒業してからも愛日で学んでよかったと、心の故郷になるような学校を目指していきたいと取り組んでいます。

具体的な取組みとしては、「あいさつ隊」というのを実施しています。毎朝、子どもと地域の方と教職員が門のところに立って、登校してくる子ども達とあいさつをしているんです。挨拶をしている学校はよくあると思いますが、うちでは一人一人と握手をしているんです。すると今日は調子がよさそうだなとか、顔が曇っているな、とかよく分かるんです。おかしいなと思った子は声を掛けたり、教室を見に行ったり、担任に伝えたりします。一人一人の状況がよく分かるので、とてもいいなと思っているんです。

もうひとつ、音読の暗唱に取り組んでいます。学年ごとの音読教材があって、各学期ごとに課題を出すんです。子ども達は1学期にはいつまでに合格する、と計画を立てて取り組んでいます。合格したら認定証を全校朝会で、一人一人みんなの前で渡しているんです。去年から地域協働学校の運営委員の人にも月に2回、音読の日を決めて、担任や校長の代わりに子どもたちの暗唱を聞いてもらうという取り組みを始めています。

地域協働学校(コミュニティスクール)について教えて下さい

地域協働学校は、運営委員が10人いて、町会長や東京理科大の先生、民生児童委員、PTAや商店街、母の会、育成会の代表の方で構成しています。皆さん熱心で、たくさんの取り組みをやってくれています。現在の仮校舎に移る時は、通学路を決める相談をして、実際に通い始めたら辻々に立って見守りをしてくれました。ほかにも、皆さん学校の事に興味を持って、熱心に何かやることありませんかと言ってきてくださるんです。

また、「牛込中央通り商店街」があるんですが、2、3年生が商店街に行ってお仕事を体験させてもらったり、インタビューをしたりという勉強もしているんです。毎年8月に開催されるお祭りでは、運動会でやったエイサーやソーランの踊りを披露したりもしています。

一流シェフに学ぶ料理教室も行っているそうですね

「司厨士協会」という西洋料理のシェフで構成されている協会があるんですが、そこのシェフに教えてもらいながら、6年生が自分達で育てた野菜を使ってフランス料理のコースを作るんです。自分たちで作った料理で食事会をして、テーブルマナーも一緒に学んでいます。

若いシェフの方も多くて、話をしているうちに、自分も料理をしてみたいと思う子も出てきましたので、食育とキャリア教育も組み合わせてやっています。 野菜作りは2007(平成19)年に屋上菜園ができてからは、全学年でやっています。これも専門家の保護者の方がいて、植え方から肥料のやり方まで全部教えてくれているんです。もちろん新校舎でも菜園を作る予定です。

この地域の魅力を教えて下さい

近くの商店街では、百年以上続いているお店が結構あるんです。そういうお店が大事にされていたり、「牛込城跡」などの史跡が残っていたり、文人が住んでいた所があったり、歴史があるところが魅力かなと思います。地域の方でおじいちゃんの代からずっと住んでいて、この学校に三代で通っている方も結構いらっしゃいます。

また、地域の方がいろいろなことに熱心ですね。例えば春に「ふれあいウォーク」というものをやっていまして、保護者、子ども、地域の方がみんなで皇居を一周するんですね。また育成会と中学生が中心になって「地区レクレーション大会」を「新宿区立牛込第三中学校」で秋にやっているんです。中学生が企画から運営までをやっているのはいいと思いますね。

学校が何か困っているというと、育成会も民生児童委員もすぐに動いてくれるんですが、「牛込母の会」という会もありまして、その会でも学校の事を色々やってくれまして、「あいさつ隊」も母の会の方が中心に出て来てくれますし、卒業式では、卒業生にコサージュのプレゼントがあります。この小学校に来て、いい人達が集まっている地域だと感じています。それが地域の良さの一番大きいところかなって思いました。

 

今回、話を聞いた人

SPECIAL INTERVIEW<br />新宿区立愛日小学校
SPECIAL INTERVIEW<br />新宿区立愛日小学校

新宿区立愛日小学校

岡本由美 校長先生

※2015(平成27)年4月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

SPECIAL INTERVIEW
新宿区立愛日小学校

所在地:東京都新宿区矢来町6 
電話番号:03-3266-1604
http://www.shinjuku.ed.jp/es-aijitsu/ind..




PAGE
TOP