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“100年に一度”の大規模な再開発を原動力に、さらなる成熟を目指す都市・渋谷

“TOKYO”ではなく“SHIBUYA”として
国際都市を目指す

渋谷駅
渋谷駅

渋谷区では、2003(平成15)年に「渋谷駅周辺整備ガイドプラン21」が策定され、まちづくりの検討が開始された。2005(平成17)年に「渋谷駅周辺地域」が都市再生緊急整備地域に指定されたのに加え、2008(平成20)年の東京メトロ副都心線「渋谷」駅の開業なども後押しとなる。「渋谷」駅中心地区の都市基盤を、新たな都市空間として再構築し、次の100年へとつなげるための開発が本格的に動き出した。

2010(平成22)年には、駅周辺の再開発と連携した、にぎわいと回遊性のある、安全・安心で歩いて楽しいまちづくりを推進するための「渋谷駅中心地区まちづくり指針2010」を策定。渋谷駅中心地区の将来像を「世界に開かれた生活文化の発信拠点”渋谷”のリーディングコア」と定め、住民や渋谷に関わる多様な人々とともに創り上げる協奏するまちづくりを進めている。また、2016(平成28)年に策定された「渋谷区基本構想」においては、パリやニューヨークなどと並び称される高度な国際競争力や、強い地域性をもつ『成熟した国際都市』となる街の将来像が示された。

渋谷区基本構想宣言文(引用:渋谷区HP)
渋谷区基本構想宣言文(引用:渋谷区HP)

大きく姿を変える渋谷駅周辺

2027年度頃の渋谷駅周辺のイメージ(提供:東京急行電鉄株式会社)
2027年度頃の渋谷駅周辺のイメージ(提供:東京急行電鉄株式会社)

「渋谷」駅周辺では数々の再開発や建て替え事業などが進行中で、竣工済み・建設中の計画を全て含めると、駅を中心とした東急グループの開発事業だけでも総敷地面積は約6.3万平方メートル、総延床面積は約95.3万平方メートルになる。さらに「渋谷区役所」や計画が進められている「NHK放送センター建て替え事業」など周辺の開発も合わせると、実に総敷地面積約17.7万平方メートル、総延床面積約143.5万平方メートルにも及ぶ。 これは「六本木ヒルズ」と「ミッドタウン東京」を合わせた敷地面積15.3万平方メートル、延床面積128.8万平方メートルをもしのぐ規模となっている。

2018年からつづく開業ラッシュ、2019年がひとつの山場に

「渋谷ストリーム」(提供:渋谷ストリーム
)
「渋谷ストリーム」(提供:渋谷ストリーム )

2018(平成30)年の「渋谷スクランブルスクエア」と「渋谷ブリッジ」の開業を皮切りに、2019年にも多くの施設の開業が予定されている。2019年に開業を予定している施設などでは入居予定の店舗なども発表されはじめ、期待が高まっている。2019年冬に開業予定の「渋谷フクラス」では、2~8階および17~18階に「東急プラザ渋谷」が復活することになっており、17~18階にはシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」や、香港、フランスのサントロペ島にも展開するモダンアジアン料理の「CÉ LA VI(セラヴィ)」が日本初進出する予定。低層部では、街の賑わいを創出する路面店舗や、地下1階~2階には三井住友銀行も入居予定だ。さらに1階には、一般路線バスや空港リムジンバスも乗り入れる予定のバスターミナルが設置されることになっている。手荷物預かりや観光案内などの機能を備えた観光支援施設も併設予定となっており、渋谷駅の玄関口としての機能も持つことになるだろう。

「渋谷フクラス」(提供:東急不動産株式会社)
「渋谷フクラス」(提供:東急不動産株式会社)

2019(令和元)年5月には「渋谷ソラスタ」が開業。1階にカフェを併設した広場が整備され、3階には会員制のシェアオフィス「Business-Airport Shibuya Nanpeidai(ビジネスエアポート渋谷南平台)」がオープンした。4階には「渋谷ソラスタコンファレンス」もあり、新たなビジネス拠点となりそうだ。

「渋谷ソラスタ」
「渋谷ソラスタ」

最先端のオフィス環境整備によって目指す、“ITの街・渋谷”の復権

渋谷は2000年前後のネットバブル期に「ビットバレー」と呼ばれ、米国シリコンバレーのようなネット企業集積地に位置づけ、ベンチャーの起業が経営者同士の交流がしやすい環境の整備を目指し多くのIT企業が集まった。しかし「六本木ヒルズ」開業などの影響などで、IT企業の多くは六本木などに移転し、渋谷のIT文化は一時衰退した。

しかし2012(平成24)年に開業した「渋谷ヒカリエ」に「KDDI」や「ディー・エヌ・エー」が移転したことにより再び盛り上がりを見せ、Googleも2019年秋に「渋谷ストリーム」への移転することを発表するなど、再びITの街としての脚光を浴びはじめた。

「渋谷ヒカリエ」
「渋谷ヒカリエ」

そのほかにも渋谷には「ミクシィ」、クラウドソーシングの「ランサーズ」、ITアウトソーシングサービスの「トランス・コスモス」、転職サイトなどを運営する「ビズリーチ」など名だたる企業が集まっており、現在渋谷の「セルリアンタワー」に本社をおく「GMOインターネットグループ」は「渋谷フクラス」に移転予定となっている。また、「サイバーエージェント」も分散しているオフィスを集約して、宇田川町に建設された「住友不動産渋谷タワー(Abema Towers)」に移転した。

「住友不動産渋谷タワー」(提供:住友不動産株式会社)
「住友不動産渋谷タワー」(提供:住友不動産株式会社)

そのような情勢の変化の中、渋谷区に拠点を置く「サイバーエージェント」、「ディー・エヌ・エー」、「GMOインターネット」、「ミクシィ」の4企業が、渋谷をITの世界的技術拠点にすることを目的に、「SHIBUYA BIT VALLEY」(シブヤ・ビットバレー)プロジェクトを始動。渋谷区と連携し、テックカンファレンスの開催を中心に、渋谷のIT企業のコミュニティー強化、交流の活性化を目指して中長期的に取り組む予定だ。

100年に一度ともいわれる大規模な開発と合わせて、開発後の将来を見据えたソフト面の整備も動き出すなど、新たなステージへと進化を続ける渋谷駅周辺。ますます盛り上がりを見せていくであろう渋谷の街から目が離せない。

東京都のitot



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