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スペシャルインタビュー

“話す力・聞く力の育成”を通じた取り組みを進める「西東京市立栄小学校」

創立50周年を迎えた「西東京市立栄小学校」

2020(令和2)年度に創立50周年を迎える「西東京市立栄小学校」。西武池袋線「ひばりヶ丘」駅より徒歩10分ほどの穏やかな住宅地に囲まれた環境で、保護者や地域との連携も密に行われている地域に根ざした学校だ。地域の防犯活動をきっかけに誕生したチューリップのマスコット「さかえちゃん」も広く浸透し、地域のみんなで子供たちを守ろうというあたたかい雰囲気に包まれている。今回は「栄小学校」の校長として4年目を迎える中村千佳子先生を訪ね、学校の特色や地域とのつながりについて話を伺った。

地域のマスコット「さかえちゃん」と中村校長先生

2020(令和2)年度に創立50周年を迎える「栄小学校」

――「栄小学校」の概要、歴史について教えてください。

中村校長先生:「栄小学校」は1970(昭和45)年に創立されました。来年度は節目となる創立50周年を迎えます。本校では記念式典の開催を予定しています。
開校当時は、校歌にも謳われている通り、校舎の正門側にはけやきの森が広がっており、北門側には牛舎もあって、のどかな雰囲気の地域だったようです。
近年、学校周辺も都市化が進んで住宅が多くなっていますが、近くには公園や畑も残っていてのどかな景色もありますし、子供たちにとって恵まれた環境だと思います。
学級数は現在18学級あります。1学年3学級ずつで全校児童数は約610名です。少子化に伴い市内では閉校になっている学校もありますが、本校の学区域においてはここ数年、児童数が増加していて、私が着任した4年前と比べると100名ほど増えています。
子供たちの印象は、とっても素直で、活力があって、生き生きと力を発揮していると感じています。

住宅地に囲まれた、穏やかで子育てに恵まれた環境
住宅地に囲まれた、穏やかで子育てに恵まれた環境

“話す力・聞く力の育成”を通じた取り組みに重点を置いた教育

――教育方針について教えてください。

中村校長先生:2018(平成30)年度に「学校要覧」を大きくリニューアルいたしまして、本校の現在の取り組みや経営方針などを盛り込みました。最初のページを開いたところに「児童の笑顔が輝き活力のある学校」というモットーを掲げています。
具体的な取り組みとしては、市の研究指定校として「カリキュラム・マネジメントを通した授業改善」というテーマで2年間の研究をしてまいりました。カリキュラム・マネジメントというのは、2020年度から実施される新学習指導要領にあるキーワードのひとつで、PDCAサイクルをまわして授業の見直し、改善をしながら最大限の教育効果をあげていく教育活動です。

本校では“話す力・聞く力の育成”というのが大きなポイントです。その力を他の教科や活動にもつなげていこうと考え、取り組みをはじめました。
少し詳しく説明すると、予測不可能な未来を生き抜く今の子供たちに必要な「他者と協働して課題を解決する力」の土台となるのが思考力・判断力・表現力です。そこにはやはり言語活動が基盤になるため、本校では言語能力の向上に取り組んできました。

2020(令和2)年、1月31日(金)にその研究発表会を行なったところですが、この2年間で子供たちの力は本当に伸びました。

「栄小学校」の学校要覧・案内
「栄小学校」の学校要覧・案内

異学年交流によって育まれる学校全体のあたたかい雰囲気

――具体的にどのような取り組みが行われ、どのような変化が見られたのでしょうか?

中村校長先生:カリキュラム・マネジメントというのは、特定の教科に限らずいろんなつながりを考えて教育活動を効率的に行おうというものです。本校は国語科の取り組みを中心に、他教科・他領域の取り組みや日常生活における取り組みも行いました。

例えば日常生活における取り組みとしては、私が着任して3年目頃から「6年生を中心にした学校づくり」に取り組み、毎月の全校朝会で、6年生が学校代表として話をする場を設けました。これは、全校生徒の前で大きな声で分かりやすく話すことを意識する実践の場です。

日頃から授業の中で先生たちが“話す力・聞く力”をしっかり育てていますので、実践の場を通じてどんどん上手になっていきましたし、発表する6年生の立派な姿を見て他の学年の子供たちの“話す力・聞く力”も伸びていくといった良いサイクルになっています。
他にも6年生が1年生に掃除の仕方や縄跳びを教えてあげたり、5年生が2年生のかけ算九九の練習を見てあげたりと、学校全体で異学年交流が自然発生的にどんどん広がってきています。高学年が低学年に関わる時、みんなやさしいんです。異学年交流によって学校全体があたたかい雰囲気になっていくのだと実感しています。

学校目標「創造する子」「勤労を喜ぶ子」「協力する子」
学校目標「創造する子」「勤労を喜ぶ子」「協力する子」

“話す力・聞く力の育成”によって高められる自己肯定感

――子供たちの変化として感じることは?

中村校長先生:子供たちの自己肯定感が高まったことが一番大きな変化です。学校評価アンケートでこの項目の数値が向上しました。さらに、学校の取り組みや経営方針に対して保護者の方からの肯定的評価がかなり伸びました。その結果を受け、学校運営連絡協議会では、「子供たち一人ひとりの“話す力・聞く力”が伸びたことによって、自分たちに自信を持つようになり、自己肯定感が高まったのではないか。」というご意見をいただきました。
学校では子供たちの成長した姿を保護者に見ていただくため、土曜公開日などで授業中に発表する機会を設けています。自己肯定感が高くなると、子供たちはお父さんやお母さんに「見に来てほしい!」と言います。

そうすると、保護者の方も以前より学校に足を運んでくださるようになります。授業で子供たちが頑張っている姿を見て、どんなことを考えているかが分かるようになり、子供たちの成長を実感する。そんな保護者を見て、子供たちはより自己肯定感を高める。こうしてとても良いつながりが広がり、全体的に肯定的評価が高まっています。

話す力・聞く力”が自己肯定感につながる
話す力・聞く力”が自己肯定感につながる

保護者や地域の方にも開かれた学校行事の取り組み

――特色のある学校行事について教えてください。

中村校長先生:大きな学校行事としては、まず5月に運動会を行います。また秋には音楽会・展覧会・学芸会を3年ごとのサイクルで行っており、今年度は展覧会を開催しました。保護者の方のみならず地域の方にも広く公開している行事で、地域の方からご感想をいただくこともございます。展覧会では、平面から立体まで、写実的なものから想像力を膨らませて作るものまで制作物は多岐にわたっていて、クロスステッチの刺繍やテーブルクロスのような家庭科作品もあり、全学年の作品が並びます。
また今年度は“夢の家”というテーマで6年生が共同作品を作りました。「東京田無ライオンズクラブ」の方々にご協力をいただいて、700本もの角材を使って体育館の天井に届くくらいの大きな家を作りました。写真にもありますが圧巻の仕上がりです。

6年生の共同制作“夢の家”
6年生の共同制作“夢の家”

実はこういった行事にも先ほどの“話す力・聞く力の育成”を活かし、本校では兄弟学年鑑賞を行っています。低学年が上級生に「わたしの作品はこれです」「〇〇を工夫して作りました」等と伝えると、お兄さん、お姉さんは「上手に作ったね」などと受け答えします。そういうやりとりを通じて自然と“話す力・聞く力の育成”が育まれているんです。

校内には卒業制作が数多く展示されている
校内には卒業制作が数多く展示されている
卒業制作「孫悟空」の飾られる西階段 

幼保小の連携と、小中一貫教育に向けた中学校との交流

――近隣の幼稚園や保育園、中学校との交流について教えてください。

中村校長先生:近隣の幼稚園や保育園とのつながりとして、例えば保育園児の小学校参観、幼稚園児を小学校に招待して秋祭りを行ったりしています。1年生の子供たちにとっては、お兄さん、お姉さんとして小さい子と触れ合う貴重な機会になっています。
また中学校との連携については、西東京市としても2020(令和2)年度から小中一貫教育をスタートさせますが、中学校に進学した時に子供たちが戸惑うことの無いよう連携を進めています。
本校では以前から「保谷第一小学校」、「青嵐中学校」と連携校としての取り組みを行なっており、9月の「水泳交流会」や6年生の「部活動体験」、2月には「小中交流会」もあり、市内でもモデル地域となっています。「青嵐中学校」のプールで行う「水泳交流会」は、「保谷第一小学校」と一緒に参加するため、みんなで泳いで、応援して、讃え合うといったような小学生同士の交流も生まれます。
この地域に住む子供たちが幼児期から義務教育の時代を円滑に過ごせるよう、さまざまな取り組みを行なっています。

木で造られたぬくもりある図書室

卒業制作「孫悟空」の飾られる西階段

地域全体で子供たちを見守り、学校運営にも協力的な地域とのつながり

――地域とのつながりについて教えてください。

中村校長先生:地域とのつながりはホームページの「学校の組織」にもありますが、「育成会さかえ」「わくわく栄」「栄小地域安全連絡会」「保谷苑」など、たくさんの方々が本校の教育活動に協力してくださっています。
まず「育成会さかえ」ですが、学期の始めと終わりの「あいさつ運動」、夏休みのラジオ体操やダンスイベントなどを行なってくださいます。今年度の「あいさつ運動」では、本校の児童会の子供たちが「一緒にコラボしたい!」と育成会の取り組みに参加させていただいて、大変盛り上がりました。大人と子供が一緒になってあいさつする光景はとても素敵で、あいさつで学校も活気づいている、そんな感じがいたしました。
次に「わくわく栄」は、学校区ごとにある「ふれあいの街づくり住民懇談会」の皆さまによる組織で、本校では学校運営にもたくさん関わりを持ってくださり、防犯活動として毎週一回ずつ校内・校外パトロールをしてくださっています。水曜日の校内パトロールでは、危険な場所は無いか、不審者はいないかのチェックをし、また金曜日の校外パトロールは、子供たちの下校時間に合わせて通学路をパトロールしてくださっています。
すれ違う時には子供たちに声をかけてくださったり、子供たちの方から挨拶をしたりと、世代を超えた交流が生まれていて、とてもあたたかい取り組みですね。

地域や保護者の方の協力で児童たちは守られている
地域や保護者の方の協力で児童たちは守られている

また「栄小地域安全連絡会」は、保護者をはじめ民生委員や防犯協会、下保谷駐在所のお巡りさんなど、60〜70名ほどが所属している組織です。地域の安全を守るための活動で10年以上の歴史があります。
「栄小地域安全連絡会」のマスコットは、チューリップの「さかえちゃん」、栄小の共通認識ツールです。チューリップマークのついた「さかえちゃんハンカチ」という蛍光オレンジのハンカチを、栄小の子供たちは全員ランドセルにつけています。これを持っていればひと目で栄小の子とわかり、遠足や校外学習に行く時もリュックに付けて行きます。他にもチューリップマークの自転車ステッカーなどがあります。これを保護者や地域の方が自転車に貼り付けて走るだけで犯罪の抑止力にもつながります。

校長室の前にも「さかえちゃん」
校長室の前にも「さかえちゃん」

また「さかえちゃんスティック」という画期的なアイデアもあります。通学路を歩くと、「さかえちゃんスティック」が立っています。これは「栄小の子供たちを見守ります」とご協力をいただいているお家の目印で、保護者だけではなく地域の方も玄関先に設置してくださっています。地域全体で子供たちを見守ろうという意識が浸透している素晴らしい地域です。

チューリップの「さかえちゃん」は、「栄小地域安全連絡会」の保護者の方がデザインしたと聞いています。栄小の子供たちや卒業生にとってチューリップは大人になっても特別な思い入れのあるお花となっているようです。

「さかえちゃん」が子供たちを見守ってくれている
「さかえちゃん」が子供たちを見守ってくれている

人も環境もあたたかい、住むのに便利な生活エリア

――最後に学校周辺の生活環境の魅力やおすすめのスポットがあったら教えてください。

中村校長先生:まず「ひばりヶ丘」駅は急行が止まりますので、都心への通勤通学にも便利なところですし、駅の周りには商店街もあって住むのには便利な地域だと思います。

「ひばりヶ丘」駅までは徒歩約10分
「ひばりヶ丘」駅までは徒歩約10分

おすすめのスポットとしては、本校の近くに「わんぱく公園」があり、本校の子供たちにも大人気のスポットです。園内には遊具もありますし、ボール遊び専用ゾーンもありますね。また栄町にはフェンスで囲まれている「健康広場」という場所があり、ボールを使ったスポーツをやるのに適した場所です。
本校の近くには畑も残っていてのどかな景色もありますし、人や環境のあたたかさをたくさん感じます。

穏やかで心温かいひばりヶ丘エリア
穏やかで心温かいひばりヶ丘エリア
「西東京市立栄小学校」

西東京市立栄小学校

中村千佳子校長先生
所在地:東京都西東京市栄町2-10-9
電話番号:042-423-0276
※この情報は2020(令和2)年3月時点のものです。

“話す力・聞く力の育成”を通じた取り組みを進める「西東京市立栄小学校」
所在地:東京都西東京市栄町2-10-9 
電話番号:042-423-0276
http://www.nishitokyo.ed.jp/e-sakae/




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