副理事長 伊浪里奈さん、理事 今吉陽子さんインタビュー

求められ、楽しいと思えることを形にし続ける。府中市で子育て支援に取り組む/特定非営利活動法人ママチャーリーズ(東京都)


都心へのアクセスもよく、武蔵野の自然と歴史を身近に感じることができる府中市。自治体が子育て支援策や自然を活かしたまちづくりにも力を入れており、東京都内の子育てがしやすい街としても人気が高いエリアです。

今回はそんな府中市で、子育て支援活動に取り組む特定非営利活動法人ママチャーリーズの副理事長の伊浪里奈さん、理事である今吉陽子さんに、ママチャーリーズの活動や府中市の子育て環境、街の魅力についてお話を伺いました。

取材にご協力いただいたママチャーリーズ副理事長の伊浪さん
取材にご協力いただいたママチャーリーズ副理事長の伊浪さん

子育て情報の発信源を求めて、8名の主婦が立ち上げた「ママチャーリーズ」

――まずは、「NPO 法人ママチャーリーズ」の設立経緯について教えてください。

伊浪さん: ママチャーリーズは、府中市主催の「女性のためのライター講座」を受講した主婦8名が2008(平成20)年に立ち上げた団体です。「ママ向けの子育て情報をもっと気軽に取り入れたい」という仲間内でのニーズから、せっかくなら習得したライティングの知見を活かそうと情報発信をするようになりました。最初はブログからスタートし、主婦である自分たちが知りたい、やりたいことなどを取材して記事を掲載していました。その後、「てくてく府中」というWEBサイトに移行し、現在も子育てに役立つ情報を定期的に発信しています。そして、さらに活動の幅を広げるために2021(令和3)年3月に法人化しました。

2016年にママチャーリーズに参画したという伊浪さん
2016年にママチャーリーズに参画したという伊浪さん

――活動コンセプトはどのようなことを掲げているのでしょうか。

伊浪さん: 代表の成川がよく口にするのは、「できる時に、できることを」という言葉です。団体としては、いろいろな事情で動けない時がある中で、無理をせずに空いた時間を使って楽しく続けることができる場の提供をしています。

今吉さん: 活動を検討する際は社会貢献度やお金ではなく、「みんながやりたいと思えること」を大事にしていますね。どんなにおいしい話でも、メンバーが活動を楽しめずに辛くなってしまうことならやらない。そのようなスタンスを大事にしています。

小学校入学前の保護者向けイベント「入学ラウンジ」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ
小学校入学前の保護者向けイベント「入学ラウンジ」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ

――メンバーにはどんな方がいらっしゃいますか。また、メンバーになるにはどのような手続きが必要なのでしょうか。

伊浪さん: 現在、30名程のメンバーが所属しています。営業や勧誘などが目的ではないなど基本的な規約はありますが、ママチャーリーズの活動に賛同し、自分も何かをやりたいという気持ちがあれば誰でも参加できます。また、団体名に“ママ”と称していますが、必ずお母さんである必要はなく、より多くの方に門戸が開かれています。実際メンバーの中には、お母さんの他にもお父さんや独身の方などさまざまな方がいらっしゃいます。

今吉さん: メンバーにはもとからの府中市在住者もいますが、市外からの転入者も多くいます。私も市外から府中市へ来た人間ですが、仕事一筋で生活をしていると地元の人に会う機会がなかなかなく、育児休暇中でないと地域とふれあえないという焦りがありました。保育園児のお母さんたちは基本的に忙しいので、他の保護者の方とゆっくり話している時間があまりありません。

また、地域情報を仕入れるといえば自治体になりますが、自分の都合がつく時間には空いていない。ではどこで情報を得て仲間を作ったらいいかと悩んだ時に、ママチャーリーズのような存在がとても助かります。それに子育てに専念している方もいれば、私のように仕事をしながら子育てをしている人もいますし、独身者もいます。この多様性のある環境がとても居心地がいいんですよね。

子どもたちが広いスペースで存分に取り組める「書き初め会」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ
子どもたちが広いスペースで存分に取り組める「書き初め会」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ

伊浪さん: 参加方法については、まずは私達が運営する「てくてく府中」のWEBサイトからお問合わせいただき、こちらから入会手続きのご連絡をしています。正会員は3,000円、ボランティア会員300円の年会費をお支払いいただけば、会員になることができます。

「てくてく府中」: https: //www.tekutekufuchu.com/info.html

アイデアの源は、子育て世帯のリアルな声!やりたいことはスピード感を持って実現していく

――府中市の保育園事情を先輩ママから聞ける「保活カフェ」や、子育てパパママ向けのリアル交流会「おしゃべりひろば」の活動は、このコロナ禍で地域のネットワークが希薄になりつつある今、意味深いものがあると感じます。利用される方は、どのような方が多いですか。

伊浪さん: 他エリアから転入されてきた方が多い印象ですね。結婚、子育てを機に府中にいらして、府中エリアのことを知らないという方たちです。「保活カフェ」は年に数回、リアルとオンラインで開催しています。コロナ禍で園の見学ができない人も多かった中、保育園へ入園された方や見学した方のリアルな声を聞くことができるので、話を聞きたい方などが参加されていました。

また、「おしゃべりひろば」については、やはりコロナ禍で乳幼児を抱えるお母さん方が孤立しているということで、交流できる場を設けようと始まった活動です。参加者は市内にお住まいの方が多いですが、府中市在住ではなくても誰でも参加することができます。

ママチャーリーズ主催の「おしゃべりひろば」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ
ママチャーリーズ主催の「おしゃべりひろば」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ

――子育て支援と聞くと、乳幼児対象のものが多い中、中高生向けの自主学習支援の「てらこや」の活動など長期にわたるサポート活動もされています。こちらは、どのような背景から活動を始められたのでしょうか。

伊浪さん: 世帯によって教育や収入に格差があるという、世の中の実態を知ったことをきっかけに始まった活動です。ママチャーリーズの初期メンバーのお子さんがちょうど塾に通い始める年頃で、調べてみると結構な費用負担がかかる。子育て世帯をサポートするためにも、学べる場を作ろうということで活動がスタートしました。講師陣が大学生中心なので、子どもたちからすると、自分たちの少し先輩から将来的な情報を教えてもらえるというのも魅力的なようです。それに、地域で集まる居場所があるというのが子どもたちにとってはうれしいことなのかもしれませんね。

中学生が安心して過ごせる居場所「てらこや」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ
中学生が安心して過ごせる居場所「てらこや」 ©︎NPO法人ママチャーリーズ

――今後の活動において、挑戦していきたいことなどがあればお聞かせください。

伊浪さん: まずは今取り組んでいることを継続させることが求められていることであり、大事なことだと考えています。やるとするならば、LINEのオープンチャットを通して聞けた皆さんの声を基に、次のプロジェクトとして実現していく。これが、ママチャーリーズの活動スタイルです。

今吉さん: ママチャーリーズの良さの一つは、スピード感です。組織の中だと物事の実行がなかなかスムーズにいかないことが多いと思いますが、私たちの場合、アイデアが決まったらもう翌週には実施することもあります。アイデアが出しやすい雰囲気や、賛同者が数名いたらすぐに実行できるモチベーションがあるからです。先程お話ししたメンバーの多様性もそうですが、この気軽さが事業が継続するポイントにもなっている気がします。

子どもも大人も絵本や創作などを楽しめる「読み聞かせフェスティバル」はママチャーリーズも出展 ©︎NPO法人ママチャーリーズ
子どもも大人も絵本や創作などを楽しめる「読み聞かせフェスティバル」はママチャーリーズも出展 ©︎NPO法人ママチャーリーズ

高い利便性、自然、歴史、子育て支援……すべてがバランスよく揃う住環境が何よりも魅力

――府中市での子育ての魅力についてですが、行政の取り組みやサービスなど、府中ならではの子育て環境の魅力とはどのような点でしょうか。

伊浪さん: 府中市は、“市民のため”の取り組む姿勢が感じられる場面が多々あります。たとえば地域応援商品券「ふちゅうチケ」は、地元に還元してもらいたいという考えのもと、他市よりも還元率を高く設定しています。子育ての施策面でいうと、待機児童の解消への取り組みは一番還元されたことだと思います。

今吉さん: 都心にも、自然のある場所へも、一時間ほどで行ける利便性と、充実した行政サービスは魅力だと感じます。また、緑や公園、病院の豊富さが住みやすさだとすると、府中はそういうものに事欠きません。図書館も書籍や視聴覚資料が豊富にありますし、学びの環境も充実しています。突出した何かがあるわけではないですが、バランスがいい。だから気づいたら何十年もここにいる。きっと居心地が良い場所なのだと思います。

乳幼児向けイベント「青空ひろば」では親子が屋外でのびのび過ごせる ©︎NPO法人ママチャーリーズ
乳幼児向けイベント「青空ひろば」では親子が屋外でのびのび過ごせる ©︎NPO法人ママチャーリーズ

――「住む街」としての府中エリア、特に東府中の魅力はどんな所でしょうか。また、よく利用する施設やお店など、お出かけスポットがあれば教えてください。

今吉さん: 私は最寄りが「東府中」駅なのですが、「府中の森公園」や「府中市郷土の森博物館」に子ども達を連れてよく行きます。郷土の森には、とても大きなじゃぶじゃぶ池やプラネタリウムがあり、連れていくと子どもたちがすごく喜ぶんですよね。高速に乗って遠出をしなくても、地元に遊べる場所がたくさんあります。

それから、数年前にママチャーリーズで子育てを応援してくれる府中のお店を掲載した子育てマップを作りました。素敵なお店がたくさんあるので、ぜひ参考にしていただけたらうれしいです。

ママチャーリーズ制作の「府中子育てマップ」は 第13回キッズデザイン賞を受賞 ©︎NPO法人ママチャーリーズ
ママチャーリーズ制作の「府中子育てマップ」は 第13回キッズデザイン賞を受賞 ©︎NPO法人ママチャーリーズ

伊浪さん: 私は生まれも育ちも府中なのですが、旧甲州街道が西から東までずっとのびている風景が好きなんです。府中を代表するお祭り「くらやみ祭り」の開催時には、私の父も神輿を担いで参加しますし、山車や太鼓が出て賑わいます。宿場町だった府中には街中に昔ながらの風景がたくさん残っていますが、この旧甲州街道は特に風情を感じられる場所ですね。他にも市内は遺跡も発掘される場所なので、土地の購入時には埋蔵調査があるんですよ。身近に歴史を感じられるのもこのエリアの魅力だと思います。

東京都府中市・「特定非営利活動法人ママチャーリーズ」副理事長 伊浪さん
東京都府中市・「特定非営利活動法人ママチャーリーズ」副理事長 伊浪さん

特定非営利活動法人ママチャーリーズ

副理事長 伊浪 里奈さん、理事 今吉陽子さん
「特定非営利活動法人ママチャーリーズ」の情報は
こちらから
「てくてく府中」
https: //www.tekutekufuchu.com/info.html
※この情報は2022(令和4)年1月時点のものです。

 

求められ、楽しいと思えることを形にし続ける。府中市で子育て支援に取り組む/特定非営利活動法人ママチャーリーズ(東京都)
所在地:東京都府中市美好町1-11-2 
電話番号:070-6488-6291
https://www.tekutekufuchu.com/