“居心地の良さ”を最優先に。 地域に寄り添う子育てのひろば/貫井子ども家庭支援センター 貫井ぴよぴよ 千葉勝恵さん
所長 千葉勝恵さん
“居心地の良さ”を最優先に。
地域に寄り添う子育てのひろば
「貫井ぴよぴよ」
貫井地区の最寄駅である西武池袋線「富士見台」駅は、隣駅の「練馬高野台」駅との間の区間で富士山が美しく見えることからつけられた名前。その名に象徴されるように静かな住宅街が広がるこの地域は、中野区に隣接する練馬区の南に位置する。各駅停車でも「池袋」まで16分、有楽町線や副都心線とも直通運転をする便利な環境なだけに、ファミリー世代を中心に人気を誇る地区でもある。そんな貫井地区で子育てをサポートする「貫井子ども家庭支援センター」の、親子交流のためのひろば事業「貫井ぴよぴよ」についてセンター所長の千葉さんに聞いた。
まず、この貫井地区に「貫井ぴよぴよ」ができた経緯を教えていただけますでしょうか。
「貫井ぴよぴよ」は「貫井子ども家庭支援センター」のひろば事業として開設しております。
私は50歳まで杉並区の公立保育園の園長を務め、その後地域のボランティアとして活動をしていました。ボランティアとしての距離の取り方や考え方などで悩んでいた時、知人からカナダの福祉施設視察の誘いがあり、オンタリオ州ピーターポロへ行く機会を得ました。
そこでは村はずれのボランティアコーナーをたずねると、地域の高齢者が、郵便配達をしながら農家から提供された野菜を一緒に届けたり、気軽にサポートし合う土壌がありました。高齢者が困っている高齢者を助ける、そして助ける側にいることを幸せに・誇りに思う。“弱者を助けるのがボランティア”だと思っていた私は、ボランティアの原点を目の当たりにして、目からウロコが落ちました。
またリソースセンターが開催する「ドロップイン」と呼ばれる集える場所が、ショッピングモールの中にあり、他にも地域の集会場等を利用して開かれるところも見学しました。既に武蔵野市で開催している『0123吉祥寺』の所長の森下先生もご一緒で、「日本にもたくさん必要」という言葉が心に残りました。帰国後、10名でボランティアグループを結成、関町ボランティアコーナーの会議室を借り、1997(平成9)年「つどいのひろば」をスタートさせました。
4年後に(1997(平成9)年3月25日東京都認証)特別非営利活動法人「手をつなご」が生まれ、その後、練馬区から事業委託という形で2010(平成22)年から「貫井子ども支援センター」を開設するというお話をいただき、現在に至っています。
「つどいのひろば」を始める前に“こういう場所にしたい”という思いはあったのでしょうか。
最初は先輩ママである自分たちが、新人のママパパたちに“教えてあげたい”という思いでした。しかし、実際に訪れる親御さんたちを見ていたら、みなさん本当に一生懸命で子どもにしっかり愛情を注いでいて、教えることは何もなかった。ですから私たちは、“親子が気持ち良く過ごせる場所を提供することに徹しよう”、“親子を温かい目で見守ろう”ということに決めました。今もセンターのスタッフとの間では、“ママと子どもたちの居心地よさ”を最優先に考えていこうと話しています。
月2回だった活動も、利用者から「もっと回数を増やしてほしい」といった要望が増たこともあり、アパートを借りて毎日オープンするようになりました。そして2002(平成14)年から特定非営利活動法人「手をつなご」となり、2006(平成18)年から練馬区関町で「関ぴよぴよ」を、2010(平成22)年から「貫井ぴよぴよ」の運営を練馬区から任せていただいています。
ひろばの概要や利用方法を教えていただけますでしょうか。
練馬区が2010(平成22)年1月、貫井子ども家庭支援センター開所、手をつなごはセンター事業を受託しました。貫井ぴよぴよは貫井子ども家庭支援センターの一事業として地域の方たちと共に育ってきたと思います。貫井ぴよぴよは0歳から3歳までのお子さんとその保護者が自由に遊べる子育ての広場です。月・火・水・金・土曜日の10~16時、また祝日もオープンしていますので、自由に集い、自由に遊んでいただけます。12~13時の間なら各自持参して昼食も召し上がっていただけます。
また練馬区在住の方を対象に生後6ヵ月~未就学児の「乳幼児一時預かり事業」も行っています。毎週月~土曜日の10~13時の3時間、13~16時の3時間、または通しで10時~16時までの一時預かりを実施しています。(これは練馬区の一時預かり事業です。)利用の事由は問いません。リフレッシュにもご利用いただいています。0歳児は3時間2,000円、1歳以上なら1,500円でお預かりしています。親御さんたちが病院へ行ったり、美容院へ行ったりなどちょっとした用事をする時になどに利用していただいているようです。
イベントなども多く開催されているようですね。
ママたちがより集いやすくなるように、様々な催しを考えています。例えば、「貫井子ども家庭支援センター」で行っている、マタニティママと6ヵ月までの赤ちゃんがいる保護者対象の『わかばちゃんの会』や、『歯科衛生士さんのお話』、『看護婦さんのお話』、『助産師さんのお話』を通してコミュニティづくりをしています。近隣にすむプロの演奏家ご夫婦の『長島さんコンサート』、『お洋服のお下がり交換会』、『身体計測』、ときには『2歳児のイヤイヤを乗り越える方法』や『産後クライシスの講座』など、ママたちが気になる話題を講座にすることもありますよ。
基本的には親御さんたちが疑問を解消したり、子どもと一緒にちょっと息抜きができるようなイベントを開催しています。
0~3歳まで、年齢の異なる子どもが同じ場所で遊ぶことで子どもにとってもプラスになることはありますでしょうか。
まず下の子たちはお兄ちゃん・お姉ちゃんたちを見て、非常に刺激を受けるということ。全く立つことに興味がなかった子が、ここで遊びまわる子どもを見て、家に帰ってからつかまり立ちの練習を始めたという話も聞きました。 また上の子たちにとっては“気づき”があるということ。赤ちゃんや小さい子に対して、自分は何が出来るのか。出来なくても子どもながらに気付き、考えている。兄弟が少なくなった今では、自然に学ぶことが難しくなっているので、こういった経験は貴重かもしれません。でも、子どもたちは絶対に赤ちゃんを踏んづけたりしないんですよ。わざわざ相手にはしないかもしれませんが、横になっている・そこにいる、ということはきちんと理解している。子どもって凄いですよ。先輩ママたちも我が子が赤ちゃんを踏まないかと気配りしています。
もちろんモノの取り合いなどはしょっちゅうですが、“人のモノが欲しい”ということは“意欲がある”ということ。取った、という結果だけを見ずにプロセスも見てあげてほしいと思います。
ママパパたちへ伝えたいことはありますか?
子どもと一緒に遊んでほしいと思いますね。子どもと一緒に遊べば、子ども自身のことを理解できるようになります。一緒に何かをつくれば、どれだけその作品が大事か分かる。お掃除の時もガラクタとして捨てられなくなりますよ(笑)
そして人と自分の子を比べないこと。横を見て比較する「横比べ」ではなく、「昨日できなかったことができた」「成長した」という「縦比べ」をしてほしいと思います。
最後に、千葉様はこの富士見台エリアについてどのようなところが魅力だと思われますか?
皆さん穏やかな方が多いと思います。車も自転車ものんびり走るようなマナーの良さ、穏やかさを感じますね。住宅街なので静かですし、駅前には商店街もあって暮らしやすい場所ですよ。
またここに通ってくる方たちも素直な方々が多く、グループもつくらない。初めての方が参加しても、すぐ溶け込める雰囲気があります。先日も色々な幼稚園の先輩ママたちが、これから幼稚園選びをするママたちへ各幼稚園事情を話す会も開いたんですが、実に和気あいあいと楽しい雰囲気でした。これはこの土地ののんびりした明るい土地柄のお陰かもしれませんね。
今回、話を聞いた人貫井ぴよぴよ(貫井子ども家庭支援センター) 住所:東京都練馬区貫井3-25-15 ※記事内容は2014(平成26)年7月時点の情報です。 |
“居心地の良さ”を最優先に。 地域に寄り添う子育てのひろば/貫井子ども家庭支援センター 貫井ぴよぴよ 千葉勝恵さん
所在地:東京都練馬区貫井3-25-15 貫井子ども家庭支援センター内
電話番号:03-3577-9820
開室時間:9:00~17:00(乳幼児一時預かりは16:00まで)
閉室日:木・日曜日、年末年始(乳幼児一時預かりは無休)
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