園長 野上秀子先生インタビュー

子どもの主体性を第一に。創立70年の歴史と、地域の子育て拠点としての役割をもつ/久我山幼稚園


武蔵野の面影が残る穏やかな雰囲気の住宅地に位置する「久我山幼稚園」。1950(昭和25)年の創立から70年を迎える地域に根ざした幼稚園で、360名もの子どもたちが一緒に生活を送る大きい幼稚園。杉並区内に5ヶ所の認可保育園を運営する社会福祉法人風の森とともに、地域の高まる保育ニーズや子育て支援にこたえている。今回は「久我山幼稚園」の野上秀子園長先生にお話を伺い、幼稚園の特色や久我山の魅力について教えていただきました。

久我山幼稚園外観
久我山幼稚園外観

1950(昭和25)年から幼児教育に取り組む

ーーー「久我山幼稚園」の概要について教えてください。

野上先生:学校法人野上学園「久我山幼稚園」は、1950(昭和25)年の創立より来年で70周年を迎えます。現在の園舎は、耐震補強工事ならびに建て替えをした新しい園舎で、神社と隣接した西館は2015(平成27)年に完成しました。 また2010(平成22)年に建てた記念館は4階建で、未就園児を対象にしたプログラムや学童保育など、地域の子育て拠点としても役立てていただいています。 2019年2月現在、定員は、3・4・5歳児それぞれ120名ずつ、総勢360名の子どもたちが一緒に生活をしています。おそらくこの地域では当園が最も規模の大きい幼稚園なのではないでしょうか。通園エリアは、北は西荻北から南は甲州街道の南側に位置する南烏山まで、広い範囲からいらっしゃっています。もちろん送迎バスもありますが、徒歩あるいは自転車で送り迎えをされている近隣の方が6割前後という印象です。

光の良く入る園内
光の良く入る園内

地域のニーズに応えて幼児教育に取り組んだのがはじまり

ーーー園の沿革や、開園にあたり久我山を選んだ理由を教えてください。

野上先生:「久我山幼稚園」を開園した1950(昭和25)年頃は、まだ戦後間もない時期で、小さい子どもたちが十分に教育を受けられるような場所があったわけではありませんでした。その後、地域の後押しもあって初代園長の野上澄江が幼児教育に取り組んだのがはじまりです。現在、西館のあるところには当時配給所があったそうで、配給がなくなり使われなくなった建物を借りて、当園の教育活動が行われるようになったそうです。

一室には世界の名作の絵本もおいてある
一室には世界の名作の絵本もおいてある

日本の伝統文化に触れて心を養う茶道の時間

ーーー「久我山幼稚園」ならではの特色ある取り組みについて教えてください。

野上先生:特色ある取り組みの1つは、カリキュラムの中に”茶道”がある点です。お茶の点て方を習うのではなく、日本の伝統文化にふれて、四季の移り変わりや美しいものを感じる心、人を思いやる心遣いなどを大切にできる人として、その品格を育てていきたいですね。 茶道は1956(昭和31)年からはじまり、もう60年以上になります。現在は久我山にお住いのお茶の先生にお越しいただいて、年中さん、年長さんが取り組んでいます。ほかにも、リトミックや絵画、体操、英会話などにも取り組み、それぞれ専門の講師を招いて活動を行なっています。

記念館のお茶室
記念館のお茶室

未就園児を対象にした子育て支援プログラムも充実

ーーー地域の子育て拠点としての役割についてもお聞かせください。

野上先生:未就園児を対象としたプログラムに「ピコらんど」「pico baby」「くがやまFamilyさぽーと」があり、それぞれ当園のHPから事前登録・予約していただいた方を対象にしています。2歳児を対象にした親子教室「ピコらんど」は、先生と一緒に運動やリズム遊び、製作、絵画などさまざまな活動を行います。月曜日から金曜日のいずれか1日をお選びいただき、月3回、9時45分から11時15分まで楽しい時間を過ごします。そのほか、実際の幼稚園での生活を体験できる機会も設けていますので、入園後の幼稚園生活にもスムーズに順応できると思います。また、0〜2歳児を対象にした「ピコbaby」は、午前10時から12時まで好きな時間に好きなタイミングでご利用いただける子育て広場で、現在、1日14組を定員に記念館4階のスペースを開放しています。「くがやまFamily サポート」にご登録いただいた方を対象にお送りしている「子育て応援メルマガ」もあり、在園中のお子さまの保護者をはじめ、およそ3,500名もの方に子育て情報を発信しています。

記念館二階にはピアノが備え付けられたホールも
記念館二階にはピアノが備え付けられたホールも

地域の課題に応える総合型学童クラブの運営にも取り組む

ーーー学童保育の現状についても教えてください。

野上先生:「アフタースクールくがやまキッズ」という名称で、預かり・体験・学習の3つの要素を兼ね備えた総合型学童クラブを運営しています。 小学校入学後に直面する放課後の過ごし方への課題を解決し、地域の子育てを支援する目的で学童保育もはじめました。 現在、1日あたり平均して70人前後の利用があり、記念館と園庭を活用して運営しています。

4階建てのモダンな記念館
4階建てのモダンな記念館

地域のつながりも感じられる魅力的な子育て環境

ーーー久我山エリアの魅力について教えてください。

野上先生:子育てや教育に関する意識の高さを感じます。子どもを見守る目であったり、優しさや温かさなど地域のみんなで子どもたちを育てようという気持ちがあるので、子育てをするには恵まれた地域なのかなと思います。 あと武蔵野の面影もあって、自然環境も良いですよ。 そんなに大きなまちではなく、地域のお祭りやコミュニティーもあって、人とのつながりの心地良さも感じられます。

久我山商店会
久我山商店会
 

子どもたちの主体性を育む姿勢を大切に

幼稚園の近くにある「久我山公園」
幼稚園の近くにある「久我山公園」

ーーー最後に地域の方やこれからこの地域に住まわれる子育てファミリーにメッセージをお願いします。

野上先生:2018(平成30)年に教育要領が改定されて、幼稚園・小学校・中学校と全て同じ流れの中で子どもたちを育てていくということが明示されました。 その中で幼稚園時代に育てたい一番大きなものは主体性です。子どもたちがいかに主体的に自分で考え、判断し、自分で行動していけるかという力を育てていくことが求められています。誰かにこれをしなさいとか、今日はこれをやりましょうと与えられるのではなく、自分でやりたいことに取り組みながら、そこで試行錯誤をしたり、思考力を培っていけるよう、当園でも取り組んでいきます。

野上秀子先生
野上秀子先生

久我山幼稚園

園長 野上秀子先生
所在地 : 東京都杉並区久我山3-37-24
電話番号:03-3333-7777
URL:http://kugayama.ed.jp/enroll/index.html
※この情報は2018(平成30)年2月時点のものです。

子どもの主体性を第一に。創立70年の歴史と、地域の子育て拠点としての役割をもつ/久我山幼稚園
所在地:東京都杉並区久我山3-37-24 
電話番号:03-3333-7777
開園時間:7:30~18:30
http://kugayama.ed.jp/