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生涯にわたる学びを支援するため 時代のニーズに合わせた講座を開催する/津田梅子記念交流館 吉田真理子 教授


津田梅子記念交流館
交流館長 吉田真理子 教授

生涯にわたる学びを支援するため
時代のニーズに合わせた講座を開催する

武蔵野の豊かな自然が満喫できるベッドタウン、恋ヶ窪エリア。有名大学が点在する学園都市でもあり、教育に適した落ち着いた環境が整っている。このエリアで質の高い教育を実践している施設のひとつに「津田塾大学」がある。小平キャンパス内にある「津田梅子記念交流館」では在学生だけではなく地域市民や子どもたちにも門戸を開き、公開講座をはじめさまざまなプログラムを実施しているという。そこで今回は交流館の役割やどんな講座を開いているのか、館長の吉田真理子教授にお話を伺ってきた。

まずは地域に対する「津田梅子記念交流館」の役割を教えてください。

津田塾大学  小平キャンパス 外観
津田塾大学 小平キャンパス 外観
津田梅子記念交流館 外観

交流館は、津田塾大学創立百周年(2000〔平成12〕年)を記念し、卒業生をはじめ、多くの方の寄付のもとに設立されました。建物は、もともとこの場所にあった卒業生寄贈のチャペルに増築する形で造られ、在校生、卒業生、そして地域の方々との交流の場となっています。女性の自立を目指して創設された津田塾大学の建学の精神に基づき、生涯にわたる学びをサポートしようというのが、施設の理念です。 交流を主要なコンセプトとして、これまで市民生涯学習講座や親睦コンサート、展示、学生主体の子ども向け英語講座など、さまざまなプログラムを開催してきました。

交流館自体も開放感があり、周囲の緑豊かな環境と調和した素敵な建物になっていますね。建設時にコンセプトなどはあったのでしょうか。

津田塾大学  小平キャンパス ウッドデッキ
津田塾大学 小平キャンパス ウッドデッキ
ウッドデッキのある中庭スペース

周りの武蔵野の自然との調和が重要なコンセプトになっています。象徴的なのが、建物中央にあるウッドデッキの中庭です。西側の林がバックドロップ(背景)となるような木の簡易ステージが設けられています。自然との一体感を味わえる小さな野外劇場としても利用できる造りになっています。

津田塾大学  小平キャンパス 教室
津田塾大学 小平キャンパス 教室
2階セミナー室

また、2階のセミナー室は周りがすべてガラス張りなので、まるで緑の中に浮かんだ空間という印象を受けます。交流館の講座で使うだけでなく、授業でこちらの部屋を希望される先生もたくさんいらっしゃいます。

子ども英語プログラムからヨガ、マネー学まで、講座の内容を拝見すると多岐に渡りますが、どなたが企画されているのでしょうか。

事務局は交流館の事務室が担当し、企画の検討は、本学の教員と同窓会選出の委員から構成される交流館運営委員会の月例会で話し合われます。交流館長は同委員会の委員長でもあります。

開講している講座は継続しているものが多く、特に翻訳を体験できる講座はリピーターが複数いる人気講座です。実施していく中で要望があれば、その講座を定期的なメニューとして続けていきます。ご希望やご提案いただいた新企画は運営委員会で審議し、新しい講座として開設しています。

津田梅子記念交流館インタビュー
津田梅子記念交流館インタビュー
1階・ソファーのあるラウンジで「きり絵展」開催
提供:津田梅子記念交流館・事務室

講師は本学教員のほか、他大学で教鞭をとられている方、専門家として活躍されている方々にお願いしています。各界で活躍している卒業生に講師を依頼することもあります。
ソファーのあるラウンジでは展示なども行われます。掲載させていただいている切り絵展の写真ですが、本学卒業生できり絵作家になった種村千明氏の作品展を開催したときのものです。

市民生涯学習講座は実際にはどのような方が参加されているのでしょうか。また、参加された方々の感想や反応などをお聞かせください。

年少者から高齢の方まで、幅広い年齢層の方が参加されています。小平市を中心に近隣地域から参加される方が多いですが、講座によっては地方から参加する方もいらっしゃいます。広報は交流館のホームページや大学の公式ホームページ、小平市報などで行います。

ワークショップ型の講座は、特に参加者の方の満足度が高いです。2014年に開講した「大人のためのマネー学」は、金融消費者問題のエキスパートになった卒業生を講師に迎え、今注目のNISAも含めてお話していただいたところ、「とても良かった」「講座に参加してから買えばよかった」など反響が大きかったです。

子ども向けのプログラムにはどんなものがありますか?実施にあたり意識されているポイントなども教えてください。

津田塾大学  小平キャンパス 子ども
津田塾大学 小平キャンパス 子ども
1階の教室スペースでの
「春休み子ども英語クラブ」の様子
提供:津田梅子記念交流館・事務室

小・中学生を対象にした「春休み講座 子ども英語クラブ」、「夏休み子ども英語プログラム―津田塾生とつくる英語劇」、秋には1日だけのプログラム「Let’s 国際交流」を実施しています。春のプログラムは英語の歌やチャンツ、絵本の読み聞かせ、調べ学習などを子どもたちの春休み5日間を利用して行っています。夏休みのプログラムは1週間のプログラムですが、最終日には子どもたちが英語劇を発表します。秋に行う「Let’s 国際交流」では、すでに世界28か国からゲスト・スピーカーを迎えています。子どもたちは、ゲストの国の文化やことばについて英語をとおして学びます。

「小学生英語のひろば」という本学教員と学生とでつくる自主フォーラムが企画・運営していますが、あくまで学生たちの自主性を尊重し、教員はそのサポート役にまわっています。例えば、夏休みの英語劇プログラムは、2015年(平成27年)度で10周年を迎えますが、そのプログラムの準備には約半年間かけます。毎年15名程度の学生が自主的に関わり創り上げています。学年、学科を越えて協力しあい、学生たちにとって非常によい経験になっています。

そもそも、これらの取り組みは、小学校高学年で英語が必修化されるよりも10年以上前に、英語に初めて触れる地域の子どもたちに英語のプログラムを提供する目的で、本学教員と学生とが「小学生英語のひろば」という自主フォーラムを立ち上げたところからスタートしています。設立当初から、近隣の小学校への出張授業や「放課後子ども教室」などでの実践を積み重ねてきた歴史があります。また、現在では、小学校での外国語(英語)活動に「ひろば」に所属する学生たちが学習ボランティアとして積極的に参加しています。

英語プログラムに参加されている子どもたちの様子はいかがでしょうか?

津田塾大学  小平キャンパス 応援
津田塾大学 小平キャンパス 応援
夏休み子ども英語劇『ピノキオ』
クジラのセットの中での記念撮影
提供:津田梅子記念交流館・事務室

夏の英語劇は小学5・6年生と中学1年生が対象で、定員は約15人です。リピーターが多く、姉妹で合わせて6年間参加してくれたケースもあります。このお子さんは「将来、英語の先生になりたい」と言ってプログラムを卒業していきました。主に近隣の小・中学校に広報していますが、ホームページや知人からの情報で、夏休みを利用して新潟や北海道、大阪などからも参加者があります。

子どもたちは友達と一緒というより、個別に応募してくるケースが多いのですが、初日の午前中こそ緊張していても、学生も交えて一緒にお昼を食べたり、いろいろ話すうちに打ち解けて明るい笑顔になってきます。好奇心旺盛な子どもたちの吸収力には目を見張るものがあります。英語劇についても、リピーターや年上の子たちが年下の子や初めて英語を学ぶ子を励まし引っ張っていってくれます。そして、最終日の発表では、子どもたちの堂々した姿、英語での豊かな表現力に、保護者や学生たち、一般の観客も拍手喝采しています。

最後に、小平キャンパス周辺の魅力について、教えてください。

玉川上水緑道(小川橋付近)
玉川上水緑道(小川橋付近)
玉川上水緑道

キャンパス近くには玉川上水も流れています。自然が豊かでとても静かな環境にあるため、学生は勉強に集中できます。都心へのアクセスがいいのも魅力です。体育館や図書館、公民館などの公共施設も多く、とても住みやすい地域です。

津田塾大学  小平キャンパス 吉田教授
津田塾大学 小平キャンパス 吉田教授

今回、話を聞いた人

津田梅子記念交流館

交流館長 吉田真理子 教授

津田梅子記念交流館
所在地:東京都小平市津田町2-1-1
電話番号:042‐342‐5146
URL:http://koryukan.tsuda.ac.jp/

※2015(平成27)年1月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

生涯にわたる学びを支援するため 時代のニーズに合わせた講座を開催する/津田梅子記念交流館 吉田真理子 教授
所在地:東京都小平市津田町2-1-1 
電話番号:042-342-5111
https://www.tsuda.ac.jp/