脳科学を取り入れたスパイラル学習で効率的な勉強方法を実践/杉並区立松ノ木中学校 校長 萩原 正己先生


杉並区立松ノ木中学校
萩原 正己 校長先生

脳科学を取り入れたスパイラル学習で
効率的な勉強方法を実践

2013(平成25)年度より“地域運営学校(コミュニティスクール)”としての役割を担い、地域に根ざした学校運営をますます充実させている「杉並区立松ノ木中学校」。地域の方々により運営される“学校支援本部”の活動も多岐にわたり、試験勉強のサポートや部活指導、体育祭の準備のお手伝いなど、地域と一体となった学校運営が特徴的です。今回は、地域と連携しながら学校づくりを進める萩原校長先生に「松ノ木中学校」の特色と、“スパイラル学習”という効率的な勉強方法についてお話を伺いました。

まず、学校の沿革と特徴について教えてください。

杉並区立松ノ木中学校
杉並区立松ノ木中学校

「杉並区立松ノ木(まつのき)中学校」は、1947(昭和22)年に設立された「杉並区立西田中学校」を前身とした創立68年を迎える歴史ある学校です。2013(平成25)年度には“地域運営学校”いわゆる“コミュニティスクール”としての指定を受けたのですが、学校のある松ノ木地区はもともと町会へ加入する方の組織率が高く、学校と地域との結びつきは確かなものがありました。

杉並区立松ノ木中学校 校庭
杉並区立松ノ木中学校 校庭

23区内のなかでも松ノ木地区は豊かな自然環境に恵まれているのが特徴で、本校の校庭にも39本の立派な桜が植えられていますが、毎年4月になると恒例となった「桜を愛でる会」が催されます。学校支援本部と町会の協力のもと地域の方々に校庭を一般開放して“お花見”を楽しんでいただくイベントで、学校と地域との関係性がよくわかる良い例だと思います。

2014(平成26)年7月現在6クラス182名の生徒が在籍していますが、松ノ木地区には2世帯住宅が多くご両親が卒業生ということも少なくありません。祖父母の世代から長年にわたってお付き合いさせていただいているというご家庭もあります。

地域の方々により運営される“学校支援本部”では、具体的にどのような活動が行われていますか?

杉並区立松ノ木中学校 校長先生
杉並区立松ノ木中学校 校長先生

“学校支援本部”の活躍は多岐にわたり、「図書館ボランティア」や先ほどの「桜を愛でる会」の運営、また「英検、漢検、数検」のサポート、「部活動指導」においてはダンス部の講師を務めてくれたり、2年前に発足した“おやじの会”では体育祭の準備をしてくれたりと実にさまざまです。

また当校の「ホームページ」も“学校支援本部”の協力を得て管理、運営されています。

ホームページには進路先や進路分析などについて多く触れられていたように感じましたが、「松ノ木中学校」はいわゆる進学校としての認識でよろしいのでしょうか?

勉強
勉強
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本校は受験を最大の目標とした進学校というわけではないのですが、生徒ひとりひとりに“学習習慣”が身に付く指導を実践することで結果として希望する進路を選択しているといった状況だと思います。脳科学にもとづく“スパイラル学習”というものがあるのですが、授業で習ったことを翌日、1週間後、4週間後…と理想的には4回同じ学習を繰り返し、知識として身につけるための学習方法です。

まずは数学で導入しているこの学習方法も、今後は他教科へと展開することも考えており、そのための綿密な学習計画と教師ひとりひとりの指導法の確立に努めているところです。
数学と英語においては少人数授業を取り入れているのも特徴で、3年生の数学の授業は15名ずつ2クラスに分かれて学習指導にあたっています。

また当校の特色ある試みとして、日本大学文理学部の協力を得て教員志望の学生さんと本校の教師による“チームティーチング”を実践しています。各曜日2名・のべ10名の学生さんが年間を通じて指導にあたってくれているのですが、生徒と年齢が近いこともあり親しみやすく“わかった”“できた”という勉強の楽しさをうまく伝えてくれていると思います。

「クラブ活動」についても取り組みの状況を教えてください。「中学生レスキュー」とは? 

杉並区立松ノ木中学校 部活
杉並区立松ノ木中学校 部活

生徒数182名に対してスポーツ系6、文科系4、ボランティア系2のクラブ活動があるのですが、少人数の活動ではあるもののそれぞれ優秀な成績をおさめています。スポーツ系では特にサッカーとバドミントンの活動が盛んで、サッカーにおいては杉並区内の公立中学校でもっとも強いチームのひとつとなっているようです。

また現在4人で活動している「演劇部」は文化祭や校内発表会での活動のほか、都大会や関東大会にも出場するほどの実力派です。
ボランティア系のひとつとしてある「中学生レスキュー」については、杉並区の区の施策として実施しているもので、学期ごとに1~3日間の活動といった状況です。防災訓練のときに放水のお手伝いをしたり、生徒の誘導をしたりと部員14名で熱心に取り組んでいます。

学年ごとに特色のあるテーマを設定し「土曜授業」への取り組みも盛んなようですが、具体的にはどのような内容ですか?

松ノ木遺跡
松ノ木遺跡

まず1年生は松ノ木地区の歴史を知るひとつの手がかりとして「縄文文化」について学びます。実は「松ノ木中学校」は古墳時代の歴史を今に伝える遺跡が見つかった場所でもあり、校庭のすぐ隣には復元した住居があります。
「松ノ木遺跡」はいわばこの土地のアイデンティティのようなもので、地域の方を招いて歴史についてのお話をいただいています。

松ノ木遺跡 看板
松ノ木遺跡 看板

2年生になると「環境教育」と「生活数学」という2つのテーマを掲げて、健康や食事について学んだり、日大工学部の先生をお招きして生活の中の数学を楽しみながら学んだりと、身近なテーマで取り組んでいます。
3年生になると数学と英会話を用いて「課題解決学習」に取り組んでいます。1つのクラスを6つのグループに分けて行う英会話もあり、授業で習った英語が“通じた”“わかった”という実感が勉強の動機づけにもなっているようです。

学校周辺の生活環境や子育て環境としての魅力は?

善福寺川
善福寺川

学校周辺には「和田堀公園」や「善福寺川」といった豊かな自然環境がありますし、「大宮八幡宮」や学校のすぐ隣には「松ノ木運動場」もあります。自然に恵まれたおだやかな環境は子育てにも最適な街だと思います。

大宮八幡宮
大宮八幡宮

地域の方々もお互いに見知った方が多く、気持ちの良いあいさつが行き交うのもこの地域ならではだと思います。また1年ほど前に商店街にコンビニができたのですが、いざというときに助かる便利なお店ですね。

杉並区立松ノ木中学校
杉並区立松ノ木中学校

今回、話を聞いた人

杉並区立松ノ木中学校

萩原 正己 校長先生

所在地:東京都杉並区松ノ木1-4-1
電話番号:03-3313-1561
URL:http://www.suginami-school.ed.jp/matunokichu/

※2015(平成27)年2月実施の取材にもとづいた内容です。 記載している情報については、今後変わる場合がございます。

脳科学を取り入れたスパイラル学習で効率的な勉強方法を実践/杉並区立松ノ木中学校 校長 萩原 正己先生
所在地:東京都杉並区松ノ木1-4-1 
電話番号:03-3313-1561
http://www.suginami-school.ed.jp/matunok..