世田谷区立等々力小学校インタビュー

地元の「学校愛」に支えられた小学校で伸び伸びと育つ子どもたち/世田谷区立等々力小学校 校長 秋吉達也先生


等々力は静かで緑の多い高級住宅地として人気が高い。駅から徒歩2分の場所には都内で唯一の渓谷・等々力渓谷があり、住宅化が進んだ今なお斜面から湧水が見えるというのどかな風景が見られる。自由が丘には3駅で4分、二子玉川には2駅3分という便利な立地で、通勤や買い物、子どもの塾通学までが充分にカバーできる恵まれた環境。整然と並んだ宅地と広い歩道、歩行者に道を譲る車のマナーの良さなどにこの地域の質の高い住環境が垣間見える。今回は、等々力小学校の秋吉校長先生に、この地域や学校の魅力について伺った。

さまざまなことから“生きた学び”を得る

校門
校門

―学校の概要を教えてください。

秋吉校長:本校は1956(昭和31)年9月1日に開校しました。当時この地区には小学校はなく、“自分たちの町にも小学校を”という思いで、住民の皆さんが土地を供出し合ってくださりできた学校です。なので地域には「学校を愛する気持ち」「子どもを慈しむ気持ち」が非常に根強く、有難く感じます。2015(平成27)年4月1日現在、全校児童597名、1~2年は各4学級、3~6年は各3学級の合計20学級で運営しております。

―どのようなことに力を入れて教育活動をされていますか?

秋吉校長:教育目標としては「よく考え行動する子ども」「なかよく助けあう子ども」「健康で明るい子ども」を掲げています。また「心に笑顔、学校に花」というキャッチフレーズのもと、人権教育にも力を入れています。その実現のために、「読書が好きな子は95%以上、元気にあいさつする子は100%、健康で体力向上を心がける子は90%以上」という具体的な数値目標も設置しました。

生徒が彩色したベンチ
生徒が彩色したベンチ

相互理解をするためには、まず話を聞くことが重要であるという考えから、「聴く力を高めコミュニケーション能力を高める」ための校内研究も行っています。この研究は世田谷9年教育研究開発校としての取り組みでもあります。

―異学年交流が盛んだというお話も聞きました。

秋吉校長:異学年交流は他の学校でも行っていることとは思いますが、本校は定期的に「給食」「遊び」「掃除」などなるべく多くの時間を、縦割り班である「キッズ班」の活動に割くようにしています。高学年がリーダーシップを発揮し、低学年が憧れを持つといったことだけでなく、生きた学び合いがあると感じています。学校は先生から教えてもらうだけではない、子ども同士が自分たちの学びを習得する場でもある。もちろんその中には葛藤や迷い、悔しい気持ちを持つこともある、それも含めた学びですね。学年が違う子ども同士の交流は、人権教育にもつながると考えて力を入れています。

教育熱心で地域からのサポートも厚い風土

生徒の作品
生徒の作品

―世田谷9年教育の内容について教えてください。

秋吉校長:世田谷区には29中学校があり、その各中学に学区小学校が2~3校あるので、それをまとめて○○学舎と名前をつけて一緒に活動に取り組んでいます。ちなみに本校では、「東深沢中学校」と「東深沢小学校」の3校で「みしまの森学舎」を形成し、学舎独自の教育目標を掲げて連続した9年間の充実した教育を行えるように取り組んでいます。

校門
校門

具体的な活動としては、月一回のあいさつ運動を行っているのですが、その際、年間を通じて数回、可能な時に中学生に来てもらい、あいさつ運動をしていること。合同学習習得確認会議で、小中を通じた学習課題を明らかにして話し合い、改善していること。また体育と英語の中学教諭に来てもらい、授業を行うこと。年1回、中学1年生たちが合唱を披露してくれること等、多角的な取り組みをしています。

―卒業生の進学先について教えてください。

秋吉校長:年によって変動しますので一概には申し上げられませんが、学区の「東深沢中学校」には50%、私立へは47%、その他国公立に3%というのが平均の割合です。教育熱心で意識の高い親御さんが多く、子どもたちも素直で穏やかな児童が多いと感じます。

廊下
廊下

―全国学校ビオトープコンテストで銀賞を受賞されたそうですね。

秋吉校長:校庭の一角にビオトープがあり、環境委員会が中心になって管理しています。5年生の社会の授業で稲作の学習があるのですが、バケツ稲づくりと並行してミニ水田をつくり、池の近くを、より自然に近い環境にしています。また休み時間を利用して、児童がビオトープやその周辺の自然に興味を持てるように、環境クイズや観察を実施しています。里山、とまでは言えない小さなスペースではありますが、都会の中にあっては貴重な場所になっているようですね。

校庭の一角にあるビオトープ
校庭の一角にあるビオトープ

―地域の方々との交流について教えてください。

秋吉校長:先にも申し上げましたが、学校や地域に対する地域の方々の愛情が溢れている街ですので、地域活動も活発です。自治会の防災訓練・納涼大会をはじめ、「玉川神社」のお祭り、盆踊りやもちつき、東深沢コミュニティ主催のウォークラリー、東深沢スポーツ文化クラブ主催のスポーツフェスティバルなど枚挙に暇がありません。

フリールームの看板
フリールームの看板

また世田谷区主催のいかだくだり大会「アドベンチャーin多摩川」では、PTAのお父さんたちによる“おやじの会”がいかだを作り、子どもがそれに乗って多摩川を下るというイベントにも参加しています。こんな風に様々な方たちが子どもを楽しませようと創意工夫をしてくださり、子どもはそれに参加しているうちに自然と地域との交流が生まれるという理想的なサイクルになっていると感じます。

自然豊かで人の輪を大切にする温かな街

等々力渓谷
等々力渓谷

―等々力エリアの魅力について教えてください。

秋吉校長:玉川神社、満願寺、等々力不動などの寺社仏閣が多く立ち並び、落ち着いた雰囲気がある街ですね。また何度も申し上げましたが、地域の方々が人の輪を大切にしている温かい街だと感じます。地域には大木が点在し、ぶどう園やみかん園、畑が広がっている場所もあり、等々力渓谷もある。都心に近く便利な立地ながら、自然が豊かに残っている恵まれた土地ですね。 住宅地を歩いてみると分かりますが、区画整理の時代にきっちりと計画を立てて街を作っているんです。この地区の人たちは非常に先見の明がありしっかりと将来を見据えていらっしゃる、そういう土地柄なのだと思います。

世田谷区立等々力小学校
世田谷区立等々力小学校

世田谷区立
等々力小学校
校長 秋吉達也先生

所在地 :東京都世田谷区等々力7-26-1
TEL:03-3702-2185
URL:http://school.setagaya.ed.jp/toki/
※この情報は2016(平成28)年3月時点のものです。

地元の「学校愛」に支えられた小学校で伸び伸びと育つ子どもたち/世田谷区立等々力小学校 校長 秋吉達也先生
所在地:東京都世田谷区等々力7-26-1 
電話番号:03-3702-2185
http://school.setagaya.ed.jp/toki/