子どもたちが、今を幸せだと感じられる教育を目指して/川口市立十二月田小学校(埼玉県)
2020(令和2)年に創立68年を迎える、埼玉県川口市の伝統校「十二月田小学校」。十二月田(しわすだ)は、十二月に神様の使いとされた狐たちが集まり、杉の葉で田植えの真似をして豊作を願ったという言い伝えに由来する珍しい地名で、この「十二月田小学校」と、お隣の「十二月田中学校」に残されています。現在、900名以上の児童が学ぶ、歴史のある「十二月田小学校」の現況や取り組み、そして学校周辺エリアの魅力について、石井校長にお話をうかがいました。
これからの未来を生き抜く力を身につけさせる教育
――「十二月田小学校」の概要を教えてください。
石井校長:開校は1952(昭和27)年、今年で創立68年を迎える歴史ある小学校です。現在、クラスは28学級、児童数958名の川口市内では2番目に大きな小学校になります。毎年約160~170名の卒業生がいる中で、私立中学へ進学するのは10~20名で、その他の児童は隣の「十二月田中学校」へ進学しています。
石井校長:教育目標は、「進んで学ぶ子・仲良くできる子・たくましい子」、そして目指す学校像は、「家庭・地域とともに 未来を拓く しわすだ笑楽幸(しょうがっこう)」です。これからは、変化の著しい未来に向けて、子どもたちがいろいろな力を身につけながら、仲間と一緒に最適解をつくっていく時代になります。また、毎日子どもたちの笑顔を見る度に、「がんばろう」、そして「楽しさを感じましょう」、ということで作った目標です。「笑楽幸」は、幸せになるのではなく、今やっていることが幸せだと感じられる教育をしましょう、という意味で、当て字で作った言葉です。
――どのような指導方針で、現場の教育を実践されていますか。
石井校長:学校教育で一番大事なのは、やはり授業ですので、教員には、「全員参加、全員満足の授業を目指しましょう」と伝えています。つまり、勉強ができる子やできない子だけではなく、学力中程度の子供にも目をかけ、しっかりサポートをするということです。
石井校長:それから、先生方には、話をし過ぎないように気をつけてもらっています。先生の話が多いと子どもも集中力が切れてしまうので、子どもたちの活動を増やしましょうと。1から10まで全部先生が説明するのではなく、まずは子どもにやらせてみて、うまくいかなくなったら教えてあげるようにする。これからは、試行錯誤、トライ&エラーの時代です。エラーをさせないことも大事ですが、エラーからの方が学ぶことが多いので、温室育ちにならないように、子どもたちには、エラーから立ち上がる強さ、学力を持たせたいと考えています。
――「いじめ」等の対策は、どのように教育されているのでしょうか?
石井校長:川口市では、条例で生徒指導の担当主任とは別に、いじめ対応教員を各学校で1名選出しています。学校生活の日常的な観察の中で、様子のおかしい児童がいたら聞き取りをし、定期的なアンケート調査、保護者からの情報提供調査などを行っています。条例で、「いじめ」は、当事者やその保護者がいじめと認識した場合に「いじめ」と認められると定義されています。「いじめ」には複数の関係者がいるので、個別に対応するのではなく、教員と手分けして、即日、必ず同時に全関係者と面談をし、聞き取りを行います。そして、会議内容を文章化し、指導を入れて、一連の状況を保護者に報告します。その後も3カ月後に生徒指導の会議などで定期的にチェックをし、学校が一方的に進めるのではなく、当事者や保護者の方にもちゃんと確認をしながら、対応にあたっています。
子供たちの新たな面を発見できる多彩な活動や取り組み
――モデル校になったことなどは、ありますか。
石井校長:モデル校はないですが、本年度は、川口市の学校保健優良校、学校歯科保健努力校、川口市の学校応援団優秀学校に制定されました。学校応援団では、ボランティアの方々に学校の授業、家庭科の調理、裁縫、習字、読み聞かせなどに入っていただいて、授業のサポートをしていただいくという取り組みを行っています。特に面白いのが、ママボラという、ママさんボランティアです。音楽をされていた方に来校いただき、学期に2回位の頻度で演奏をしてもらっています。昼休みなどの授業を行っていない時間に行われ、児童の8割くらいは集まります。他校ではあまりない取り組みかと思います。
――地域には、ボランティア活動に熱心な方が多いようですね。
石井校長:昔ながらの伝統で、自分たちの街の子どもを、地域みんなで育てようという気持ちが強いのではないかと思います。保護者の方々や町会の皆さんもそうですし、いろいろな所でそれを感じますね。
――学校として、力を入れている教育活動などについて教えてください。
石井校長:年間行事では、運動会、音楽会、そして校外学習が子どもたちに人気ですね。校外学習は、各学年毎に行く場所を決めて手配して行っています。今年は、初チャレンジで4年生が川越に行きました。川越の地域の方にインタビューをするなど、ただ単に訪れるだけではなく、そこに住む人との交流が直に持てたことがよかったと思います。今は、私たち大人が子供時代に経験したような、買い物に行くとおまけをもらうといった、小売商店の方との駆け引きのような交流がありません。そういった人とのふれ合いを通して、子供たちがいろいろな学びを得られればいいなと思っています。
――特徴的なクラブ活動や行事はありますか。
石井校長:最近、他では少なくなってきている演劇部があることでしょうか。部員は20数名いるのですが、学期で1回ずつ公演があり、7、8割の児童及び保護者の方々も観に来ますね。1学期は「アラジン」、2学期は「君の名は。」の前編を上演しました。舞台の背景にプロジェクターで映像を映したりと、工夫をしながらやっていましたね。これが、当校のような大規模校の良さだと思います。指導教員がたくさんいるのでアイデアを実現しやすいですし、クラブ活動自体も数が多いです。また、こうしたクラブ活動は、教室にいる時とは違う、子どもたちの別の良さを見つけることができる、いい機会だと思います。
石井校長:それから、全学年が参加する音楽会を毎年行っています。今年は、「川口総合文化センターリリア」で行いました。保護者も観に来ますし、子どもたちの日頃の成果を披露できる貴重な機会になっています。
恵まれた子育て環境で、一緒に楽しく子育てを
――「十二月田小学校」周辺エリアの環境(特に教育や子育ての面で)の魅力を教えてください。
石井校長:この地域は、幹線道路も近く、交通のアクセスが良好なので、買い物などをする場所を選べる、便利で暮らしやすい環境だと思います。また、学校から徒歩すぐの場所には「旧田中家住宅」、「南平文化会館」といった文化施設も点在しているので、市内巡りなどにもおすすめの場所です。街中に公園も複数ありますし、少し歩けば「荒川運動公園」など、子どもたちが走り回れる自然を感じる遊び場があるので、子育て環境としてもおすすめの場所だと思います。
――今後、「十二月田小学校」に入学予定の子どもたち、その保護者の方たちにメッセージをお願いします。
石井校長:たくさんのお友達と、やりたいことをやりたいだけ楽しんでもらいたいです。私たち教員としても、規律やルールの中で、子どもたちを育ててあげたいと思っています。そのためにも、トライ&エラーを気兼ねなくできる学校にしていきますので、是非、保護者の方々も安心して、私たちと同じ方向を見て、お子さんを一緒に楽しく育てていきましょう。子供の笑顔と楽しんでいる姿をエネルギーに、新たな創意工夫、改善をして、よりよい学校をつくっていきたいと思います。
十二月田小学校
所在地 :埼玉県川口市朝日1-11-1
電話番号:048-222-4383
URL:http://siwasudasyou.official.jp/
※この情報は2020(令和2)年2月時点のものです。
子どもたちが、今を幸せだと感じられる教育を目指して/川口市立十二月田小学校(埼玉県)
所在地:埼玉県川口市朝日1-11-1
電話番号:048-222-4383
http://siwasudasyou.official.jp/