代表 野上さんインタビュー

誰もが集える子どもが主役の自由な遊び場!/あさかプレーパーク(埼玉県)


「誰もが遊びの主人公」あさかプレーパーク
「誰もが遊びの主人公」あさかプレーパーク

埼玉県朝霞市にある『あさかプレーパーク』は、「子どもが自分の責任で自由にのびのびと遊ぶ場」。未就園児向けの「トカイナカ」も週1回開催し、子どもだけでなく、大人も近隣の人たちも、誰もが集いホッとできる場を開催しています。 自らの子どもが幼い頃に「子どもたちが安心して遊べる場を作りたい」と、母仲間たちと一緒に『あさかプレーパーク』を作った代表の野上さんに、プレーパークの趣旨や朝霞市の魅力について伺いました。

『あさかプレーパーク』代表 野上さん
『あさかプレーパーク』代表 野上さん

「朝霞の森」で開催されるプレーパーク

――『あさかプレーパーク』の概要について教えてください。

野上さん:『あさかプレーパーク』は「子どもが自由にのびのびと遊ぶ場所をつくりたい」という思いで、2004(平成16)年にできた冒険遊び場です。子どもたちの遊びの積み重ねが、生きる喜びや自分への自信、そして他者や自然への思いやりにつながると考えています。失敗やケガを気にするあまり、禁止事項が増えると子どもの「遊び」を妨げてしまいます。ここでは大人も少しのんびり構えて、“お互い様”の気持ちで一緒に楽しんでほしいと思います。

子どもたちは自由な発想で自由に遊ぶ
子どもたちは自由な発想で自由に遊ぶ

野上さん:活動拠点は、東武東上線朝霞駅より徒歩10分ほどの場所にある『朝霞の森』を中心に、近くの川や他の公園に足を運ぶこともあります。プレーパークを開催しているのは毎月5日間、10〜16時(季節によって異なるため、詳細は『あさかプレーパーク』のfacebookやブログでご確認ください)。プレーパークのほかに第1〜4週の毎週金曜日、10〜14時は、主に未就学児と保護者を対象にした「トカイナカ」も開催しています。

基本的に子どもから大人まで、予約も人数制限もなく誰でも遊びに来られます。会場である『朝霞の森』自体が規制を極力なくし、自転車の練習やボール遊びなど、誰もが自由に遊べる広場になっているので、その一角を使ってプレパークを運営している形です。こんな風に見晴らしがよく、子どもが何をしているのか一目瞭然の場所を確保できたのも非常にラッキーでした。

子どもを思う大人たちの心が結実した、自由な遊び場

――「あさかプレーパークの会」を立ち上げたきっかけは?

野上さん:私の子どもがまだ小さい頃、もう20年ほど前ですが、小さい子ども連れの親子は目にするのに、小学生が外で遊ぶ姿をあまり見かけませんでした。安心して親が送り出せる遊び場がないことも、原因だったと思います。

そんな時、あるシンポジウムをきっかけにプレーパークの存在を知り、世田谷区・羽根木のプレーパークを見学に行ったんです。最初は「自由に遊べ」と言われても、なかなかうまく遊べなかった我が子たちも、常連の子どもたちの真似をしたり、プレーリーダーのアドバイスをもらったりして遊びはじめました。4回ほど通った頃に、いつまでも世田谷に通っている訳にもいかない、朝霞でプレーパークを作ろうと動き始めました。

その時、力になってくれたのが、同じ思いを共有していた母親仲間たちと、現在もプレーリーダーをしてくれている“どっくん”こと関戸さん。渋谷区の「はるのおがわプレーパーク」にノウハウを習いながらNPO法人化に向けて始動しました。朝霞市や地域の人たちとも話し合いを重ね、ちょうど広場の活用を考え始めた時期でもあり、みんなが前向きに取り組んでくれました。

広々として見晴らしのいい「朝霞の森」
広々として見晴らしのいい「朝霞の森」

火起こしや煙の流れ方など、火から学ぶことは多くある

――火起こしをして焚き火もするんですね!

野上さん:プレーパークは動き出したものの、どうしても譲れない「火の使用」は交渉に4年ほどかかりました。自分たちの責任で火を使うことは、プレーパークの命のようなもの。火を使い始めてからはスープを作って食べたり、染物をしたり、川遊びの後に暖を取ったり、遊びの幅がグンと広がりました。

ギタリストのおじさんがなんとなく近くで練習したり、通りがかりの人が話しかけて来てくれたりと、火の周りには人が自然に集まります。

火を起こすのは意外と大変なこと、煙は風上から風下に流れること、火の危うさや暖かさを知ること、そして火消しまで責任を持って行うこと。焚き火には、子どもや大人が学ぶべきことがたくさん詰まっています。

火の周りには人が自然に集まる
火の周りには人が自然に集まる

――「トカイナカ」は小さい子どもが遊べるプレーパークということですが。

野上さん:はい。「トカイナカ」は主に未就学児の親子を対象にしたプレーパークで、申し込み不要、出入り自由、過ごし方も自由なゆるい遊び場です。遊びに来た人は名前を書いたテープをつけて、倉庫から遊び道具をみんなで出します。そして火起こしの準備をして、その後は自由に遊びます。13時40分くらいには片付けを始めて、いちおう14時には一度終わりにしますが、まだまだ遊びたい子はそのまま残って遊べます。 第2金曜日は材料を持ち寄ってお昼ご飯を作るスペシャルデー。10時40分頃から調理を始めて、作り終わったらみんなでいただきます。

豆まきや運動会、お母さん同士が情報交換をする座談会なども企画していますが、子どもの自由な遊びを大事にしています。この場所で横のつながりを作って、悩みを共有したり愚痴を言い合ったり、預け合ったり、子育て中のお母さんが少しでも楽になるといいなと思います。

木登りも「危ない」と禁止せずに見守る
木登りも「危ない」と禁止せずに見守る

プレーパークの環境を整えるプロ「プレーリーダー」

――プレーリーダーとはどんな存在なのでしょうか?

野上さん:プレーリーダーは「子どもが生き生き遊ぶ環境を作る専門職」で、子どもと一緒に遊ぶことはもちろん、遊びの提案をしたり、子どもの興味や遊び心を引き出してくれる存在です。遊び場の整備や、ケガやトラブルの対応もしてくれますし、時には子どもの相談役であり、親が愚痴をこぼす相手であり、地域とプレーパークをつなぐ存在であり、彼らの場づくりの力はプレーパークにとって非常に重要です。

――プレーパークや「トカイナカ」では、どんな遊びができますか?

野上さん:何でもできますよ(笑)。決まった遊びはないので、好きな遊びを好きなだけ。みんなで遊んでもいいし、一人でぼーっとしてもいいのです。木のぼりや穴掘り、泥遊び、水遊び、火遊び、鬼ごっこ。時には廃材や竹などを、金槌やのこぎりを使って工作することもあります。

木の上に秘密基地を作ったり、ハンモックを吊るしてぶら下がったり、モンキーロープを渡したり、大縄跳びをしたり、名前がつかないような遊びもたくさんしています。地域の方から食材の寄付をいただき、焚き火の火を使って子どもたちが料理をすることもあります。

餅つきなど季節の行事も行いますが、極力プログラムに頼りすぎず、自由な遊びができるようにしたいと考えています。このプレーパークでの遊びを通じて、子どもが本来持っている遊びの力を取り戻してほしいですね。

何を作ろうかな?
何を作ろうかな?

「催す側」と「催される側」に分かれず、全員が一緒に楽しむ

――子どもや保護者との関わりで、心がけていらっしゃることはありますか?

野上さん:私は田舎育ちで、林の中を走り回ったり、川で魚を獲って遊んだり、ぼーっと雲を眺めたりして幼少時代を過ごしました。少しでもそんな時間を子どもたちに過ごしてほしいと、このプレーパークを立ち上げたので、大人があまり手出しや口出しせず、子どもの遊びの邪魔をしたくないという気持ちが強いですね。 また「トカイナカ」は、プレーパークに遊びに来てくれたお母さんたちから自然発生的に生まれた自主事業です。子どもの遊び場ではありますが、お母さんたちがほっとできる場であり、子育ての「こうあるべき」がない親子でのんびりできる場であってほしいと思っています。

またプレーパークも「トカイナカ」も、少し多めの人数で公園に遊びに来ている感覚でいてほしいので、「催す側」と「催される側」に分かれずに、遊びの準備も片付けも人任せにせず、全てひっくるめて全員で一緒に楽しんでほしいですね。

準備も片付けもみんなで一緒に楽しむ
準備も片付けもみんなで一緒に楽しむ

――今後、取り組みたい活動や目標などはありますか?

野上さん:現在、『あさかの森プレーパーク』は朝霞市からの委託事業として年間63日ほど、「トカイナカ」は自主事業として年間48日ほど活動をしています。プレーパークは第2週目の5日間、トカイナカは月4回金曜日の活動をしていますが、今後はもっと開催日を増やして、最終的には常設のプレーパークにしたいと思っています。

子どもたちは高学年になると塾や習い事で忙しくなります。週末なら課外活動の隙間に遊びに来られるので、「毎週末開催してほしい」と子どもたちからのリクエストが多いんです。やはり常設にして、「いつ行っても遊べる所」「いつでもプレーリーダーに会える場所」という安心感のある場を作りたいですね。

朝霞市は子育てファミリーも楽しめる街

――最後に、朝霞の街の魅力を教えてください。

野上さん:朝霞市は市外からの転入者も多い街ですし、人口も右肩上がりに増えていると思います。少子化が騒がれて久しいですが、朝霞は世の中の動きと連動していないというか、ちょっと反骨精神があるというか…面白い人が多い街ですね。子どもの数も増えているようで、一番近くの小学校も児童数が1,000人を超えていて、街としてもかなり賑やかだと感じます。だからこそ、プレーパークのように子どもたちが自由に遊べる場が必要だと思います。

プレーパークを作ろうと動いていた時にも感じましたが、朝霞市もこの近隣の方々も考え方が柔軟で、新しいことに挑戦するのに抵抗がない。私たちの話をよく聞いてくれましたし、色々と前向きに取り組んでくださいました。ですから新たに転入していらっしゃる方や子育て中のファミリーにも優しくて、楽しめる街だと思います。近くに遊びに来た時は、ぜひ『あさかプレーパーク』に遊びに来てほしいですね!

まとめ

いかがでしたでしょうか。“誰もが遊びの主人公”と書かれた倉庫から、『あさかプレーパーク』の子どもたちにかける自由な思いが伝わってくるようです。昨今では焚火そのものが趣味の大人や、延々と焚火の様子だけを放送する番組なども出てくるぐらい、“自然と焚火”が与えてくれる癒しや冒険心が見直されています。朝霞市は埼玉県内でも緑地や自然が多く、外遊びには最適です。テレビやスマホゲームに夢中になっている我が子にお悩みのご家庭は、ぜひ一度自然に目を向けてくれるような体験をさせてみてはいかがでしょうか。

NPO法人あさかプレーパークの会

HP:http://app.45web.net/
facebook:https://www.facebook.com/asakapp/
代表 野上さん
開催場所:埼玉県朝霞市大字膝折2-34(朝霞の森公園内)
※この情報は2020(令和2)年3月時点のものです。

誰もが集える子どもが主役の自由な遊び場!/あさかプレーパーク(埼玉県)
所在地:埼玉県朝霞市大字膝折2-34 (朝霞の森公園内)
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