雑談やふれあいから、“生の声”を大事にする/「南鳩ヶ谷地域子育て支援センター」小池様・菊地様
さいたま高速鉄道「南鳩ヶ谷」の駅から徒歩5分ほどの場所にある「南鳩ヶ谷地域子育て支援センター」は、「南鳩ヶ谷保育所」と共同の建物で、階段を上がった2階の一部がそれにあたる。南鳩ヶ谷をはじめ、広範囲から小さな子どもを持つ保護者が集まる、親子のつどいの場だ。
この「南鳩ヶ谷地域子育て支援センター」を受託運営しているのが、埼玉県内で幅広く子育て支援事業を展開する「株式会社コマーム」の皆さんだ。保育関連の豊富な知識と、プロ意識の高いスタッフさん揃いで、訪れる人々を笑顔で迎え入れながら、ちょっとした変化にも目を配り、子どもと保護者の心に寄り添っている。
取材に訪れたのは、2020(令和2)年の6月。リモート会議ソフト「Zoom」を使用して、センターが初回の親御さんをはじめ、よくご利用されている親御さんたちが親子一緒に顔を合わせてお話ができる”つどいの広場”を開いたり、誕生会の動画撮りや配信を行ったりと、コロナの影響が残る中でも対応は多岐に渡っている。今回は「南鳩ヶ谷地域子育て支援センター」のチーフを務める小池葉子さんを中心に、サブリーダーの菊地歩未さんにも一部加わっていただき、センターの特徴と南鳩ヶ谷の魅力について幅広くお話を聞いた。
――まず、「南鳩ヶ谷地域子育て支援センター」の概要について教えてください。
小池さん:この「南鳩ヶ谷地域子育て支援センターは、0歳から3歳までのお子さんをお持ちの親御さんが、親子で一緒に遊んだり、あるいは、親御さん同士が気軽に交流したり、お友達を作ることができる、そういった場所の提供をしております。
また、つねに職員がおりますので、子育て相談もできますし、転勤で来られた方に、子どもの遊び場ですとか、付近の病院などをご紹介できるような、子育ての情報提供についてもおこなっております。
そして、開所時間については、平日は月曜から金曜まで、午前9時から正午、お昼休みを挟んで、午後1時から午後4時まで、毎日開館しています。土日はお休みです。
――鳩ヶ谷エリアには、他の子育て支援施設などはありますか。
小池さん:埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線「鳩ヶ谷」駅地下に「子育てひろばポッポ♡」という子育て支援センターがあります。それから、鳩ヶ谷ではないのですが、JR東日本「川口」駅前の「リリア」の2階にも「子育てサポートプラザ」があって、このあたりが、南鳩ヶ谷の方が使いやすい施設になると思います。
――利用される方は、どの程度のエリア範囲からいらっしゃいますか。
小池さん:もちろん南鳩ヶ谷の方が一番多いんですが、それ以外にも青木、朝日、鳩ヶ谷本町、緑町の方も多いです。
菊地さん:ここは支援センターの中では駅から近くて、「南鳩ヶ谷」駅から歩いて5分くらいで着けるので、地下鉄をご利用いただいている方も、多くいらっしゃいますね。
――ふだんの遊びの様子や、定期的に行われる行事や講座などについて教えてください。
小池さん:定期的にやっているものだと、週に1回の園庭開放が一番の特徴だと思います。ここは保育所に併設された施設なので、それを生かして、毎週水曜日の午前中に、保育園の園庭を1時間貸切にさせていただいています。あとは、親子で楽しめる行事として、親子工作、誕生会、身体測定がそれぞれ月に1回ありますし、「ピクニックの日」といって、昼食を持って皆さんで交流をして食べましょう、ということもやっています。
講座については、月に1回、講師の先生を招いて様々な内容で実施しており、たとえば、以前通っていたお母さまが講師として来られたり、地域で活躍をされているベビーマッサージの先生が来られたり、という感じで、元利用者の方や、地域で活動されている女性の方が講師をされることが多いです。毎回とても好評をいただいています。
――「スマイルタイム」というものを2020(令和2)年の春にスタートされたそうですね。どんな時間でしょうか?
小池さん:今回、新型コロナウィルスの影響で長期間休館したのをきっかけに始めたもので、ここに遊びに来られないお母さま方に、会議ソフトの「Zoom」を介して、いろんな雑談をしたり、顔を合わせてお話をして、笑顔の時間を過ごしていただきたいな、ということで始めました。毎週木曜日にやっていて、ちょうど今日もこの後実施しますので、ぜひ見て行ってください。
――この「スマイルタイム」にも何かテーマが設けられているのでしょうか?
小池さん:テーマは毎回終わるときに、「来週はどんな話題にしたいですか?」って聞いていて、たとえば、「寝つきが悪いんですが、どうやったらよく寝られるようになりますか?」とか、「イライラするときどうしていますか?」といった感じで、お母さんの声を聞いて決めていますね。
――ほかにも、ユニークな取り組みなどがあれば教えてください。
菊地さん:毎年夏に水遊びをやっていまして、去年までは家庭用のビニールプールを使っていたんですけれども、今年はコロナウイルスの問題もあって、より衛生的にできたらということで、「たらい」を使って水遊びをやってみようと思っています。
あと、毎日午前と午後がそれぞれ終わる時間に、「帰りの会」を行っているんですが、その時には手遊びをしたり、紙芝居や絵本などを、保護者の方も一緒に参加していただきながら、楽しんでいます。こちらも、楽しみにしてくださっている方が多いですね。
――手作り感のある誕生会が、とっても評判だと聞きました。
小池さん:そうなんです。誕生日会はすごいんですよ!音響も、小道具も、全部、職員の手作りでやっています。だから押し入れの中には12ヶ月分の“出し物道具”がいっぱい詰まっているんですけれど、パネルシアターもあれば、人形劇もあり、ペープサートもありって感じです。盛りだくさんの内容で毎月やっています!
練習もかなり本格的にやっているんですよ。練習の時に動画を撮影して、「お客さんからどう見えるんだろう」って研究をしたり。そうやって、12ヶ月、毎回違うお話を、手作り感いっぱいの舞台でやっていますので、ぜひ見に来てください!
――誕生会には誕生月以外の親子も参加できるのでしょうか?
小池さん:もちろん。お子さんが誕生月でなくても、誕生会のお楽しみとしてミニ劇場を職員からプレゼントさせて頂いてます。お子さまも親御さんも「今月の劇はどんなお話かな?」と楽しみにしていただけておりますので、嬉しい限りです。
――どんなカードをもらえるのでしょうか?
小池さん:毎年デザインを変えて、必ずパパやママからのメッセージを書けるところを作るようにしています。カードは、お子さんが喜んでもらえるように可愛らしく作っているのですが、同時にお母様にも喜んでいただきたくて作っているんです。スタッフの思いとして誕生日会を迎えられるのは、妊娠、出産を経てお子さんのことを一生懸命に考えてお育てになっているから。頑張っているご自分をオリジナルカードを見てほめてあげてほしいと思っています。
――劇をこれだけ頑張っている理由は何なのでしょうか?
小池さん:やっぱり、ふだん一緒に遊んだり、ふれあっている職員が、声を変えて人形劇をやるっていうのが、「温かさ」とか、生で見ること聞くことの大切さというものを、感じさせてくれるものだと思っているので、「人の生の息吹」とでも言うんでしょうか、そういうものに触れてもらいたいな、と思ってやっています。
――子どもたちが過ごす大部屋のほかに、「もぐもぐの部屋」という個室があるそうですね。こちらはどんな部屋ですか?
小池さん:これはもともと個室の授乳室だった部屋で、たとえば下のお子さんの授乳中に、上のお子さんにこの個室を使って補食程度のものを食べられるように、ということで使っていただいています。
今ではお母さんたちもけっこう上手に利用されていて、「保育園に入れたいから、日中の授乳をやめたい」というお母さんが、毎日同じ時間にここで補食をあげて、授乳をしないで済むような過ごし方の習慣付けをしていたりします。実際にそれで成功した方も多いんですよ。
――来館者の方々と接する時に、スタッフの皆さんが大切にしていることを教えてください。
小池さん:「雑談」ですね。雑談をしているところから、子育て相談になっていくケースが非常に多いです。もちろん、最初から「先生聞いてください」っていう方もいらっしゃるんですけれど、雑談をしているところから、「先生、ほんとはね」みたいな話になっていけばいいな、と思っているので、雑談の中で、お母さんが本当に言いたいことを言えるような雰囲気づくりを大事にしています。
――鳩ヶ谷地域の子育て環境の魅力と、おすすめのスポットについて教えてください。
小池さん:鳩ヶ谷の魅力は、やっぱり、都心へのアクセスの良さがまずひとつですし、バスの本数も、「鳩ヶ谷」駅近辺はすごく多いので、市内の移動も便利だと思います。その割には意外と物件の値段が安いので、おうちを買われる方が多いみたいで。川口市は「本当に住みやすい街大賞2020」で1位を獲得しましたし、センターに来るみなさんもよく、「川口は住みやすいですね」って言ってくださいます。
公園が多いのも魅力ですね。「三ツ和公園」とか「朝日中央公園」あたりは、ここに来る皆さんもかなり利用されていると思いますし、「朝日中央公園」には噴水が出ているので、夏はみんな、センターに一度集合して、「水が出たから行こう」って、公園に出かけて行きます。
そんな街なんですけれど、街道沿いなので古い街並みもけっこう残っているし、「郷土資料館」とか、「御成坂公園」にあるからくり時計とか、そういう歴史を感じさせるものや、下町情緒があって、すごくいい地域だなあ、と思っています。
――学校など、教育に関する環境はいかがでしょうか。
小池さん:教育環境はいいと思いますよ。2018(平成30)年に「川口市立高校」が開校したんですけれど、今度、2021(令和3)年にはその付属中学校が開校する予定なので、「川口初の公立中高一貫校ができる」ってことで、お母さんたちはかなり注目されていますね。「鳩ヶ谷」駅の辺りには老舗の塾も多いですし、教育に熱心な方が多い地域なのかな、という印象です。
あと、地元の「鳩ヶ谷中学校」については、毎年、職業体験で何人かの生徒さんに来ていただいているんですけれど、素朴で優しい、いい生徒さんたちばかりです。先生たちもとっても熱心で、いい教育をされているんだなあ、と思います。
――地元の「鳩ヶ谷小学校」については、どのような印象でしょうか。
小池さん:「鳩ヶ谷小学校」はこの辺りで一番古い学校なので、伝統がある学校だし、雰囲気も落ち着いていると思います。ほかにも、この近くには「中居小学校」、「南鳩ヶ谷小学校」の子も多いんですけれど、どの小学校も同じように素朴な感じで、優しい子が多いと思います。
ちなみに、鳩ヶ谷小、里小、桜町小については、私達の会社の「コマーム」が放課後児童クラブの運営をしていまして、鳩ヶ谷小などは特に、別棟でとても立派な児童クラブの部屋があって、学校もすごく協力的で、体育館をお借りして遊んだりしていて、子どもたちも放課後を楽しく過ごしています。
――川口市ならではの子育て支援制度や施設があれば教えてください。
小池さん:今年2020(令和2)年の4月から、「鳩ヶ谷庁舎」の別棟の中に小児専門のこども夜間救急診療所ができましたから、子育て中の方にとって、より安心できる環境ができたのかな、と思います。平日は午後7時から午後11時、土・日・祝日は、午後5時から午後10時までの間、診療してもらえるそうです。
あと、これも今年の4月に、お隣の青木地区に「子ども発達相談センター」という施設ができまして、相談に乗って頂けたり、センターにも年に2回巡回発達相談に職員の方にお越しいただいてお子さんを遊ばせながら、お子さんの発達相談ができ、子育てのアドバイスなどもして頂ける、という体制ができましたので、そういった方も安心できるのかなと思います。
――親子で参加できる地域のイベントやお祭りについて、おすすめなどありますか。
小池さん:この辺りでは、日光御成道まつりや、「氷川神社」の夏祭りが大きなお祭りだと思います。特に「氷川神社」のお祭りは人気で、この辺りの方は小さなお子さんを連れて、みんなで楽しんでいますね。うちではないですけれど、近くの鳩ヶ谷こども館のハンドベル部隊は、「鳩ヶ谷」駅の夜祭に参加しています。
秋には「川口市市産品フェア」というイベントもあって、これは地元の産業について、市民の方にもっと知ってもらおう、という地域振興のイベントなんですけれど、会場が「SKIPシティ」なので、この辺りの方も行きやすいと思います。また、冬の「氷川神社」のおかめ市は師走の風物詩となっています。
――鳩ヶ谷エリアの魅力について教えてください。
小池さん:交通の便もそうですし、子育てがしやすい街ということもそうですし、公園も多いし、スーパーもいろいろあって選べるし、ホームセンターや家電屋さんもあるし、いろいろ便利で魅力的・・・なので、何か一つをというのは難しいですね。それだけバランスがよいエリアです!
――では、追加で子育てに関して、一言お願いします!
小池さん:さっきお話したことにプラスしてなのですが、鳩ヶ谷エリアでは、助産師さんがいらっしゃいます。「鳩ヶ谷助産所」というところなんですが、ここではもちろん出産も出来るのですが、授乳が終わった方がお子さん連れでもマッサージなど施して頂けるようですので地域のママたちから大変頼りにされていらっしゃいます。最近は「鳩ヶ谷」駅のところに医療モールができて、そこもすごく評判がいいですね。あとはもちろん、この支援センターもありますし、今年からは「鳩ヶ谷庁舎」でこども夜間救急診療も始まりましたし、今までにも増して、子育てを安心してできる街になってきていると思います。
――鳩ヶ谷エリアでおすすめの場所があれば教えてください。
小池さん:これもさっき沢山話しちゃったんですが、いろんな公園があって、たとえば「三ツ和公園」なんかは、お花見の時期にもすごくきれいで、地元の方のお花見スポットになっています。それ以外の時期にも、町内会で様々な行事をやっていますし、そのほかの公園にも、それぞれいろんな魅力があると思います。あとは、川沿いですね。特に最近はコロナ禍の関係で、新芝川沿いのサイクリングロードを、たくさんの方がマラソンをしたり、歩いたりしていています。そういった場所が身近あるのもいいですよね。
もうひとつ忘れちゃいけないのが、「八幡木中学校」の隣にある「生活介護 きじばと」さんの“手作りせっけん”です。これが、すごく汚れがよく落ちるんですよ。泥汚れに強いですし、手も荒れにくいのでセンターでも使っています。「鳩ヶ谷庁舎」でも売っていますよ。
南鳩ヶ谷地域子育て支援センター
チーフ 小池葉子さん
サブリーダー 菊地歩未さん
所在地:埼玉県川口市南鳩ヶ谷6-6-18
電話番号:048-283-7178
URL:https://www.city.kawaguchi.lg.jp/kosodate_gakkou/kosodatehenoshien_guidebook/2/12265.html
※この情報は2020(令和2)年6月時点のものです。
雑談やふれあいから、“生の声”を大事にする/「南鳩ヶ谷地域子育て支援センター」小池様・菊地様
所在地:埼玉県川口市南鳩ヶ谷6-6-18 川口市立南鳩ヶ谷保育所2階,一部分
電話番号:048-283-7178
営業時間:9:00~12:00、13:00~16:00
休館日:土・日曜日、休日、年末年始(12月29日〜1月3日)
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/kosodat..
https://twitter.com/minami_hatoko