生徒主体のフレキシブルな環境で、国際基準の教育を実践/アオバジャパン・インターナショナルスクール 文京キャンパス(東京都)
国際バカロレア(IB)の認定校として、幼稚部から高等部まで一貫した教育体制を整えている「アオバジャパン・インターナショナルスクール」。1976(昭和51)年の設立より40余年の歴史があり、現在は目黒・練馬区光が丘・文京キャンパスの3拠点で独自の教育活動を実践している。 グローバル社会で活躍する人材の育成が求められる日本においても、国際バカロレアの教育プログラムやインターナショナルスクールに学ぶことは多く、近年ますます関心が高まっている。
今回は2022(令和4)年1月に文京区本駒込に開校した「文京キャンパス」を訪ね、Damian Rentoule(ダミアン・レンチュール)校長と、入学課の丹羽朱紀さん、マーケティング課の瀧本清香さんにお話を伺い、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」の教育や文京キャンパスの特色について伺った。
1976(昭和51)年設立。幼稚部から高等部まで教育を行うインターナショナルスクール
――まずは、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」の学校概要をご紹介ください。
ダミアン校長:「アオバジャパン・インターナショナルスクール」は1976(昭和51)年に設立され、現在は目黒区と練馬区光が丘、そして2022(令和4)年1月に新たにこちらの「文京キャンパス」を開設しました。幼稚部から合わせると学校規模はおよそ700名で、「文京キャンパス」には現在90名の高等部生徒が在籍しています。
「目黒キャンパス」と「光が丘キャンパス」に幼稚部があり、幼児教育に合わせた教育環境が整っています。幼稚部を卒業した子どもたちは「光が丘キャンパス」の初等部、中等部へと進学します。これまでは高等部の生徒たちも「光が丘キャンパス」で一緒に生活していましたが、高等部の教育に特化した「文京キャンパス」に高等部を移転・開設したことで、10、11、12年生(日本の高校1~3年生にあたる)は新たな環境で学校生活を送ることになりました。
国際基準、独自カリキュラムで、一人ひとりに合った教育プログラムを継続して提供
――「アオバジャパン・インターナショナルスクール」の教育理念、教育プログラムの特色を教えてください。
ダミアン校長:まず、「インターナショナルスクールとはどういうところですか?」という質問をいただくことがありますが、お話を聞くと勘違いをされている部分もあるように思います。
例えば、外国から日本に来たお子さんのためだけの学校というイメージを持っている方が多くいますが、本校では約半数が日本人のお子さんです。
それは、アオバが、真に国際的な教育環境とは、外国籍であるということではなく、国籍や宗教に関係なく、グローバルな視野をもち、お互いの違いを認め、高め合うことができるマインドを重視したダイバーシティーな教育環境を子供たちに提供することを大切にしているからです。
アオバの子供たちは日本を含め、世界35カ国以上の国と地域から集まり、帰国子女生も通うなど様々なバックグラウンドを持つ子供たちが一緒に生活をしています。
ダミアン校長:インターナショナルスクールにおいて大事なのは、さまざまなバックグラウンドを持つ子どもたちにとって、一人ひとりに合った教育プログラムを継続的に提供できているかという点で、本校は国際バカロレア(IB)の認定校として幼稚部から高等部まで一貫した教育活動を実践しています。「国際バカロレア」は世界共通の教育プログラムで、現在160の国や地域の5,500校もの学校で採用されています。
また、本校には独自に開発した「グローバルリーダーシップディプロマ(GLD)」というカリキュラムがあり、11年生、つまり高校2年生のときに、国際バカロレアの「ディプロマプログラム(IBDP)」かアオバオリジナルの「グローバルリーダーシップディプロマ(GLD)」のいずれかを選べるようになっています。
どちらのプログラムも国際機関によって認定されているものですので、卒業すれば日本の高校卒業認定を取得できますし、日本の大学でも世界の大学でもどちらでも受験することが可能です。
高等教育に特化した環境が整う「文京キャンパス」をオープン。ICT重視の造りが特徴
――次に、2022(令和4)年1月にオープンした「文京キャンパス」についてご紹介ください。
ダミアン校長:まず「文京キャンパス」を開設した理由ですが、端的に言ってしまうと「光が丘キャンパス」の人数が増えてキャパシティがいっぱいになったことが理由のひとつです。また将来こういう学校にしていきたい、というビジョンに沿って学校経営を進めていく中で、理想的な教育環境を整えるためにも十分なスペースが必要だと考えました。
丹羽さん:「文京キャンパス」はJR「駒込」駅から徒歩4分、「巣鴨」駅から徒歩10分の場所で、地下2階・地上3階の建物で、ICTを重視した造りが特徴です。全館wifi環境も整っていますので、生徒たちは教室に限らずロビーやカフェテリアなどどこでも勉強することができます。
本校の生徒たちは入学時に一人1台「MacBook」を持つようになるのですが、課題の提出や、学習に必要な調べ物などもすべてオンラインで行っています。 また教室もご覧いただくとお気づきになるかと思いますが、黒板に向かって規則的に机が並ぶような形ではありません。どの教室もグループワークがしやすいような仕様になっていて、決められた場所に同じ生徒がずっと座っているということは無いんです。
また、今も1階のロビーエリアに生徒が数名いてPCを開いていますが、実は授業中なんです。PCさえあればどこでも勉強できるようになっています。
キャンパス内には他にもプレゼンテーションルームやシアタールーム、ミュージックスタジオなど充実した設備が整っています。また2階のVRルームにはVRを体験できるゴーグルがあり、例えばエベレストの山頂の気候を調べる時に「Google Earth」につないで山頂の様子を見てみたり、人体の働きについて学ぶときにVRで心臓の動きを見たりしています。
生徒主体で進める学び。失敗を恐れない行動力と革新力、リーダーシップが身に付く
――「文京キャンパス」の開校によって貴校の教育に対する関心がさらに高まっているようですが、教育内容や特色について詳しく教えていただけますでしょうか?
ダミアン校長:ひとつはフレキシビリティ、柔軟性ですね。先ほど、11年生になるときに国際バカロレアの「ディプロマプログラム(IBDP)」かアオバオリジナルの「グローバルリーダーシップディプロマ(GLD)」のいずれかを選ぶとお話ししましたが、ディプロマの内容に合わない生徒にとっても、自分の興味のあることを深く勉強できるフレキシブルな教育プログラムを整えています。
また、PCがあればどこでも勉強できる、というのもフレキシビリティのひとつでしょう。アオバはICTを強みにしているため、10年生は週に2日、希望者は登校せずに自宅で勉強しても良いことにしています。これを「ブレンデッドラーニング」と言いますが、フェイスtoフェイスの方が良い生徒と、例えば調べ学習などひとりで黙々と勉強した方が良い子もいるため、生徒中心のフレキシブルな教育を実践しています。
「国際バカロレア(IB)」にも生徒が中心になって学ぶことが大事だとありますが、本校においても「スチューデントエージェンシー」、つまり「生徒の主体性ありき」で学習を進めています。一般的な教育はカリキュラムありきで生徒がそれに従って学ぶと言う構図ですが、アオバでは生徒がどう学んでいくかという点を重視しています。
瀧本さん:例えば、アオバでは幼少期の頃から「カリキュラムに沿ってこれを学びなさい」と先生から言われたことだけを勉強するのではなく、まずはそのカリキュラムテーマに沿って、生徒に「何について学びたいですか?」と問いかけるところから授業が始まります。
生徒たちが何を知りたいか、どんなことを学びたいか、興味関心や意見を拾い上げてから授業が走っていきます。教員は教えるというよりも、生徒の学びたいことをサポートする導き手の役割が強いです。これについて知るためにはまずはこっちを調べてみてはどうかな?といったように教員は学びのファシリテーターとなり、子どもたちは自分たちの頭で考え、行動することが求められる探究学習の中で、リサーチ、グループディスカッション、プレゼンなどを繰り返しながら、数学や国語、社会など教科横断的な知識を使って学んでいきます。
生徒たちにとって、自分たちの興味関心のあることを学んでいるということ、また学んでいる理由や意味を十分に理解した上で学習しているということが、アオバの教育の最大の特徴だと思います。 昔ながらの教育のように、先生が黒板に書いたことをテストのために覚えるという勉強スタイルとは全く異なります。
ダミアン校長:もうひとつ特徴的なのは、「アオバインクワイアリーサイクル」です。
“インクワイアリー(inquiry)”というのは探究という意味ですが、本校では、まず何かを新しく学び始めるとき(Learning readiness)、自分たちは何に興味があって、それを知るためにはどんなことを知る必要があるのか(Engaging in ideas & information)、また深く掘り下げたり様々な知識を結びつけたりすることによって(Digging deeper & consolidating)、最終的に自分たちの答えにたどり着く(Applying new knowledge)ということを常に繰り返しています。これは、幼稚部から高等部まで共通のプロセスです。
ここで大切なのは、最終理解に到達するまでには色々な過程があるため、「道はひとつではない」ということをメッセージとして伝えることです。何を勉強したかよりどのように勉強したか、コンテンツじゃなくてプロセスが大事だと伝えています。このような勉強の仕方によって生徒のクオリティ、つまり将来どういう人になって欲しいかという生徒像につながり、本校の教育のコアバリュー(核となる価値観)として現れてきます。
瀧本さん:アオバでは5つのコアバリューを教育理念として掲げており、アオバで学ぶことで以下にあげる知識と能力を持つ人材になって欲しいと考えています。
・Global Leaders(グローバルリーダーになれる人)
・Entrepreneurs and Innovators(起業家精神を持ち、イノベーションを起こせる人)
・Effective Communicators(効果的なコミュニケーションができる人)
・Wise Risk Takers(賢明な考えに挑戦ができる人)
・Effective Problem Solvers(効果的な問題解決ができる人)
ダミアン校長:簡単に説明すると、ひとつはグローバルに活躍できる「リーダーシップ」がある人になること。大切なのは「アクション」、行動すること。 もうひとつは「イノベーション」。英語だとビジネス的な意味合いの言葉ですが、日本語で言うと、「クリエイティブ」とか「起業家精神を持つ」ということですね。
またコミュニケーションがとれることもとても大事ですね。国際バカロレア(IB)では少なくとも2つの言語を勉強しますが、人前で発表することや、授業の中でグループワークを行うことがよくあり、自分から喋れるようになるとコミュニケーションもうまくいくと思います。
丹羽さん:次の「リスクテイカー」は日本語に訳すのが難しいのですが、「失敗を恐れずに挑戦できる」というような意味があります。多くの人は失敗しないようにというメンタリティで行動する人が多いですが、本校では失敗しても良いからやることによって何かが得られるという価値観があります。
瀧本さん:そうですね、先ほどの「アオバインクワイアリーサイクル」もトライアンドエラーを繰り返すようなラーニングサイクルになっていることから、アオバの生徒たちは失敗することは恐れることじゃない、失敗することで新たに学び得られることがある」という実感を授業の中で体感しています。このような価値観を大切にして勉強することで、アオバの子どもたちは、社会に出た後も自分で考え、行動し、挑戦し続けていけるような人に育っていってくれていると思います。
新旧が共存し、教育にもふさわしい落ち着いた雰囲気が、本駒込の魅力。
――「文京キャンパス」が建つ本駒込周辺の地域や環境の魅力について教えてください。
ダミアン校長:実は私が初めて東京に来た際に、1週間ほど駒込のホテルに滞在したことがあるのですが、その時の印象がとても良かったのを覚えています。近くにある「六義園」もとても素晴らしくて、街の雰囲気も落ち着いていて良い場所だと思いました。 近隣にはレストランなどもあって、滞在中は美味しいものを食べて過ごしたことが良い思い出です。
丹羽さん:好きなところがいっぱいあります。ひとつは「駒込」駅の改札を出て橋を渡るときに、JRの列車が橋の上から見えることですね。電車好きの私にとってはスペシャルな光景です。
さらに近代的なマンションやお店がある一方で、昭和の面影を感じられるような懐かしい建物もあって、新旧がミックスされている雰囲気がとても好きです。「東京」と言うと高層ビルが建ち並んでいるイメージですが、このエリアは駅から少し離れると高い建物がほとんどありません。
また、近くに「六義園」があるように、歴史のある土地に住んでいるというプライドを持っている方が多いように感じられ、古き良きものを大事にする良い街だなと感じます。以前、京都に住んでいたこともあるのですが、町の人たちが古いものと一緒に共存していこうとするマインドが自然と身についているような同じ雰囲気を感じます。
瀧本さん:少し歩くと「旧古河庭園」もあって、洋館の佇まいやバラ園も素敵ですよね。「六義園」や「旧古河庭園」のような素敵な場所が身近なところにあるのは恵まれた環境だなと思います。
丹羽さん:渋谷のように全部が新しい街というのももちろん良いですが、駒込のような街が東京にあるとホッとしますね。
瀧本さん:ティーンエイジャーにとっては渋谷のような街に遊びに行きたいのはもちろんわかりますが、勉強するのには駒込のような落ち着いたところで、ゆとりを持って育って行ってくれると良いなと思います。教育にはとっても良い環境だと思います。周辺には緑も多くて、校名にもふさわしい素敵な場所だと思います。
アオバジャパン・インターナショナルスクール 文京キャンパス
ダミアン・レンチュール先生(校長)
マーケティング オフィサー 瀧本 清香さん(右)
入学課 丹羽 朱紀さん(左)
所在地:東京都文京区本駒込6-18-23
電話番号:03-4560-3422
URL:https://www.japaninternationalschool.com/ja/bunkyo-campus/
※この情報は2022(令和4)年9 月時点のものです。
生徒主体のフレキシブルな環境で、国際基準の教育を実践/アオバジャパン・インターナショナルスクール 文京キャンパス(東京都)
所在地:東京都文京区本駒込6-18-23
電話番号:03-4560-3422
https://www.japaninternationalschool.com..