全国的にも高い学力を持つ小中一貫校 つくば市立竹園学園竹園東中学校 岡野和夫先生

つくば市立竹園学園竹園東中学校
校長 岡野和夫 先生

全国的にも高い学力を持つ
小中一貫校竹園学園「つくば市立竹園東中学校」

つくばの中心市街地の東側、「茨城県立竹園高等学校」、「つくば市立竹園東小学校」など公立学校が集まる文教エリアに位置している「つくば市立竹園東中学校」は、つくば市内の他公立校と同様に小中一貫の教育を行っており、かつ、全国的にも注目されるほどの高い学力をもつ中学校。今回はこちらで校長を務められている岡野和夫先生に、学校の特色と地域の魅力について、お話を伺うことができた。

まず最初に、「つくば市立竹園東中学校」の教育方針についてお聞かせください。

つくば市立竹園学園竹園東中学校 校長インタビュー

この竹園地区では、「つくば市立竹園東小学校」「つくば市立竹園西小学校」、そして本校を合わせた3校で「つくば竹園学園」として、小中一貫教育を行っています。小中一貫教育を進めてから、2014(平成26)年で3年目になります。よって、本校オリジナルというよりは、「つくば竹園学園」全体の特性を活かした教育目標ということで取り組んでおります。

まず、学園全体の教育目標の柱として掲げられているのが、「国際社会で活躍できる児童生徒の育成」というものです。小・中を通して、学園で学んだ子どもたちが、将来は世界にまたがって活躍できるよう、そのための資質を伸ばす教育をしていこう、という考えに基づいています。このほか、「自ら学び続ける児童生徒」「思いやりの心をもつ児童生徒」という、3つの柱を中心に、学園全体としての教育活動を進めております。

また、本校の教育目標ですが、校則「自主・実践・創造」を反映させ、「知識・技能を生かせる生徒の育成」「思いやりの心で触れ合う生徒の育成」「人や社会に貢献できる生徒の育成」の3つの柱を立てています。

学園、学校の歴史、生徒数やクラス数の現状と今後の見込みについて教えてください。

生徒数は今年度(平成26年度)523名で、通常学級15クラス、特別支援学級4クラス、合計19学級があります。本校は、研究学園都市最初の中学校として1974(昭和49)年に開校し、常に先進的で創造的な教育の実現を目指し、研究と実践を重ねてまいりました。2012(平成24)年4月に市内全校で一斉に中学校区を単位とする小中一貫教育が本格実施に移され、本校も「施設分離型小中一貫校つくば竹園学園」として新たなスタートを迎えたわけです。

小中一貫に関して、具体的にはどのような取り組みがあるのでしょうか。

つくば市立竹園学園竹園東中学校 校長インタビュー

つくば市は「教育日本一」を掲げて、教育に力を入れておりますが、その代表的な実践が小中一貫教育です。2013(平成25)年11月21・22日には「小中一貫教育全国サミットinつくば」がつくば市で開催され、2000人もの参加者がありました。本校はモデル校の一つとして授業公開を行いました。つくば市内には公立小中学校が51校ありますが、すべての学校が小中一貫教育として行っているケースは、全国的に見ても少ないかと思います。

つくば竹園東中 垂れ幕

小中一貫の取り組みですが、小小交流、小中交流という児童生徒の交流を意図した授業ばかりでなく、中学校教員の小学校での授業、小学校での教科担任制など、多様な実践を試みています。また、定期的に小中学校の教諭が一同に集まって研修会を実践しています。小中の先生方がお互いによく話し合い、交流することで、子どもたちの学びに連続性を持たせていけると思っています。

先ほど挙げていただいた中学校独自の教育目標について、具体的な実践例があれば教えてください。

つくば竹園東中 教育目標

1つ目の「知識・技能を生かせる生徒の育成」という点で言いますと、ひとつは「協働的な学習」が挙げられます。これは、先生が子どもたちに“教え込む”のではなくて、グループの中で、生徒同士が意見を出し合いながら学びを築いていくものです。「自ら学び続ける」ためには、そういった“場”を提供しなければならないと思いますし、「先生が教え込む」という型から、「生徒同士が学び合う」という展開になるように図っております。

また、今年度のキャッチフレーズとして「1:nの授業からの脱却」を掲げております。つまり学びの型を「n:n」にするという事ですが、子どもたち同士がともに学び合い、先生がそれぞれをきちんとコーディネートする、という方針で取り組んでいます。

つくば市立竹園学園竹園東中学校 校長インタビュー

「n:n」の授業を行うにあたって、最も有効な手段として「ICT」の活用があります。代表的な例として、ノートパソコンに生徒がそれぞれの考え方を入力すれば、それが瞬時に一斉にスクリーンに映し出されるという仕組みです。40人の子どもがいれば、40人の考え方がそのまま全部スクリーンに映されるんですね。

 

これによって、生徒個々の考え方が生かされますし、同じような考え方同士の子が、「あの子も同じような考え方をしてる」と瞬時に理解できるんです。そしてそれをもとに、グループで話し合うこともできます。違う考えの子同士で意見を交わし合って、最後にどういう経緯で、どういう回答に行き着いたのかを聞いてみる、という授業が簡単に展開できるわけですね。教師が一方的に話しているだけでは決してそういった授業にはなりませんので、「ICT」は非常に有効な手段ですし、大いに活用させてもらっています。

他にも「ICT」を活用した教育を行っておられるのでしょうか。

ひとつは、デジタル教科書と言って、教科書の内容がデジタル化されているものがありますので、それをスクリーンに映しながら授業を行い、教科書の中身をより見やすくするという活用があります。また、つくば市全校に配備されている「CAI」システムでは、学習コースを個に応じて学習を進められるようになっていますので、一人一人の学力を定着させるのに有効です。「インタラクティブ・スタディ」では、自宅に帰っても、このシステムにログインして勉強ができるように設計されておりまして、復習などに有効に活用できます。これは他の市町村にはなかなか無いものでして、つくば市全体が教育に力を入れているということの、一つの現れだと思います。

その他の教育目標の具体的実践について、続けてお聞かせいただけますか?

つくば市立竹園東中学校 校長インタビュー

2つ目の柱は「思いやりの心で触れ合う生徒の育成」です。心の教育も、今は非常に重視されています。子どもたちひとりひとりに、リーダー育成と申しますか、「自分たちの学校は自分たちで作っていく」という気持ちを持たせるようにしています。

そのために「評議員」という制度が本校にはありまして、これは生徒会組織と似たようなものですが、クラスから代表者を選出してもらい、その子どもたちが、学校のいろんな行事について、基本的な方向付けをするというものです。

つくば市立竹園学園竹園東中学校 校長インタビュー

実は、本校には校則が無いんですね。だから制服も無くて、上着とシャツだけは統一していますが、ズボンやスカートはみんなその子によって違うんです。でも、校則がなくても中学生らしい服装をし、きちんと生活を送っています。

自分たちで自分たちの約束事を決めて進めていくという伝統が根付いているんですね。そしてその中で、「三大行事」という大きな年間行事があるんですけれども、この企画運営についても、基本的には評議員の子どもたちが中心になって進めていきます。

つくば竹園東中 校門 引き

もちろんその運営については職員も係わり合いますし、私に判断を仰がなくてはいけない内容については多少のやりとりをしますけれども、基本的には彼ら(評議員の生徒)にある程度託しています。それが本校で伝統的に築かれているものですので。私としても、この伝統を守っていきたいと思っております。

また、本校には多くの先生方が視察に来られますが、視察の際には評議員の子どもたちの代表が、対応をしております。例えば、学校紹介をプレゼンしてもらっています。視察された先生方は、真剣に、かつ楽しそうに聞いて下さっています。説明の後、質問がありますと、それに対して子どもたちは自分たちの目線で答えます。私たちは生徒の言動に制限をかけていませんから、生徒たちは学校のことをしっかりと受け止めて、意識していないと、回答ができないんです。しかし生徒たちは、私たちの想像以上のすばらしい回答をしてくれます。

評議員については、各クラスから2名選んでもらっています。前期2名、後期2名となっていますが、後期は前期とは別の子を選んでもらっていますので、全クラス合わせれば、前期で30名、後期で30名、年間60名の子が評議員になることになります。かなり多くの生徒が、3年間のどこかで評議員を経験することになるんですね。

つくば竹園東中 三大行事1

評議員のほかにも、「三大行事」に関してはそれぞれの実行委員として、また別の子たちが選ばれますから、多くの生徒たちが、いろんな行事の中に主体的に関わることができます。これらを責任をもって遂行させることで、教育目標にもある、それぞれがリーダーになりえるような経験をさせていこうと考えています。

「三大行事」とはどのようなものなのでしょうか。

つくば市立竹園東中学校 校長インタビュー

「三大行事」と言いますのは、ひとつは毎年6月に実施しています「スポーツフェスティバル」です。これはいわゆる体育祭なんですけれども、普通の体育祭と違うのは、「子どもたちが考えた種目で行う体育祭」という点ですね。今年度は新たに応援合戦が加わりました。毎年、9年生のクラス数で団の数が決まるのですが、各団ともそれぞれ応援の練習をし、オリジナルの応援合戦を行いました。これも評議員と実行委員会が、方向性を決めて行ったものなんです。

つくば竹園東中 文化祭

2つ目の行事は、9月中旬に行われる文化祭です。「創明祭」という名前なのですが、これもまた、各クラスで出し物を、たとえば演劇や音楽、模擬店、企画展示などを行ったりするものです。7月ごろにオーディションを行いまして、このオーディションで合格した者だけが、当日演じたり、演奏したりすることができるという仕組みになっています。

 

クラスごとにTシャツを作ったり、3年生に関しては食べ物を販売するような模擬店を出したりと、中学校ではなかなかやっていないような規模でして、高校の文化祭のような雰囲気になります。

つくば竹園東中 合唱

3つ目は、10月の下旬に行われている「合唱祭」です。この合唱祭は、各クラスが、1曲は課題曲として有名な曲を歌うんですが、もう1曲は「クラスの歌」なんですね。自分たちで作詞・作曲した歌を合唱で歌うんです。自分達の歌を、クラスの歌を歌うということで、オリジナリティがありますし、どれも「生徒の思いが込められている歌」なんですね。

つくば市立竹園学園竹園東中学校 校長インタビュー

余談ですが、2012(平成24)年に「竹園東中学校」は合唱コンクールの全日本大会に出ましたが、これも実は合唱部ではなく、合唱団なんですね。部活ではサッカーやテニス、野球など、別の活動をしていた子たちが、練習が終わってから合唱の練習に参加していたものなんです。

全国大会ですから、ほかの出場校は、一年中合唱に取り組んでいる“部活”の子たちですから、その中に、本校は同好会のような感じで出場し、銀賞を受賞しましたので、これは私たちもびっくりしましたし、感動しました。

地域との関わり合いという面で、何か事例がありましたらお教えください。

つくば市役所

実はつくば市というのは、地域の特性上、地域の関わり合いが“濃くない”地域なんですね。他から引っ越して来られて、また何年か経って別のところに引っ越して行かれる方が多く、出入りの多い地域なんです。

従って、地域に根ざして何年も続けていくような行事や係わり合いというのは比較的難しかったんですが、昨年より「学校防災連絡協議会」というものを作りまして、PTAの方、民生委員の方、地域の区長さんなどに集まっていただいて、まず防災という観点から、地域交流を進めています。また、個々としては、「竹園子どもまつり」のような地域のイベントがありますので、そこに積極的に参加する子もいますし、現在は「つくばスタイル科」などを通して、地域についての理解と交流を進めているところです。

つくば市立竹園学園竹園東中学校 校長インタビュー

「つくばスタイル科」というのは、つくば市の公立学校が教育課程の「特例校」として、国が定めた教育課程以外のカリキュラムとしてそれぞれ行っているものでして、週に2時間ほど活動しています。学校ごとにさまざまなカリキュラムを作って進めております。本校では特に、地域参加型ということで、地域に貢献できるように、地域との密接な関係を作れるように意識しながら、「つくばスタイル科」を進めております。

非常に学力の高い学校として知られておりますが、どのような保護者が多いという印象でしょうか。

竹園一丁目

竹園という地区は、もともと公務員の方が9割以上で、研究者の方も多かったと聞いています。創立当初から、学力の高い学校でした。今は公務員の方の割合は半分くらいになりましたが、現在も高い水準を維持しているというのは、竹園地区の保護者の教育に対する関心の高さ、生徒の潜在的な力、そして「つくば竹園学園」の先生方が、生徒の力を伸ばすべく充実した授業を進めていただいた成果であると思っています。

竹園一丁目

現在でも、やはり研究者、大学関係者、企業の研究者などといった方が圧倒的に多いですから、科学教育や英語など、国際性を考えた教育が大事に考えられており、実際そういったニーズがございます。つくば市全体が、教育水準の高い地域だとは思いますが、その中でも、特に竹園地区は質の高い教育が求められているのではないでしょうか。

普段から先生方が心がけている点についてお教えください。

つくば竹園東中 掲示物

やはり、先ほども申しましたように、「ともに学び、ともに育つ」、ということで、職員と子どもたちが一緒に育つということを日々心がけております。

また、「自由」には責任が伴いますので、そこは先生方にも、きちんと子どもたちに伝えてもらうようにしています。生徒も子どもだから当然、間違いや失敗があります。そういう時には、やはり指導は必要です。子どもたちも自由の意味をはき違えないように、ケースバイケースで、その行為や姿勢を考えさせなければなりません。でも、子どもたちを信頼して、責任を持たせて、試行錯誤を積み重ねていくことが、一番大事なことだと考えております。

最後に、つくばエリアの魅力について一言お願いします。

つくば公園通り

保護者の方とお話をしていますと、つくばは非常に住みやすい地区だと皆さんおっしゃいますね。自然が豊かで、文化的施設もあって、教育の水準も高くて、交通の便も良くて、すぐに東京の方面に出られて。確かに、私もとても住みやすい場所だと思います。

 

また、他の地域から研究の関連でつくば市に来られて、そのままここに住居を求められる方もけっこう多いと聞いています。本校の教員でも、他県出身で、筑波大学を卒業後、つくば市に住んでいるという方がいますね。やはり、住み心地が良いということでした。

つくばセンター バスターミナル

つくば市は「教育日本一」を掲げて教育に力を入れています。子どもたちにとって、いい環境の中で教育が進められるよう、市と市教育委員会と学校が共に「教育日本一」を目指しております。国際性豊かで将来世界に向かって羽ばたけるような人材を育てられる環境があるのだということを理解していただいて、是非、多くの方につくば市に来ていただきたいですね。

つくば市立竹園学園竹園東中学校 校長インタビュー

今回、話を聞いた人

つくば市立竹園東中学校

岡野和夫校長先生

つくば市立竹園東中学校
住所:茨城県つくば市竹園3-11
電話番号:029-851-3467
http://www.tsukuba.ed.jp/~takezono-j/

※記事内容は2013(平成25)年8月に取材したものに、2014(平成26)年7月時点で一部修正を加えており、今後変更となる可能性がございます。

全国的にも高い学力を持つ小中一貫校/つくば市立竹園学園竹園東中学校 岡野和夫先生
所在地:茨城県つくば市竹園3-11 
電話番号:029-851-3467
http://www.tsukuba.ed.jp/~takezono-j/