「横浜市立梅林小学校」 校長 黒木英晴先生 インタビュー

街が一体となって取り組む、地域の資源と歴史を生かした学習/横浜市立梅林小学校 校長 黒木英晴先生

横浜市磯子区杉田はかつては梅林で、杉田梅が有名だった地域。現在、その面影はなく「横浜市立梅林小学校」は名を残したいという地域の思いから名付けられた。校舎のまわりには50本の梅の木が植えられ、あらゆる学習に梅が用いられている。そんな梅一色の「横浜市立梅林小学校」について、学習の取組みや地域との関わりなどを黒木英晴校長先生に伺った。

杉田梅が有名な街としての面影が残る学校

お話を伺った黒木校長先生
お話を伺った黒木校長先生

――学校の概要と歴史について教えてください

黒木校長:「横浜市立梅林小学校」は1960(昭和35)年に開校して、今年で57年目を迎えました。隣の「横浜市立杉田小学校」は1873(明治6)年開校で、140年以上の歴史がありますが、高度成長期の人口増加にともない、そこから分かれてできた学校です。当時は緑豊かなところだったそうですが、開発が進むにつれて人口が増え、学校が建てられました。同じく杉田小学校より独立・開校した「横浜市立屏風浦小学校」は昨年度60周年を迎えましたので本校とは兄弟関係みたいなものです。

授業の様子
授業の様子

この辺りは400年くらい前から杉田梅林として有名でした。米作りに適さない土地のため、当時の領主・間宮信繁が梅を植え始め、多い時には36,000本の梅の木があったそうです。花が咲くと船の上からでも香りがしたと言われています。“杉田梅”という種類で、実が大きく武士に好まれた梅でした。しかし今では梅林という地名はほとんど残っていません。そこで、学校を建てるときに歴史のある名前を残そうと「横浜市立梅林小学校」と名付けました。地域の中に歴史を残したいという強い思いや願いが感じられます。

歴史を受け継ぐ「梅」
歴史を受け継ぐ「梅」

学校教育目標は「・自分を大切にします(知・体)・仲間を大切にします(公・開)・心を大切にします(徳)」。横浜市で言う「知徳体公開」とは、「知」は確かな学力、「徳」は豊かな心、「体」は健やかな体、「公」は公共心と社会参画意識、「開」は国際社会に寄与する開かれた心を指します。横浜という土地柄、世界に目を向けて開いていく、そして自分も社会の一員だと意識するということを分かりやすくした、本校の教育目標はたいへん親しみやすいと言えるでしょう。

梅を通じて学ぶさまざまな取り組み

学校には多くの梅が植えられている
学校には多くの梅が植えられている

――この学校ならではの特色について伺えますか?

黒木校長:この地域で杉田梅を守り増やそうという杉田梅愛好会の方から、去年、杉田梅を2本いただきました。杉田梅は白い花で実が大きいのが特徴ですが、ほかにも白加賀や野梅、紅梅、緋梅とかいろいろな種類があります。花の時期も違いますので、だいたい1月初旬から2月中旬くらいまで楽しめます。現在、学校の敷地には梅の木が50本植えられています。

梅をモチーフにした子どもたちの作品
梅をモチーフにした子どもたちの作品

本校では「梅単元」と言っていますが、各学年で梅をからめた内容の授業をしていて、例えば、国語では梅を題材にした詩とか俳句、短歌を作ったり、図工で梅の絵を描いたりしています。3年生の社会では地域の事を学びますので、昔の梅林のことを調べたり地域の人から話を聞いたりもします。梅の実は高学年が収穫して、梅ジュースを作り、全校生徒で飲む「梅の実交歓給食」という行事もあります。また、「梅林音頭」は創立20周年の時に作られた踊りで、運動会や地域のお祭りなどで踊っています。「うめりんこ」と「うめざえもん」というかわいいキャラクターも大切にしています。梅を通じて地域の人と交流したり、季節を感じたりできるよう、学習につなげています。

――「小中一貫教育」について、具体的にどのような連携をされていますか?

黒木校長:浜中学校ブロックは「横浜市立浜中学校」、「横浜市立梅林小学校」、「横浜市立杉田小学校」、「横浜市立さわの里小学校」の4校から成り立ちます。本校は学区が磯子区だけでなく、金沢区富岡東も入りますので、その学区に住んでいる子は「横浜市立小田中学校」に行くことになります。

6年生のキャッチフレーズ「飛翔戦隊 バイリンジャー」
6年生のキャッチフレーズ「飛翔戦隊 バイリンジャー」

主な活動は4校の実務担当者の定期的な情報交換ですが、昨年度は中学校の先生が1年生から6年生まで算数の授業をしてくれました。中学校の先生が普段、九九を教えることはないので、すごく勉強になったと言っていました。また、中学生が中心となって、4校を中心とした子どもたちや地域の人と交流をする「四校のつどい筋肉番付」ではいろいろなブースを設けて、イライラ棒やストラックアウト、下駄投げ飛ばしといった遊びで点数を競います。2年前にはつい本気を出してしまい、私も一位となり金メダルをいただきました。

元気いっぱいに運動をする体育の授業
元気いっぱいに運動をする体育の授業

小学校と中学校の先生が交流し、児童の情報を共有することで、より丁寧な指導ができるようになります。中学校でつまずきやすいポイントをフィードバックしてもらうことで、小学校で重点的に指導できます。特に算数、数学は積み重ねなので、小学校での基礎が重要になります。また、中学校の先生が教えてくれることで、“なんとなく中学は怖い”というイメージがなくなり、中1ギャップの解消にもつながると思います。

ロッカーに並ぶランドセル
ロッカーに並ぶランドセル

――学習で取り組んでいることを紹介していただけますでしょうか?

黒木校長:個に応じた学習に取り組むために「プラムルーム」という特別支援教室を今年の1月から始めました。まだ始めたばかりなのでこれから工夫し、充実させていきたいと考えています。

今年度、学校司書が本校に配置されましたので、図書室とのコラボを充実させていきたいとも考えています。子どもたちは本がとても大好きで、読み聞かせの時も聴き方がとても上手です。そういう本との出会いをさらに充実させていけたらいいなと思います。

本校は市民図書の第1号でもあって、学校の図書室を地域の人に開放し、水曜日と日曜日には貸し出しもしています。大人向けの本や新しい本もあって大人気で、大人が子どもに頼んで借りていくということもあると聞いています。小さなお子さん向けのお話会も年3回やっています。こうした地域の繋がりも大切にしたいですね。

地域の人に開放されている図書室
地域の人に開放されている図書室

――先生方のレベルアップ等について何か取り組んでいらっしゃいますか?

黒木校長:横浜市は若い先生が増えていて在職10年以下の人が半数を超えようとしています。そのため、授業力については研究をしていく必要があります。人材育成には力を入れていて、教職員の研修を「梅林塾」と呼んで取り組んでいます。知識・理解だけではなくて思考力をどう身につけさせるかは課題です。そのための教材としてやはり「梅」を題材にして、先生たちにも子どもたちに身近で体験的な学びを意識してほしいと思っています。

「梅っ子応援隊」に支えられた、地域と一体の学校づくり

季節の花を使ったフラワアレンジメント
季節の花を使ったフラワアレンジメント

――地域の人との関わりについては何か取り組んでいらっしゃいますか?

黒木校長:ボランティアの「梅っ子応援隊」「うめりんこクラブ」には、学校のいろいろな場面で手伝っていただいています。保護者だけでなく地域の方もいらっしゃって、昨年度は延べ537人の方が活動に協力してくれました。“子どもたちの応援”では、朝読書の時間に本の読み聞かせや、図書室の本の整理を、“先生の応援”では新1年生の給食準備や、家庭科の授業などを手伝っていただいていますし、「梅の実交歓給食」の準備も応援隊に頼んでいます。校内に季節の花をアレンジメントしてくれたり、学校の花壇を整備してくれたり、学校の環境づくりも応援してくれています。昨年度はフウセンカズラやゴーヤで作った緑のカーテンで区長賞をいただきました。

授業の様子
授業の様子

基本的に学校はもっと、開いていくべきだと思っています。活動を通じて保護者と担任との交流もできますし、保護者同士の交流の場にもしてほしいと考えています。例えば、1年生の保護者の不安に対して、高学年の保護者が相談に乗ってくれる場があるといいなと思います。

給食の時間
給食の時間

あと「おやじの会」という組織では、磯子区の自然環境を生かして、春にはふれあいハイキングを行っています。たけのこ掘りや昔遊びをしたり、豚汁を作ったり、去年はもちつきもやりました。この運営を担当してくれています。

――校長先生からみた、この街の良さを教えてください。

黒木校長:街の良さはなんといっても“人”ですね。子どもたちに対しても我々に対しても皆さんとても温かいです。この地域に今も住んでいる卒業生も多く、保護者も卒業生だという方も多くいらっしゃいます。校名の由来のように“おらが学校”じゃないですけど、学校を支えようという思いを強く感じます。気さくに声をかけて下さるし、とてもいい人ばかりです。

「梅の林は花ざかり・・・」で始まる校歌
「梅の林は花ざかり・・・」で始まる校歌
樺太に行った間宮林蔵は間宮信繁と繋がっていたり、解体新書の杉田玄白は、先祖が杉田出身なので杉田姓を名乗ったということもあります。地域には世界で活躍する企業もありますし、最初の国産飛行機のYS11のYは横浜、Sは杉田、完成披露日が1958(昭和33)年12月11日。これらを繋げるとYS-11、「横浜、杉田で11日に会いましょう」という思いを込めたとも聞きました。そう考えていくと歴史的に杉田の土地ってすごいなって思います。ですから、ここで学ぶ子どもたちは、世界に目を向けた子どもたちであってほしいと願っています。そのためにも自分の住んでいるこの土地の歴史をしっかり学んでほしいと思います。

――このエリアに住むことを検討していらっしゃる方へメッセージをお願いします

黒木校長:環境が良くて、横浜らしい雰囲気のあるところだと思います。京急とJRの両方の駅が使えて、その間に商店街もありますし、緑がいっぱいあって海や富士山、スカイツリーまで見えます。しかも、世界に向けて誇れる歴史を持っている地域です。買い物にも交通も便利で住みやすいところだと思います。

横浜市立梅林小学校  校長 黒木英晴先生
横浜市立梅林小学校  校長 黒木英晴先生

横浜市立梅林小学校

校長 黒木英晴先生
所在地:神奈川県横浜市磯子区杉田5-13-1
TEL:045-773-0341
URL:http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/es/bairin/
※この情報は2016(平成28)年4月時点のものです。

街が一体となって取り組む、地域の資源と歴史を生かした学習/横浜市立梅林小学校 校長 黒木英晴先生
所在地:神奈川県横浜市磯子区杉田5-13-1 
電話番号:045-773-0341
http://www.edu.city.yokohama.lg.jp/schoo..