正岡子規も愛した老舗の焼き団子

文豪も愛した東京名物 日暮里の歴史を見つめ続ける「羽二重団子」/「羽二重団子」7代目当主 澤野修一さん


「羽二重団子」7代目当主
澤野修一さん

文豪も愛した東京名物
日暮里の歴史を見つめ続ける「羽二重団子」

江戸時代より伝わる東京名物として190年以上もの長きにわたり親しまれている「羽二重団子(はぶたえだんご)」。1819(文政2)年の創業以来、正岡子規や夏目漱石といった文化人にも愛されていたことで知られ、今なお政財界や芸能界にもファンの多い逸品である。今回は「羽二重団子」の7代目当主を務める澤野修一さんに、「羽二重団子」の魅力と日暮里の街の移り変わりについてお話を伺いました。

江戸時代から続く老舗の団子屋としてご存知の方も多いと思いますが、あらためて「羽二重団子」の歴史と特徴についてお聞かせください。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

「羽二重団子」は1819(文政2)年に、初代店主の澤野庄五郎が芋坂に開いた「藤の木茶屋」がはじまりとされています。そこで提供していた団子が『まるで絹で織った羽二重のようにきめ細かく滑らか』と賞賛されたことで「羽二重団子」とそのまま菓名となりました。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

その後、明治期に入ると正岡子規先生や夏目漱石先生が作品のなかで当店の団子を取り上げてくださったこともあります。“文豪も愛した東京名物”としてご存知の方もいらっしゃるかと思います。

“文豪も愛した東京名物”のエピソードについて詳しく教えていただけますか?

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

まず「羽二重団子」には、生醤油で焼き上げた“焼き団子”と甘さを控えた“こしあん団子”の2種類の味があります。正岡子規先生はいつも“あん付き3本、焼き1本”を好んで召し上がっていたようで、病床に伏した時も、妹の律さんを買いに行かせ、寝たきりの人が、4本ペロリと召し上がったと「仰臥漫録」という随筆にでています。メニューにある「正岡子規 漫録セット」(1,050円)とは、先生が好んで食べた“あん付き3本、焼き1本”をそのまま再現した内容です。

また岡倉天心先生にちなんだ「岡倉天心 陶然セット」(840円)というものもあり、焼きだんごをあてにお酒を楽しんだという先生のエピソードにちなみ、冷酒グラスと焼き2本をセットにしたメニューもご用意しております。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

ほかにも本店の1階には先代と親交のあった田山花袋先生直筆の書が飾られていたり、戦災や震災で失われること無く残った当時の生活を偲ぶ品々が数多く展示されていたりと、お店に足を運んでいただくだけで歴史を現代(いま)に伝えるさまざまな発見があると思います。

はじめてお店に訪れる人に、「羽二重団子」の楽しみ方のポイントを教えてください。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

JR「日暮里」駅から徒歩3分の本店は、先ほどもお伝えしましたが、戦災や震災で焼失しなかった歴史を感じさせる品々が展示してありますので、まずその雰囲気を感じてみて下さい。お店の外からは店内の様子が見えないため、はじめは入りづらい方もいらっしゃると思いますが、店内にはテーブル席とお座敷をそれぞれご用意していますので、おひとり様から団体までそれぞれ楽しんでいただけると思います。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

また天気の良い日には中庭の縁台を好んで選ぶ方も多く、お団子とともに過ごすくつろぎの時間を存分にお楽しみください。和モダンをテーマにデザインした「日暮里」駅前の「HABUTAE1819 羽二重団子 日暮里駅前」ともまた趣が異なるため、人数や用途に応じてそれぞれご利用ください。

創業190年を迎え、日暮里の街の移り変わりについてお聞かせください。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

2008(平成20)年の日暮里・舎人ライナーの開通により「日暮里」駅前も大きく変わりましたが、駅前広場を活用したまちおこしのイベントが積極的に行われるようになりました。山手線沿線の駅前でイベントスペースを確保できる駅は数少なく、昨今では「にっぽりマルシェ」と名づけられた物産展が毎月開催されるほか、竹台高校のジャズバンドによる演奏など、さまざまな活動が行われています。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

伝統の変わらぬ味とスタイルを守り続けることが、日暮里の魅力につながり、街おこしの一助となれば、嬉しい限りです。

「羽二重団子」7代目当主 インタビュー
「羽二重団子」7代目当主 インタビュー

今回、話を聞いた人

「羽二重団子」7代目当主
澤野修一さん

所在地:東京都荒川区東日暮里5-54-3
電話番号:03-3891-2924

※記事内容は2013(平成25)年10月時点の情報です。

文豪も愛した東京名物 日暮里の歴史を見つめ続ける「羽二重団子」/「羽二重団子」7代目当主 澤野修一さん
所在地:東京都荒川区東日暮里5-54-3 
電話番号:03-3891-2924
営業時間:9:00~17:00
定休日:年中無休
http://habutae.jp/