自然に囲まれ、地域の温かい眼差しに恵まれている/横須賀市立山崎小学校 校長 松山雅彦先生
「横須賀市立山崎小学校」は1912(明治45)年に開校した。校舎の最上階からは海が望め、横須賀のシンボルとも言える猿島も見える。潮風を浴びながらたたずむ校舎を歩くことは、同校の歴史を散策することでもある。創立100年を超える歴史、教育目標、同校が大切にしていることを中心に伺ってきた。
1世紀以上にわたり、子どもを温かく見守りのびのび育てる
――長い歴史を誇る小学校と伺いました。まずは学校の沿革から聞かせてください。
本校が開校したのは1912(明治45)年。当時の校名は、「尋常山崎小学校」でした。1941(昭和16)年の国民学校令により「横須賀市立山崎国民学校」に改称し、現在の校名になったのは1947(昭和22)年4月1日のことです。創立100周年の記念式典では、卒業生でもある小泉純一郎元首相にご臨席賜りました。市内には創立150年近い学校もありますから、本校が特別に歴史のある学校というわけではないのですが、それでも筆で書かれた戦前の記録などを前にすると、やはり1世紀という重みを感じずにはいられません。
――教育目標と児童数、それと子どもたちに対する印象などありましたら聞かせていただけますか?
まず教育目標についてですが、本校は“すこやかに 育む友情 のびゆく学び”を掲げています。心技体に当てはめると、“すこやか”は体で、“育む友情”が心。そして“のびゆく学び”が学力、つまり技に該当します。そうした要素をバランスよく伸ばすことで、強く、優しい大人になってもらえたらと思っています。児童数ですが、2018年度が始まったときは475名で、小さく増減を繰り返しながら現在(8月10日時点)は473名となっています。
子どもたちの印象ですが、“子どもらしいな”と感じる瞬間が多いですね。屋外で昆虫を追いかけ回すような、いわゆる“私たち世代の子ども”が多いように思います。町場ではなく、田舎でもないこの地区には、昔から子どもを温かく見守りながらのびのびと育てようという傾向があります。そのような背景も関係しているのかもしれませんね。
――特に力を入れている取組みや行事はありますか?
本校は毎年春に運動会があるのですが、この時期に開催しているのは、仲間づくり・集団づくりに最適なタイミングと考えているからです。入学したばかり、また新しいクラスになったばかりでは居場所をつくるだけでも大変です。そこで、運動会を通じて仲間をつくってもらうというわけです。
前期の山場が運動会とすれば、後期は「夢工場」が最大の行事です。これは文化祭のようなもので、クラスごとに出し物をします。演劇を選ぶクラスもあれば、展示物、映像作品を制作するクラスもあります。クラスの仲間と協力しながら、どのようなもてなしをするかというのがテーマになります。
人に優しくできるよう、成功体験をさせる
――学校生活のなかで、先生方が大切にされていることを教えてください。
意識的に取り組んでいることは、子どもたちの自己肯定感を高めることですね。自分を認め、受け入れないことには他者への気遣いや優しさも生まれません。そこで必要になってくるものが成功体験だと考えています。逆上がりができるようになったこと、みんなの前で発言できるようになったことなど、“できなかったことができるようになった体験”をさせてあげることで自己肯定感を高めるのです。それによって得られた自信が、他者への優しさへとつながっていきます。
地域が学校に愛着を持ち、自主的に協力してくれる関係性
――地域・保護者との交流について教えてください。
「山崎小学校区愛のパトロール」というものがあります。夏休みの夜に学校職員と町内会の方などが2グループに分かれ、夜遅くに出歩いている子どもに声掛けをしたり、地域の公園に変わった点はないかを確認し歩くというものです。
その他では、図書ボランティアの制度もあります。本校だけの制度ではありませんが、あえて本校の特徴を言えば、自律的に率先して動いてくださること。それと、役割別に3タイプがあることが挙げられます。図書の整理や貸出の手伝いをしてくれる「ブックママ」。朝の時間帯で月2回、読み聞かせをしてくださる「ひだまり会」の方。図書室に行きたくなるような空間づくりをしてくれる「雰囲気づくり」の方がいます。子どもが卒業して何年も経つのに、引き続き図書ボランティアをしてくださる方もいらっしゃいます。
それとこれは個人的な話になりますが、学校の近くを歩いていると、昔を懐かしんで“◯◯先生はお元気ですか”と声を掛けてくださる方が多くいらっしゃいます。その度に、地域に大切にされ、色々な方の想いが詰まった学校なのだなと思います。
――「オヤジ組」についても聞かせていただけますか?
大きな活動の柱に、より上手に自転車を操るというのを主眼に置いた「自転車安全教室」、そしてPTAと共同で開催する「ふれあい祭り」、親子で工夫しながら、より遠くに飛ばすことを目指す「紙飛行機ワークショップ」があります。親子と一緒に何かをするという機会は、意識的に設けないとなかなか確保できない忙しい時代ですから、子どもたちにとっても、保護者の方々にとっても良い活動となっていると思います。
緑も海も、地域の温かな眼差しもある街
――最後になりますが、学校周辺の特徴や魅力などありましたらぜひお聞かせください。
一口に言うと、“すべてがある”ことでしょうか。木々の生い茂る小山が近くにあり、10分も歩けば海もあります。すぐそこの小高い丘からは街を一望できます。それだけでなく京浜急行「堀ノ内」駅は実にアクセスがよく、久里浜・三浦海岸、浦賀方面や、横浜、品川方面へ行くにも便利です。また、本校に向けられる温かい眼差しからも感じることですが、子どものことを気にかけてくれる方が多いというのも、この街のいいところかなと思います。
横須賀市立山崎小学校
校長 松山 雅彦先生
所在地:神奈川県横須賀市三春町6-4
URL:http://schoolnet.edu.city.yokosuka.kanagawa.jp/schoolnet/element/114yamazaki/
※この情報は2018(平成30)年8月時点のものです。
自然に囲まれ、地域の温かい眼差しに恵まれている/横須賀市立山崎小学校 校長 松山雅彦先生
所在地:神奈川県横須賀市三春町6-4
電話番号:046-822-0059
http://schoolnet.edu.city.yokosuka.kanag..