地域の子どもたちの居場所として。
「ふれあいっこ三ツ沢」の取り組みとは
横浜市三ツ沢地区には、地域ボランティアが運営する「ふれあいっこ三ッ沢(子ども食堂)」という取り組みがある。これは、共働き家庭のため、一人で食事をすることが多い子どもたちが集まり、みんなで楽しく夕飯を食べるという活動。今回は「子ども食堂」の会場となっている「三ッ沢東町自治会館」におじゃまして、同団体の会長であり、三ツ沢地区の主任児童委員を務める小川さんに活動内容や三ッ沢エリアの魅力を伺った。
月に1~2回開かれる、限定30食の「子ども食堂」
――まずは「ふれあいっこ三ツ沢」の概要について教えてください。
小川さん:2017(平成29)年9月に始まった、いわゆる「子ども食堂」です。対象は基本的に小・中学生ですが、利用する子どもの保護者や兄弟も利用できます。拠点は「三ッ沢東町自治会館」と「三ッ沢西町自治会館」にあり、東町は毎月第1水曜日、西町は第3火曜日に活動しています。土曜日には東町と西町の合同で、芋掘りや木工などのイベントを行うこともあります。
――この取り組みが始まった経緯を教えてください。
小川さん:「三ツ沢小学校」の校長先生から「朝食を食べておらず、空腹で授業に集中できない子がいる」と聞いたのがきっかけです。最初は町内会館で朝ごはんを提供できないかと考えたのですが、「三ツ沢小学校」では集団登校を行っているため、個別での参加は難しく、断念。しかし、食の大切さを子どもに伝える必要性は強く感じていたので、「ふれあいっこ三ツ沢」を立ち上げることにしました。
――利用するにはどんな手続きが必要ですか?
小川さん:時間にもスペースにも限りがあるため、毎回限定30食としています。だから事前にインターネットで申し込んだ方を優先しています。余裕があれば、申し込んでいなくても来ていただくことはできます。
――運営スタッフや活動資金はどうされているのですか?
小川さん:ボランティアと寄付で成り立っています。場所は「三ツ沢東町自治会館」と「西町自治会館」に貸していただいていますし、調理は「沢渡三ツ沢地域ケアプラザ」で活動している「男の料理サークル」、配食ボランティアグループである元「ふれあい会」の皆さんにお願いしています。また、近隣の大学生には子どもたちと遊んでもうらうことも。さらに、野菜は市民農園「かなっぱ畑の会」や「藤の会」、茨城県の「大嶋農園」などから、お米は「新子安カトリック教会」、調味料は「生活協同組合ユーコープ」からいただいています。他にも挙げればきりがないほど多くの方々が協力してくださっていて大変感謝しております。
――それでも無料というわけにはいかないのですね。
小川さん:残念ながら、そうなんです。幼児は無料ですが、子ども100円、大人200円の代金をいただいています。補助金は食材費には使えないので、足りない食材費はスタッフの有志で賄っている状況です。
居場所を求めるすべての人の支援をめざす
――小・中学生が対象とのことですが、実際の利用状況はいかがですか?
小川さん:2018年度の利用者数は延べ346人でした。小学生がほとんどで、中学生は1~2人程度。保護者の方は30代くらいの方が多いです。スタッフは20代と50~70代が主体なので、多世代が集まる貴重な場になっています。食事の前後にはみんなでジェンガやかるたで遊んでいますよ。
――地域の中で「ふれあいっこ三ツ沢」はどんな役割を果たしているとお考えですか?
小川さん:一番は、小・中学生に放課後の居場所を提供できていることです。三ツ沢地区にはあまり貧困層はいませんが、子どもが一人で食事をせざるを得ない共働きの家庭はたくさんあります。ここは、そういう子どもたちが楽しく夕飯を食べられる場所になっています。一人で食べるより、みんなでワイワイしながら食べる方が楽しいし、おいしいと思いませんか。子どもだけでなく、親御さんの居場所にもなっていますし、若者には貴重な学びの場となっています。子どもの笑顔はシニアにも大きな喜びを与えていますし、当初の想定より多くの役割を果たしていると感じています。
――利用者の声についても教えていただけますか?
小川さん:子どもたちは、「ここの食事が一番おいしい」や「家族以外の人とワイワイ食べたり、遊んだりするのが楽しい!」と言ってくれます。保護者の方々からも、「ここに来るとほっとする」「子どもの好き嫌いが減った」「大学生のお兄さんやお姉さんたちと遊んでもらえることを、子どもがとても楽しみにしている」などの嬉しいお言葉をいただいています。
――現状の課題や、今後力を入れて取り組んでいきたいことがあれば教えてください。
小川さん:「子ども食堂」には、貧困やネグレクトなど暗いイメージがあるので、明るく捉えて受け入れてもらえたのは良いことだと思っています。ただ、現状本当にこの支援を必要としている子どもたちに来てもらえていないのではないかという葛藤もあります。今後はさらに色んなアプローチを試して、誰もが安心して来てもらえるような場所にしたいと思っています。子どもだけでなく、一人暮らしの高齢者や外国人、不登校や引きこもりの人など、居場所を求めるすべての人が利用できるように。そして将来的には常設化を目指しています。
――最後に、三ツ沢エリアの魅力を教えてください!
小川さん:車でも電車でも便利なところでしょうか。この立地は大きな魅力だと思います。そして「横浜市神奈川スポーツセンター」や「三ツ沢公園」があるので、運動好きの人にも適した環境です。寺社が多く、地元のお祭りや妙深寺の「坊主バー」、子どもたちが提灯に火を灯して練り歩く「万灯会」など楽しい行事がたくさんあるのも魅力ですね。そして何と言っても、この地域には善意を持った方がたくさんいらっしゃいます。私たちの活動も、地域の理解と支援のおかげで成り立っています。
今回、お話を聞いた人
ふれあいっこ三ツ沢
会長 小川真奈美さん
開催地:神奈川県横浜市神奈川区三ツ沢東町2-29 三ツ沢東町自治会館
電話番号:045-320-6792
開催日:毎月第1水曜日(東町)、毎月第3火曜日(西町)
開催時間:16:00~19:00(夏は20:00まで)
URL:https://kodomo-mituzawa.jimdo.com/
※この情報は2019(令和元)年6月時点のものです。
地域の子どもたちの居場所として。
「ふれあいっこ三ツ沢」の取り組みとは
所在地:神奈川県横浜市神奈川区三ツ沢東町2-29 三ツ沢東町自治会館
電話番号:045-320-6792(代表)
開催日:毎月第一水曜日
開催時間:16:00~19:00(夏は~20:00)
https://kodomo-mituzawa.jimdo.com/