所長 中村様、課長補佐 佐藤様インタビュー

「綱島」駅東口周辺のまちづくり。歴史を踏まえて地域と連携する/綱島駅東口周辺開発事務所(横浜市)


かつては“東京の奥座敷”として賑わった温泉街としての歴史を持つ、神奈川県横浜市の綱島エリア。現在も、綱島の駅前商店街を中心に賑わいが続いています。そんな綱島駅周辺で現在進んでいる再開発に注目が集まっています。 その理由は「新綱島」駅(仮称)の完成に伴い、綱島街道の拡幅を含めた駅東口一帯の市街地の姿が大きく変わっていくことにあります。そこで今回は、横浜市都市整備局 綱島駅東口周辺開発事務所の中村さんと佐藤さんにお話を伺いました。

左から中村俊輔さん、佐藤弘之さん
左から中村俊輔さん、佐藤弘之さん

「綱島」駅・東口の現状の課題

ー「綱島」駅周辺が新しく生まれ変わろうとしています。まずは、その背景から聞かせてください。

佐藤さん:綱島駅東口周辺を歩いていただくと分かると思いますが、歩道が十分に整備されていないため歩行者が車道を歩いている光景が目に入ります。
その上、タクシーや1日約860台ものバスが行き交うこともあって駅前の渋滞がひどく、通勤時間帯だと目的地のひとつ前の停留所でバスを降りるという方が大勢いるくらいです。バスの乗降場についても整備されているとは言い難く、交通整理員の誘導がなければバスもバス乗り場に入れられないといった状況です。もちろんこうした状況を改善しようという動きは過去にもあったのですが、なかなか進まない状況になっていました。
そうした現状を一変させたのが、相鉄・東急直通線の「新綱島」駅(仮称)の計画です。これを機に、新駅の工事を含めて、綱島駅東口のうち、新綱島駅周辺地区で土地区画整理事業や市街地再開発事業が動き出し、駅周辺の高度利用を図ることになりました。

「綱島」駅東口前
「綱島」駅東口前

「綱島」駅周辺
「綱島」駅周辺

ーその土地区画整理事業、市街地再開発事業について具体的に伺えますか?

駅周辺の3地区
駅周辺の3地区

佐藤さん:まずは『新綱島駅周辺地区土地区画整理事業』の計画概要ですが、新駅地上部に、バス・タクシーなどの乗降機能を有する幅員17メートルの道路を整備します。また、慢性的な渋滞が課題となっていた綱島街道を12メートルから20メートルに拡幅し、さらに綱島日吉線についても7メートルから15メートルに拡幅します。綱島街道と交差し、計画区域の北側にある綱島84号線も現状の7メートルを13メートルにする予定です。また、宅地の整序化と一部共同化した区画の整備に加え、公共駐輪場の整備も同時に進めます。

続いて、『新綱島駅前地区市街地再開発事業』についてもご説明します。
新駅と地下通路で接続する住宅・商業・公益施設の要素を取り込んだ再開発ビルを建設中で、高層棟には住宅と商業施設、低層棟には商業施設と区民文化センターが入る予定です。幅広い分野の文化芸術活動に対応できるホールは、親子室と車いす席を含めた約400席を備えています。その他にもレイアウト変更が可能な移動壁が設置されたギャラリー2室や練習室などが設置される予定です。

さらに、綱島駅と綱島街道の間の地区でも『綱島駅東口駅前地区市街地再開発事業』の検討が進んでいます。

『綱島駅東口周辺のまちづくり』より
『綱島駅東口周辺のまちづくり』より

ーまちづくりの方向性のひとつに“地域資源を生かした土地活用”を挙げていらっしゃいますね。

中村さん:この仕事に携わるまでの私は、綱島の歴史についてほとんど知りませんでした。しかしこの街の方とお会いするなかで綱島の歴史を知るようになり、私も色々と調べるようになりました。
昭和初期の綱島は、実は有数の桃の生産地でした。西の岡山、東の神奈川という言い方もあったくらいだそうです。『日月桃(じつげつとう)』という品種を確立し、現在でもその歴史を守りつづけているのが、計画区域内に住宅のある池谷(いけのや)家です。桃畑は綱島の歴史を語るときに欠かせない存在であることは間違いありません。
また、若い方は知らないと思いますが、昭和30年代の綱島は“東京の奥座敷”と呼ばれていた温泉街でした。しかし東海道新幹線が開業したことで熱海までのアクセスがよくなり、人の流れが変わってしまったことで温泉街としての歴史は幕を閉じました。風情のある湯宿が立ち並ぶ光景は、今となってはなかなか想像できませんが、近年まで日帰り入浴施設『東京園』さんが営業していました。東急・相鉄直通線の工事に伴い休業中ですが、温泉街があったことは綱島の歴史には大切な1ページだと感じています。

住民の協力なくしては進まなかったプロジェクト

ー全体的な再開発事業のスケジュールを教えていただけますか?

佐藤さん:新綱島地区の土地区画整理事業、市街地再開発事業のいずれも都市計画決定は、平成28年(2016年)9月にされました。鉄道が開業する令和4年度(2022年)下期を“まちびらき”としていますが、市街地再開発事業は、令和5年(2023年)10月の竣工を目指しています。全体としての方向性や、動きについては述べた通りですが、土地区画整理事業の区域内の個別街区については、各地権者の方々が主体となって、私たちとやりとりをさせていただきながら土地利用が進められていく予定です。

ーWebサイト以外で住民の方が情報を得る手段はありますか?

佐藤さん:Webサイト以外にも、『綱島駅東口周辺まちづくりニュース』として紙面を発行・配布しています。不定期ではありますが、過去2年間で4回発行しています。地域の方の協力があってこその事業ですから、情報の発信や、進捗をお伝えすることはとても大切だと考えています。

ー最後になりますが、綱島エリアの魅力と感じるところを教えてください。

綱島駅
綱島駅

中村さん:やはり鉄道アクセスの良さというのは魅力のひとつだと思います。地元の方にアンケートを取ると、利便性の高い東急東横線の、しかも急行停車駅という理由で綱島を選ばれた方は大勢いらっしゃいました。
一方で、この街に古くから住んでいる方は、鶴見川とともに発展してきたことや、温泉街としての歴史、また桃の一大生産地だったことなど、この街の全てに愛着を持っていらっしゃるように感じます。外から見た綱島の良さと、内から見ている綱島の良さ。それぞれの良さを土台とし、移り住まれた方と以前から住んでいた方とがよりよいコミュニティを築いていくというのが理想の形ですね。町工場からマンションへの建て替えが進んでいる綱島の東部は、これからもしばらくは人口が増加していくことが予想されます。多世代に選ばれる街として、これまで以上に支持される街づくりに寄与できればと思っています。

鶴見川
鶴見川

まとめ

いかがでしたでしょうか。大正時代、まだ綱島駅が『綱島温泉』だった頃から時代は移り変わり、横浜の街と、象徴的に流れる鶴見川と共に綱島もまた住みよい住宅地として進化を遂げてきました。これから横浜市港北区綱島への移住や、転居を考える際の参考にしていただければ幸いです。

中村さんと佐藤さん
中村さんと佐藤さん

横浜市都市整備局 綱島駅東口周辺開発事務所

所長 中村 様
課長補佐 佐藤 様
所在地:神奈川県横浜市港北区綱島西1-8-9 福岡ビル501号
電話番号:045-531-9600
URL:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/jokyo/kukakuseiri/tsunashima/
※この情報は2020(令和2)年12月時点のものです。

「綱島」駅東口周辺のまちづくり。歴史を踏まえて地域と連携する/綱島駅東口周辺開発事務所(横浜市)
所在地:神奈川県横浜市中区本町6-50-10 
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