地域・保護者・教職員たちが一体となって子どもたちを育成する上尾市の教育

子どもたちが大きな夢を抱き、多くの感動を得られる教育の実現を目指す「上尾市教育委員会」の取り組み/上尾市教育委員会 学校教育部指導課 吉田朋矢さん

「夢・感動教育 あげお」を基本理念に、英語教育やICT教育に力を入れている上尾市。特に今年市内3校で実施したコミュニティ・スクールを、来年度は全小中学校でスタートさせるなど、地域・保護者・教職員たちが一体となって子どもたちの育成にあたるという。近年「子育てしやすい街」として人気が高まってきた上尾市の教育について、教育委員会学校教育部指導課の吉田さんに詳しくお伺いした。

上尾市役所(取材者撮影)
上尾市役所(取材者撮影)

――上尾市の教育基本計画の概要について教えてください

吉田さん:上尾市教育委員会では、2011(平成23)年3月に「上尾市教育振興基本計画」を策定し、「夢・感動教育 あげお」を基本理念に掲げました。それに基づきICT教育の推進やいじめ問題の解決、特別支援教育の充実、小中一貫教育の推進など、多くの取り組みを行ってまいりました。また新たに「第2期上尾市教育振興基本計画」を策定し、平成28年度から平成32年度の5年間の方向性も明らかにしました。この新計画においても基本理念は引き継ぎつつ、「生きる力を育む」「学ぶ喜びを育む」「絆を育む」という3つの基本方針を新たに掲げ、子どもたちが大きな夢を抱き、多くの感動を得られるような教育を実現していきたいと考えております。

上尾市イメージマーク アッピー(取材者撮影)
上尾市イメージマーク アッピー(取材者撮影)

――上尾市でもコミュニティスクールを導入されたそうですね

吉田さん:これまでも学校は、学校評議員やPTA、学校応援団の方々にご協力をいただいて学校運営を進めてきました。しかし子どもたちが抱える課題の解決や豊かな成長のためには、社会総がかりでの教育が不可欠です。「もっと学校のこと、子どもたちのことを地域や保護者、先生方が一体となって考えよう」「地域が一丸となって子どもを育て、教育にあたろう」というのが、コミュニティ・スクールの基本的な考え方です。コミュニティ・スクールには、地域住民・保護者・先生方などから構成される「学校運営協議会(以下協議会)」が設置され、様々な人たちに学校運営に関わっていただきます。これまで学校運営や教育活動に関しては学校側が考えて行ってきましたが、コミュニティ・スクールになるとそれに対して協議会の委員が意見を言ったり、アイデアを出したりすることもできるようになります。

2018(平成30)年度は、「上尾小学校」「東町小学校」「上尾中学校」の3校でコミュニティ・スクールがスタートしました。各校では、協議会が主体となった取組やイベントが行われたと聞いております。協議会の方々とコミュニケーションを図ることで、地域や保護者の方々の学校に対する思いや期待も理解できるようになります。2019(平成31)年度には上尾市内33の全小中学校がコミュニティ・スクールとなります。学校・家庭・地域が一体になって子どもたちを育て、教育活動を見直し、参画しやすい学校になることを期待しております。

子どもたちが大きな夢を抱き、多くの感動を得られる教育の実現を目指す「上尾市教育委員会」の取り組み(指導課提供)
子どもたちが大きな夢を抱き、多くの感動を得られる教育の実現を目指す「上尾市教育委員会」の取り組み(指導課提供)

外国語活動やICT教育を先進的に取り入れてきめ細かな教育を

――上尾市では英語教育にも力を入れていらっしゃるとお聞きました

吉田さん:文科省が発表した新学習指導要領により、2020年には小学3年生から外国語活動が始まることになりました。それを受け、上尾市ではひと足早く2018(平成30)年度から3・4年生でも外国語活動の授業を始めました。2019(平成31)年度からは1・2年生でも年間10時間程度、外国語活動を始める前の導入として、歌やゲームを通して楽しく遊び感覚で英語に触れられるような工夫をしていこうと考えています。児童が「生きた英語」に触れる機会を増やすために、ALTの増員を予定しております。進んで英語を話す上尾の子を育てることを目指して、英語教育の充実に努めております。また英語が教科になる前準備として、担当者の研修を行うなどして、先生方の英語指導のスキルアップにも務めています。

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――イングリッシュカフェや音楽会など、ユニークな取り組みも多いですね

吉田さん:イングリッシュカフェは、毎年、上尾市国際交流協会が主催するイベント“あげおワールドフェア”にて、教育委員会がブースを出したものです。上尾市のALT講師3名がホストになり、訪れた子どもたちにサイコロを使って英会話を楽しんでもらうという企画です。当日は私も子どもを連れてイングリッシュカフェに行ってみましたが、ひっきりなしにお客様が来ていてかなりの人気でした。会話も自然に進みますし、何より参加している皆さんが楽しそうで、ALT講師はさすがプロだなぁと感心しました。お菓子や飲み物なども用意していたので、一息つく場所としても役立っていたのかもしれません。

音楽会は、中学校の吹奏楽演奏会と小中学校音楽会の2つあります。吹奏楽部演奏会は、毎年7月に「上尾市文化センター」で行われていて、市内の全中学校の吹奏楽部が参加するものです。普段中学校の吹奏楽部は地域のお祭りやイベントなどで演奏する機会はあるものの、中学校同士お互いの演奏を聴く機会はあまりないので、この音楽会はよいチャンスになっていると思います。音楽会は毎年11月に、市内小中学校の代表クラスが集まって発表をしています。中学校は校内合唱コンクールの優勝クラスが参加しているので、なかなか聞き応えがあります。こちらは一般公開もしているので、保護者のみならず近隣の方々にも聴きに来ていただけます。

音楽会などの取り組みも盛ん
音楽会などの取り組みも盛ん

上尾市文化センター(取材者撮影)
上尾市文化センター(取材者撮影)

――上尾市では授業のICT化も進んでいるそうですね

吉田さん:市内の小中学校では全ての教室に50インチモニターが整備されています。デジタル教科書も積極的に取り入れていて、資料が必要な授業などでは多くの写真や動画を子どもたちに見せられるので、特に有効です。教科書の範読など、今まで先生方が行なっていたことをデジタル教科書に任せることで、子どもたちへ目が行き届きやすくなり、指導もきめ細かくできます。中学校では、普通教室に無線LANが整備され、教室でインターネットが利用できるようになります。そうすることによって、授業や調べ物でもネットを使用して、アップデートな情報を取得することができます。またプログラミングの授業も取り入れるなど、上尾市ではICT教育に力を入れています。

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――小中一貫教育への取り組みについて教えてください

吉田さん:もともと“小1ギャップ”などの問題もあり、幼小の連携は取っていました。また小中一貫という考え方が第1期の計画に盛り込まれたことから、現在では小中学校の先生方が夏に合同研修を行なったり、出前授業という形で中学の先生が小学校に出向いて授業を行ったりして、交流を図っています。もちろん6年生の担任は子どもたちが進学する中学の先生方と綿密な打ち合わせを行い、申し送り事項を伝えるなど連携をしています。中学生が小学校に来て校門で朝の挨拶運動をしたり、6年生が中学に赴き、授業や部活を見学したりと、子どもたち同士の交流もあります。

それでも中学生になると、教科担任制になって担任の先生との関係も変化し、子どもたちも思春期に入るなど難しい時期になります。時には中学の先生から小学校に電話で問い合わせが入り、双方が協力して指導にあたることもあります。そういう意味でも小中の先生方が連携を強め、子どもたちを多方面から見て育てていくという考え方は大切だと思います。

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――この他にも特徴的な取り組みなどはありますか?

吉田さん:上尾市内の小中学校では、いじめ根絶に特に注力しています。中学校では生徒会を中心に日常的に対策を考えているほか、小学校でも“いじめ根絶”をスローガンに小学生サミットを開催し、現在のいじめ対策や今後の取り組みについて各小学校の代表が発表し合いました。「朝のあいさつで行うハイタッチ運動」や「異学年グループでいじめ標語を考えて発表」など、具体的なアイデアが数多く出され、それぞれの学校へ持ち帰っています。

便利さ・自然の豊かさ・安全安心と三拍子揃った上尾の子育て

――最後に子育ての場として考えたときの上尾市の魅力について教えてください

吉田さん:私は上尾市で生まれ育ち、現在は自分の子育てもしていますが、不便に感じたことは一度もありません。上尾市には東に「アッピーランド」、西に「こどもの城」と大きな児童館が2つあります。特に「児童館こどもの城」は多くの親子が集まり、全国の児童館のなかで来館者数1位(2013年度)を獲得したこともあるほどです。また、「上尾丸山公園」や「上平公園」など、市内には大小合わせて168カ所もの公園があり、自然環境も非常に豊かです。「上尾」駅から車で15分のところにある「榎本牧場」では、牧場体験ができたり、搾りたてミルクから作ったジェラートが味わえたりと楽しさ満載です。

上尾市児童館こどもの城(こどもの城より提供)
上尾市児童館こどもの城(こどもの城より提供)

上尾市は生活しやすく安心な環境です。市内を走るコミュニティバス“ぐるっとくん”が運行しており、どこまで乗っても100円という使いやすさで市内を行き来できるのも便利です。また「上尾」駅を通るJR高崎線は、上野東京ラインと湘南新宿ラインが運行している便利な駅で、東京方面へ便利にアクセスすることができます。2016(平成28)年に上尾道路が開通し、圏央道などへのアクセスも向上しました。とにかく交通アクセスが便利で暮らしやすい街ですね。

吉田さん
吉田さん

上尾市教育員会 学校教育部指導課

吉田朋矢さん
所在地:埼玉県上尾市本町3-1-1
電話番号:048-775-9672
URL:https://www.city.ageo.lg.jp/
※この情報は2019(平成31)年1月時点のものです。

子どもたちが大きな夢を抱き、多くの感動を得られる教育の実現を目指す「上尾市教育委員会」の取り組み/上尾市教育委員会 学校教育部指導課 吉田朋矢さん
所在地:埼玉県上尾市本町3-1-1 
電話番号:048-775-5111
開庁時間:8:30~17:00(土曜日は12:00~13:00を除いた一部窓口を開庁)
閉庁日:日曜日、祝日(土曜日の場合は開庁)、年末年始、メンテナンスなどで必要とする日
https://www.city.ageo.lg.jp/index.html