校長 山口真司先生インタビュー

地域社会と連携しながら、主体的に行動できる子どもを育てる/和光市立大和中学校

「和光市」駅前を抜け、10分ほど歩いたところにある「和光市立大和中学校」は、市内で最も長い歴史を持つ中学校だ。校名の「大和」は、和光市の旧名「大和町」に由来するもの。「努力で輝く大和中生」を筆頭に、「1 元気なあいさつ きれいな学校」「2 じっくり学習 打ち込む活動」「3 みんなで協力 思いやる心」を教育目標として、生徒の主体性を育む教育を行っている。山口真司校長先生に、学校の特色や活動、町の特徴などについてお話を伺った。

山口真司校長先生
山口真司校長先生

――まずは学校の沿革や概要から教えてください。

山口校長:設立は1947年で、当時は和光市唯一の中学校でした。その後、町の人口増加に伴って第二中学校、第三中学校ができ、現在は市内3つの中学校のうちの一つとなりました。2020年5月時点で生徒数は804人、1学年7~8クラスとなっています。昔は近隣唯一の中学校だったことから、「大和中学校が母校」という人も多く、地域の方々に愛されている学校だな、と感じることがとても多いですね。例えば、2019年に野球部が全国大会に出場した際には、多くの方が我が事のように喜んでくれ、寄付もたくさん寄せられました。本当に恵まれているなと思います。

主体的な意識を育む教育方針

――教育目標の一つにもありますが、あいさつ運動には力を入れていると聞きました。

山口校長:そうですね。クラスや部活でもあいさつは大事にしていますが、週に1度水曜日はあいさつ運動の日として、校門で登校してくる子どもたちにあいさつをしています。あいさつする側は教職員にPTA、地域の方々だけでなく、子どもたちも委員会や部活動単位で交代で参加。実際にやってみるとあいさつする側の気持ちもわかりますし、登校してくる友達もあいさつしやすかったりするので、メンバーをいろいろ入れ替えながら1年を通じて行っています。毎年1年生の1学期はなかなかあいさつできませんが、夏休みを経て2学期ぐらいになると、1年生もしっかりあいさつできるようになってくるんですよ。 私がすごく嬉しく思うのは、きちんと顔を見てあいさつできる子が多いこと。子どもたちはとても素直ですし、先生もしっかりとそういうところまで指導してくれているようです。

あいさつ運動が実施されている「和光市立大和中学校」校門
あいさつ運動が実施されている「和光市立大和中学校」校門

――学力面では、どのようなことを重視しているのですか?

山口校長:文科省の学習指導要領に示された「主体的・対話的で深い学び」に則って、自分で考え、友達と意見を交換しながら、さらにその知識を深めていくという学習スタイルを重視しています。授業の中でも取り組んでいますし、特別活動でも話し合いに重点を置いて、自分の意見をはっきり言うこと、友達の意見をしっかり聞くこと、お互いを認め合うこと、話し合って折り合いをつけることなどを大切にしています。また、お互いに協力して教え合いながら学習を深めるジグソー法や、意見を交わす中で気づいたお互いのいい所を小さなカードに書いて知らせ合う方法など、新しい手法も取り入れながら実践しています。 このようなやり方は、特に今の3年生にはしっかり根付いていて、何でも主体的にやっていこうという意識が強いですね。

夏休みの補習授業の様子
夏休みの補習授業の様子

――例えば、どのような授業や活動を行われているのでしょう?

山口校長:当校は、災害時の避難場所になっており、実際に2019年に台風19号が来た時は35、6名の避難者が来られました。そういう背景から、子どもたちの防災意識を変えていこう、いざ避難者が来た時には何かお手伝いできる意識をもってほしいとの思いで、防災安全対策も行っています。 その一環として先日は、保健委員会と安全委員会の子どもたちで「避難所設営ゲーム」というカードゲームをやってみました。これは、災害が起きて地域の方が避難して来られた時、学校のどの施設を開放するか、どこに何を設置するか、外国の方、お年寄りとその家族などいろいろな条件の方が来られた時、どう対処するか?といったことを、シュミレーションするゲームです。学年ごとのグループに分かれて、学校の図面や航空図を見ながら「校舎の1階は開放するけど2階はダメだね」とか意見を出し合って、みんなで話し合っていくわけです。 子どもたちも楽しそうに取り組んでいましたし、身の回りの課題を自分事として捉えることで、主体的に活動できる子たちを育てることにもつながるかと思っています。

「避難所設営ゲーム」の様子
「避難所設営ゲーム」の様子

一生懸命な姿勢が浸透している部活動

――クラブ活動や行事では、どのような特色がありますか?

山口校長:当校は、話すのが本当に上手な子、しっかり心が伝わるように話せる子が多いのですが、それは放送部の存在が大きいかなと思います。当校の放送部は、元々NHKにいらっしゃった方がコーチとして入ってくださっていて、部員の中にはNHKコンクールの放送部門やアナウンス部門で活躍している子も何人かいますし、市が主催する3.11追悼コンサートで詩を朗読したり、図書館主催のビブリオバトルに参加したりと多彩に活動しています。もちろん、毎日の校内放送や文化祭などの放送も彼らですね。話すことについてすごく上手なお手本が子どもたちの中にいるので、そこから学び、しっかりした話し方が浸透しているのは当校の特色の一つと言えるかと思います。

――部活動も盛んなのですね。

山口校長:ええ。放送部だけでなく、2019年には野球部が関東大会優勝、全国大会ベスト8に入りました。当時は、エースピッチャーが女の子だと話題になりましたね。野球部が偉いなと思うのは、練習も真面目にやっているんですが、毎週水曜日に地域のごみ拾いをしたりしているところです。そういった心の育成ということも加えて、周りに愛されるチームであったことも、すばらしい成績を残せた一因かと思います。 ほかの部活への刺激にもなりましたし、テニスや卓球、女子バレー、吹奏楽など、みんな頑張っています。何より、自分の部活が大好きで、一生懸命取り組むという姿勢が浸透していますね。体育祭も全員参加で楽しむ雰囲気があり、仲間はずれが非常に少ないのは当校の自慢です。

2019年 第44回関東中学校軟式野球大会の様子
2019年 第44回関東中学校軟式野球大会の様子

地域とのつながりを大切にした教育活動

――地域の方々とはどのような交流があるのでしょうか?

山口校長:元PTAの方や地域の方からなる「おやじの会」という組織があって、草取りや不用品の廃棄など、学校の環境整備に取り組んでくださっています。年に一度は、地域の方と生徒会が中心になって「飛翔祭」というお祭りも開催しています。飛翔祭では、部活ごとに、例えばボールを投げてナンバーを抜くピッチングゲームのような出し物や出店を出して、訪れた小学生や地域の大人に遊んでもらったり。2019年は少し形を変え、公開授業に合わせて開催し、小学生に好きな部活を体験してもらいました。 また、放送部をはじめ、テニスやソフトボール、バレー、卓球など、さまざまな部活に、それぞれの技術を持った方が、ほぼ無償に近い形にもかかわらず生徒のためにと熱心に教えに来てくださっています。そういう面でも、とても恵まれた学校だと思います。

「飛翔祭」での小学生に向けた部活体験の様子
「飛翔祭」での小学生に向けた部活体験の様子

――コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)も始まっていますね。

山口校長:学習面などいろいろな面で地域と連携していこうという流れで始まり、地域のボランティアで中学生のための学習の場を提供していらっしゃる「勉強カフェわこう」さんにも入ってもらったりしています。学校内で、出前授業のような形でテスト前の勉強をみてもらったり、基礎からわからない子が集まれるように場所を作ったりと、学習支援を行っていただいており、本当に感謝しています。

――今後、力を入れて取り組んでいきたい教育活動について教えてください。

山口校長:当校の教育目標の第一は「努力で輝く大和中生」、すなわち自彊(じきょう)し、自分で考えて行動できる子どもを育てることです。AIがいくら進化しても、判断は人にしかできませんから、ここで何をすべきか、何をすればいいのか判断できる子に育ってほしいと思います。そして、そういう子が地域の中で存分に活動できるように、地域社会との連携を深めていきたい。可能なら、地域の人にも学校に来てもらい、いろいろな職業の方の話を聞いて、子どもたちの心が動けば体験できるようにしていきたいですね。そうした連携の強化は、コミュニティ・スクールとしても大切だし、SDGs(持続可能な開発目標)にも叶う、これからの学校のあるべき姿だと考えています。 人として育つための基盤を、地域学習・社会学習を通して、中学校のうちにたくさん経験させてあげたいですね。

「和光市立大和中学校」外観
「和光市立大和中学校」外観

――最後に、和光市エリアの魅力を教えてください。

山口校長:私が和光市に来たのは校長に就任してからでまだわずか5年ですが、都内までの交通の便もよく、駅前はどんどん施設が整備されて活性化しており、非常に伸びている町だなと感じています。福祉も非常に充実しますし、お年寄りがいきいきと活動されていて、サークルなんかも非常に多彩。いろんな経験を持った方がいらっしゃるので、子どもたちも非常にバラエティに富んでいる、躍動感のある町ですね。 東京に出るのも比較的簡単ですから、選択肢が多いのも魅力です。例えば当校にも、スラックラインやフェンシング、カートなど、あまり部活動では見かけないようなスポーツに取り組んでいる子もいます。年代問わず何かにチャレンジしようという人が多く、やろうと思えば何にでも挑戦できるのは、素晴らしいことだと思います。

地域社会と連携しながら、主体的に行動できる子どもを育てる「和光市立大和中学校」
地域社会と連携しながら、主体的に行動できる子どもを育てる「和光市立大和中学校」

和光市立大和中学校

山口真司校長先生
所在地 :埼玉県和光市丸山台2-8-8
電話番号:048-461-2143
URL:http://yamato.wako-city.ed.jp/
※この情報は2020(令和2)年9月時点のものです。

地域社会と連携しながら、主体的に行動できる子どもを育てる/和光市立大和中学校
所在地:埼玉県和光市丸山台2-8-8 
電話番号:048-461-2143
http://yamato.wako-city.ed.jp/