世田谷区野沢児童館 館長 仲田さん インタビュー

行事を通じた地域との交流も活発。乳幼児親子から高校生まで利用する「世田谷区野沢児童館」


世田谷区の閑静な住宅街の中にある「世田谷区立野沢児童館」は、今年35年目を迎える児童館。地区会館のワンフロアを使った小さな児童館ながら、ボール遊びやバンドの練習など子ども目線に立った設備と自由な風土がある。さらに、年に一度の児童館のお祭りには、200人以上もの人たちが応援にかけつけ、例年2700人以上もの人々が訪れるという。今回は館長の仲田さんにこの「野沢児童館」の魅力についてお話を伺った。

館長の仲田さん
館長の仲田さん

――まず、「野沢児童館」の概要について教えてください

仲田さん:児童館は世田谷区内に25か所ありますが、当館はその中でも規模の小さい館になります。1982(昭和57)年6月にもともと幼稚園があった跡地に開館し、今年で35年目を迎えます。
施設としての特徴は、まず「グランドがある」ということでしょうか。バスケットボールやサッカーなどもできますし、区内でグランドがある児童館は珍しいと思います。当館は住宅地の真ん中にありますが、子どもたちの声に苦情などもなく、長年グランドで火を焚くような活動も継続できていたりと、周囲の方のご理解があってこそ運営できている児童館です。

世田谷区内では小規模の児童館
世田谷区内では小規模の児童館

館内はプレイルーム、ブックコーナー、幼児コーナー、授乳室、相談室といった、児童館として必要な設備は整っています。さらに、当館の特徴でもある「ミュージックルーム」にはドラムセットとピアノが置いてあります。こちらは児童館ができた時に、地域の方が寄付してくださったそうです。

ドラムセット
ドラムセット

――児童館の利用状況を教えてください

仲田さん:午前中は乳幼児さんが中心ですね。曜日によって、0歳児向けの「はいはいひろば」、1歳児向けの「よちよちひろば」、2~3歳児向けの「わんぱくサークル」などをやっていますので、そちらに参加される方が多いです。
昼食後になりますと、近くの幼稚園帰りのお子さんと保護者の方が多く来られます。その後、学校が終わる午後3時ごろからは小・中学生が多くなりますね。1日平均90名くらいが利用しています。

畳スペースもある
畳スペースもある

――子どもたちはここでどのような過ごし方をしていますか?

仲田さん:乳幼児さんについては保護者の方と同伴でお願いしています。小・中学生はホールでドッジボールをしたり、グランドでバスケットをしたりという子もいれば、ゲーム機を持ってきて遊ぶという子も多いですね。
当館では原則として「持ち込み自由」にしています。ほかでは禁止している館もありますが、やはり児童館は子どもたちにとっての「放課後の居場所」でもあるので、制約をかけるのは本来の姿ではないのかな、と思います。ですから、自由としたうえで、「自分のものは自分でちゃんと管理する」という力も育成していきたいと思っています。

バスケットゴールのあるグラウンド
バスケットゴールのあるグラウンド

――「野沢児童館」独自の組織として「NLP」(野沢児童館リーダープロジェクト)というものがあるそうですね。

仲田さん:「NLP」というのは、児童館を利用している子どもたちのうち、小学校高学年から中高生の子たちで組織しているもので、児童館の活動を日頃から支えてくれるサポーターのような組織です。児童館の行事に率先して参加してもらったり、地域の行事に参加してもらったりという活動が中心です。
ただ実際には、最近は小学生でも習い事が多かったり、中学生は部活があったりと、児童館の活動に参加しづらい状況がありますので、「NLP」は「加入」という考え方ではなくて、「行事に参加した人は、みんなNLPのメンバーなんだよ」という方向性でやっています。

仲田館長
仲田館長

――児童館ではさまざまな行事もされていますね。

仲田さん:児童館が主催する行事としては、当館のいちばん大きなお祭りでもある10月の児童館子どもまつり「えんにち」が毎年行われています。このほか、8月の「サマーキャンプ」や、2月の「ウインターキャンプ」が、泊まりがけで行く大きな行事ですね。

「えんにち」については、毎年10月の第3日曜日に行っておりまして、当初は児童館のグランドでやっていましたが、年々参加者が増えてきたので、最近は隣の「世田谷区立旭小学校」のグランドと校舎の一部をお借りして行っています。1日だけの行事なのですが、例年2700名くらいの来場者があり、これは区内の児童館のお祭りとしては一番の来場者数だそうです。
ですので、このお祭りを子どもたちも非常に楽しみにしていますし、たくさんの地域の方が関わってくださっています。地域の方のお手伝いだけでも200名以上、そして「NLP」や「BOP」の子どもたちも200名以上がスタッフとして関わってくれているので、非常に盛り上がるイベントになっています。

サマーキャンプの様子。沢で遊ぶ子どもたち
サマーキャンプの様子。沢で遊ぶ子どもたち

夏のキャンプについては、2泊3日で丹波山村にキャンプに行って、飯盒炊爨(はんごうすいさん)やキャンプファイヤーも体験しながら野外活動をしています。こちらは先輩でもある「NLP」のメンバーが非常に活躍してくれていてとても頼もしいです。みんなで宿泊をともなって、別のところで生活をするという体験は、子どもの自立にも役立っているのかと思います。

サマーキャンプの様子
サマーキャンプの様子

――地域との交流を大切にしている児童館と聞いています。その想いについて教えてください。

仲田さん:ここは住宅地に囲まれた児童館ということで、地域の理解と協力があって成り立っているものですから、地域との交流や連携はとても大切だと考えています。
児童館の役割のひとつは、「ネットワーク作り」だと考えていますので、地域の中にあるいろんな団体さんとつながって、子育てのさまざまな悩みに対応していきたいと思っています。相談を受けたら、「こんな団体さんがあるよ」と紹介してあげられるような体制が整っていますし、今後もさらに充実させていきたいと思っています。

子どもたちとのたくさんの思い出を大切に
子どもたちとのたくさんの思い出を大切に

また、児童館は乳幼児から18歳までというイメージが強いかもしれませんが、実は、妊産婦の頃から「お子さん」ということで位置づけていますので、妊産婦さんの相談にも対応していますし、妊産婦さん向けの講座を開いていたりもします。やはり妊産婦の時期には、できるだけ近くの施設で、さらにこういった、実際に乳幼児さんが来ている施設で相談できるのが一番だと思いますので、そういった呼びかけにも力を入れているところです。ここに来れば先輩のママ達もいますから、妊産婦の方も、不安をひとりで抱えずに、ぜひこちらに相談に来ていただきたいですね。

――今後力を入れていきたいことを教えてください

仲田さん:「地域に信頼される児童館」でありたいとも考えています。保護者の方から「児童館に行ってよかったわ」と言っていただけるような児童館を目指したいですね。最近は少子化の影響もあって、街中から子どもの歓声が聞こえなくなってしまいましたけれども、そんな時代であっても、「いつも児童館から子どもの声が聞こえてきて安心です」と言っていただけるような、地域に浸透した児童館であり続けたいですね。

行事の写真などを一枚一枚アルバムに
行事の写真などを一枚一枚アルバムに

――最後に、この街の魅力について教えてください!

仲田さん:このあたりは住宅地ですから、非常に閑静なところですね。また同時に、安全でもあると思っています。長く住んでおられる方が多いですから、地域の中でのつながりもあり、地域の目が行き届いているんですね。そういう点については、新興住宅地にはない魅力かと思います。子育てを安心してできる地域という意味では、このエリアはとても住みやすい場所だと思います。

世田谷区立野沢児童館
世田谷区立野沢児童館

世田谷区立野沢児童館

館長 仲田さん
所在地 :東京都世田谷区野沢1-8-14 野沢地区会館2F
電話番号:03-3418-5578
URL:http://www.city.setagaya.lg.jp/shisetsu/1209/1249/d00007092.html
※この情報は2018(平成30)年6月時点のものです。

行事を通じた地域との交流も活発。乳幼児親子から高校生まで利用する「世田谷区野沢児童館」
所在地:東京都世田谷区野沢1-8-14 野沢地区会館2F
電話番号:03-3418-5578
開館時間:9:30~18:00
休館日:月曜日、第2・第4日曜日、祝日(月曜日と重なった場合は翌日も休館)、年末年始(12/29~1/3)
http://www.city.setagaya.lg.jp/shisetsu/..