地域とのつながりを大切にし、一緒に子どもたちの成長を見守る/川崎市立小倉小学校 校長 佐川昌広先生
1954(昭和29)年に開校した「川崎市立小倉小学校」。2014(平成26)年に開校60周年を迎えた。今では、資源エネルギー庁から「エネルギー教育モデル校」に選定され、教科の枠を超えて、児童たちはエネルギー環境について学んでいる。また小倉小学校は、地域とのつながりを大切にしているという。そんな「川崎市立小倉小学校」の特色と地域の魅力について、校長の佐川昌広先生にお話を伺った。
エネルギー環境教育に力を入れる小倉小学校
―まずは学校の沿革を教えてください。
佐川校長:今年で創立62年になります。2014(平成26)年に60周年記念式典をやったのですが、ちょうどゴジラと同じ歳ですね。高度経済成長期が始まった頃にできた学校です。「日吉小学校」が近くにあるんですが、そこから分かれる形で開校しました。
―小倉小学校ならではの取り組みはありますか?
佐川校長:2016(平成28)年から経済産業省の資源エネルギー庁から「エネルギー教育モデル校」に選定されました。理科や社会などの各授業の中で、エネルギー環境教育に関わる取り組みを行っています。矢上川や多摩川の探検、ビオトープの整備などの他、川崎市はエネルギーなどの環境技術に力を入れているので、そのような企業や省エネの活動をしている市民団体に出前授業をしていただいています。また、発電所や市内の工場地帯の見学にも行っています。2015(平成27)年には児童に学校で、どんな省エネやエコに取り組んでいるか調べてもらいました。
「基本的なこと」を大切にする教育方針
佐川校長:朝の集会の時間や中休みの時間を使った、縦割り活動に力を入れています。グループに分かれて縦割り班を作り、一緒に遊んでいます。縦割り活動を始めてから、高学年が低学年の面倒をみるということが増えてきたので、高学年がしっかりしてきたといいますか、自覚を持つようになったと思います。
学習面では国語の研究を行っています。「お互いの良さを認め合いながら話せる子、聞ける子」をテーマにしており、これもコミュニケーション能力の育成にとても効果があると思っています。
こういったテーマで授業を進めていると、国語以外の他の教科でも、相手の話をよく聞くことができ、相手のことを認めながら話し合う力がついてきたかなと思います。
佐川校長:もう一つ特徴的なこととして、「おぐらほっこりブック」を創立60周年の際に作りました。簡単に言うと、小倉小学校のルールブックです。「挨拶しよう」や「話は最後まで聞こう」など、日頃の生活の中で大切なことを書いており、この「おぐらほっこりブック」を使って学級経営をしています。例えば、クラスの目標についても、「今週はどの目標にしようか?」とこの本から選んで実践するようにしています。
このように他の学年の子と仲良くしよう、話し合いのときは相手の話をちゃんと聞こうといった、基本的なことを大切にしています。国語の研究にしても、このようなブックにしても、縦割り活動にしてもそうです。
また、「挨拶をしよう」というテーマで、1997(平成9)年から毎年、全校児童で挨拶のポスターを作っています。制作したポスターは、体育館側の塀の外に向かって全員分を掲示しています。
長年続く、地域とのお付き合い
―地域や保護者と協力して取り組んでいることはありますか?
佐川校長:保護者の方には旗当番を毎朝してもらっています。保護者の方に、自分の住んでいる地域の各ポイントに旗を持って立ってもらうんです。子どもたちを交通事故から守ろうということから始まりましたが、これはもう46年も続いています。
町内会の方々とも協力していろいろとやっています。学校の運動会とは別に、町内会の運動会があり、子どもたちが中心となって開催しています。秋の敬老会では、お年寄りのために子どもたちが踊ったり、太鼓の演奏をしたりします。逆に地域の方たちは、授業のために福祉体験や、火おこし体験などの支援をしてくださっています。そのほかにも、七夕シーズンには笹を農家の方にいただくなど、本校は地域の皆さんに支えられています。
また「地域ふれあいの会」という「川崎市立南加瀬中学校区地域教育会議」があります。「川崎市立南加瀬中学校」、「川崎市立小倉小学校」、「川崎市立南加瀬小学校」、「川崎市立夢見ヶ崎小学校」の4校と、地域の方々が「地域ふれあいの会」というものを開いて、子どもたちのためにいろいろな遊びのコーナーを作ってくれたり軽食を作ってくれたりします。2年ごとに交代制で各学校で開催されるのですが、2014(平成26)年と2015(平成27)年は本校が会場となりました。
昔遊びとして、地域の方に教えてもらいながらタコを作ったり、消防車に来てもらって、煙や非常食などの防災体験をしたりしました。
昔ながらの自然を残しながら発展する小倉地区
―最後に、小倉エリアの魅力や子育て環境の魅力について教えてください。
佐川校長:小倉の町内会がまとまっているので、町内会の運動会や敬老会とか、小倉神社のお祭りも皆で仲良くやっています。小学生の女の子たちが、着飾って神社で舞を舞う、「舞姫」という出し物もやりますよ。
―住環境はいかがでしょうか。
佐川校長:新川崎に出れば東京も近いし、横浜も日吉からいけるので便利です。また、昔から自然が残っているんですよ。鶴見川や矢上川が近く、加瀬山という山には「夢見ヶ崎動物公園」があり、自然豊かな環境となっています。今でも多くの野鳥がおり、キツツキの仲間も飛んできます。一方で、新しい商業施設もできつつあるので、買い物の場所など、小倉周辺はこれから変わっていくと思います。だんだん新しくなってきていながらも、昔ながらの自然が残る、便利さと自然が共存する街になっていくと思います。
川崎市立小倉小学校
校長 佐川昌広先生
川崎市幸区小倉2-20-1
TEL :044-588-3331
URL:http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke203301/
※この情報は2016(平成28)年7月時点のものです。
地域とのつながりを大切にし、一緒に子どもたちの成長を見守る/川崎市立小倉小学校 校長 佐川昌広先生
所在地:神奈川県川崎市幸区小倉2-20-1
電話番号:044-588-3331
http://www.keins.city.kawasaki.jp/2/ke20..