義務教育学校霧が丘学園 校長 出口晴基先生 インタビュー

切れ目のない9年間の教育を実践する「義務教育学校霧が丘学園」


「義務教育学校霧が丘学園」は、県内初となる義務教育学校として開校。2015年の学校教育法改正によって新たに生まれた校種で、同学園は小中一貫校を経て、2016年に義務教育学校へと移行した。小学部と中学部との距離が近いということではなく、あくまでも同じ学校。中学部の校舎を訪ね、同学園の学校長にお話を伺うことにした。

義務教育学校として

義務教育学校霧が丘学園
義務教育学校霧が丘学園

――まずは、学校の沿革・概要について聞かせてください。

出口さん:本学園は、学校教育法改正により新設された義務教育学校です。義務教育学校について語るより前に、まず本学園の沿革から述べさせていただきます。1979年に「霧が丘第一小学校」が開校し、その3年後には「霧が丘第二小学校」が開校。そして2年後には「霧が丘第三小学校」が開校したわけですが、生徒数の減少によって三校が統合して「霧が丘小学校」となり、さらに「霧が丘中学校」と小中一貫校「霧が丘小中学校」になりました。そして現在の義務教育学校になったのは2016年のことです。

児童数についてですが――本学園では1年生~9年生という呼び方をしますが――1年生80名、2年生87名、3年生101名、4年生89名、5年生97名、6年生108名と個別支援学級22名を加えた584名が小学部の生徒数です。一方の中学部には7年生96名、8年生96名、9年生113名に個別支援学級6名を加えた311名が在籍しています。

出口晴基先生
出口晴基先生

――“義務教育学校”のメリットについてどのようにお感じですか?

出口さん:中1ギャップが発生しにくいということがまず挙げられます。環境面での大きな変化はないので、新たな環境に適応できるかどうかという心配はありあせん。教員間での連携や情報共有もしやすいので、生徒に対してより長期的かつ細かな対応ができます。

1年生にしてみれば9年生は“お兄さん・お姉さん”。頼れる存在が身近にいることで安心感を得られますし、反対に中学部の生徒にとっても頼られることで自己有用感が得られ、上級生であることの自覚が芽生えます。両者は互いに刺激し合いながらよい関係を築いているように思います。

生徒同士互いに刺激し合う関係
生徒同士互いに刺激し合う関係

――小・中学部の交流活動に関してですが、少し具体的に聞かせてください。

出口さん:“きりたま”を冠した交流事業が幾つもあります。3学年混合で給食を取る「きりたま給食」や、その時々で内容が変わる「きりたまタイム」、「きりたま音楽会」などです。内容によっては1年生が9年生の教室を訪ねることもありますし、その反対もあります。懐かしいと感じている9年生と、イスに座っても足がつかない小さな1年生が目を輝かせている光景も見られるのです。

部活動については6年生の11月から入ることができるので、桜の咲きはじめる頃には部の戦力になっています。他には、9年生による修学旅行の報告会や、中学部の生徒総会立会演説会に6年生も来てもらい、自分たちが中学部に進んだときのことをイメージする機会も設けています。

「きりたまタイム」の様子
「きりたまタイム」の様子

――“義務教育学校”ならではの授業の進め方はありますか?

出口さん:授業の乗り入れができることですね。条件を満たしている範囲内において、中学部の先生が小学部に赴いて授業をすることもあります。また、小学部の理科室に置いてある顕微鏡の数が足りないといった場合などに、中学部の校舎に移動するというケースもあります。どれだけ距離が近くても学校が違ったら簡単にはできません。これらは同じ学校だからこそ可能なことなのです。

小学部、中学部間での授業の乗り入れ
小学部、中学部間での授業の乗り入れ

地域に見守られて

――地域や保護者との連携についてはいかがでしょうか。

出口さん:「霧が丘連合自治会」は、会長さんのリーダーシップのもとで、防災・防犯・教育の三分野で日本一を目指し、海外視察の支援をはじめ様々なサポートをしてくださいます。また、読み聞かせをしてくれる方や、「旧・霧が丘第三小学校」の跡地を利用した「霧の里」の畑で、農業体験を手伝ってくださる方もいて、我々としては大変感謝しております。

防災・防犯・教育の三分野で日本一を目指している
防災・防犯・教育の三分野で日本一を目指している

――霧が丘エリアと生徒さんの印象について聞かせてください。

出口さん:本学園の周辺に関して言えば、グラウンドの南側は清々しい気持ちにさせてくれる緑があり、小学部の児童が安全に通学できる赤道が整備されています。生徒の印象については、その多くが大人を信頼し敬意の念を持っているように感じます。家庭における親子関係がうまくいっていることが大きいのではないかと思います。また、校舎を歩いていただくと分かると思いますが、光を反射させるほどに廊下がきれいです。用務員さんがいつもきれいにしてくれることに加え、生徒たちも丁寧に使っているからに他なりません。落ち着いた周辺環境と同様に、理知的で落ち着いた生徒が多いですね。

校長 出口晴基さん
校長 出口晴基さん

横浜市立義務教育学校 霧が丘学園

校長 出口晴基さん
所在地:横浜市緑区霧が丘4丁目3番地(小学部),4番地(中学部)
電話番号:045-921-8005(代表)
URL:http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es-jhs/kirigaoka/
※この情報は2018(平成30)年10月時点のものです。

切れ目のない9年間の教育を実践する「義務教育学校霧が丘学園」
所在地:神奈川県横浜市緑区霧が丘4丁目
電話番号:045-921-8005
http://www.edu.city.yokohama.jp/sch/es-j..