ニュータウン都市計画で開校した中学校

地域全体で子どもを育てる。 未来を育む横浜型小中一貫教育とは。/横浜市立荏田南中学校 校長 榎登志裕先生


横浜市立荏田南中学校
校長 榎登志裕先生

地域全体で子どもを育てる。
未来を育む横浜型小中一貫教育とは。

「横浜市立荏田南中学校」は横浜市の「港北ニュータウン30都市構想」のもと、1982(昭和57)年9月1日に開校した中学校である。「心と体 個性 共生と自立」をキーワードに、体験学習を多く取り入れ、生徒たちが集団生活の中で自分を見つめ、伸ばす力を育んでいる。今回はそこで指導を続けておられる榎登志裕 校長先生に、「横浜市立荏田南中学校」の現状についてお話を伺った。

学校の概要を教えてください。

江田南中校長榎先生
江田南中校長榎先生

健やかな心と体を育てる「心と体」、自分の気持ちを大切にし豊かに表現する力「個性」、お互い協力し合い高め合うなかで、課題を追求する「共生と自立」、この3つを教育目標に掲げています。

現在1年生253名、2年生289名、3年生262名の全校生徒804名でです。1983(昭和58)年9月に創立した本校は今年で30周年を迎え、校舎外壁に美しく塗装をほどこしました。

特徴ある取り組みとしてオアシス運動がありますね

横浜市立枝荏田中学校インタビュー
横浜市立枝荏田中学校インタビュー

お:おはよう
あ:ありがとう
し:しつれいします
す:すみません
以上の頭文字からとった「オアシス運動」は17年前、日本の中学校が少し荒みはじめた頃にPTAと地域の方々の発案で始まった運動です。子どもへの声をかけからコミュニケーションを図ろうという取り組みでした。

私が5年前に就任するまでは、PTAと地域の方々が中心でしたが、折角なら先生方も声掛けに参加しようと、朝8時20分からの打ち合わせ終了後の15分間、副校長だけは職員室に残ってもらい全ての教師が子どもたちを出迎えています。

江田南中 校庭
江田南中 校庭

先生方と保護者も話ができますし、何より子どもの登校の様子を担任が見ることができる。たった一言の挨拶ですが、子どもと先生、先生と保護者の距離も縮まり、非常にプラスになっている運動です。これによって子どもたちの朝の声も昨年よりは大きな声になり、なんと遅刻者もゼロになるなど、大きな変化がありました。

日々の教育活動で心がけていらっしゃることはありますか?

江田南中廊下
江田南中廊下

私は日々、学校では「子どもが主役」だということを、先生方には伝えています。子どものプラスになることであれば、教師はどんなことでもやるべきです。では学校内で何が子どものプラスになるのか、それは「楽しい授業」をして子どもたちに勉強の楽しさを教えること。そのためには授業研究をしっかり行い、教師の授業力をつける必要があります。

横浜市立枝荏田中学校インタビュー
横浜市立枝荏田中学校インタビュー

また授業を客観的に見て改善することも大切ですので、地域やPTAの方が学校にいらした時は、必ず授業に入っていただいてます。いつ誰が見に来るか分からない状況では、先生方にも子どもたちにも緊張感が生まれ、より質の良い授業内容になるはずだと考えるからです。

体験型の授業を多く盛り込んでいるとお聞きしました。

横浜市立枝荏田中学校インタビュー
横浜市立枝荏田中学校インタビュー

キャリア教育の一環として、中学1年では地域の方から仕事に関する講演をしてもらい、中学2年では2日間の職場体験を実施します。老人ホームなどの福祉施設、市役所などの公共施設、新聞社や小売店など、子どもたちの希望を聞いて(希望通りにいかないこともありますが)それぞれ体験先に派遣します。外から見ているのと、実際に働くのは大きな差がありますので、子どもたちは随分いろいろなことを学んで帰ってくるようです。やはり自分で体験し、感じることが大切です。

横浜市立枝荏田中学校インタビュー
横浜市立枝荏田中学校インタビュー

そして中学3年になると、いよいよ将来の進路選択に絡んだ教育ということで、3年間を通しそれぞれの年齢に合わせたキャリア教育を行っています。

小学校との交流も積極的に行っていらっしゃるそうですね?

横浜市立枝荏田中学校インタビュー
横浜市立枝荏田中学校インタビュー

横浜型小中一貫教育ということで、9年間を見通した一貫教育を推進しています。小学4年生と中学1年の子どもたちがお互いの合唱コンクールの歌を発表し合う「歌の交流」や、中学1年生が小学校のクラブ活動に参加して指導をしたり、本校の吹奏楽部が小学校に演奏訪問をしたりと、子ども同士の交流も盛んです。

地域との関わりも多いとお聞きしました。

江田南中校舎
江田南中校舎

こちらの地域の方々はパワフルで、学校への協力も惜しまずにしてくださるので、非常にありがたく思っています。だからこそ、私たちは「中学生を地域へ送り出したい」という思いがあります。小・中・高の子どもたちが地域清掃を行う「クリーンクリーン活動」や地域の祭りへの参加、ボランティアなど、機会があれば子どもたちを地域に派遣しています。

横浜市立枝荏田中学校インタビュー
横浜市立枝荏田中学校インタビュー

一緒に働いてもらうことで、地域の方々は中学生を見直してくれる、そして子どもたちは自分が役に立ち喜ばれたことで自信がつく。こういった交流を通して、地域全体で子どもを育てるという意識になれば嬉しいと思います。

江田南中校長榎先生
江田南中校長榎先生

今回、話を聞いた人

横浜市立荏田南中学校
校長 榎登志裕先生

所在地:横浜市都筑区荏田南2-5-1
電話番号:045-942-0960

※記事内容は2013(平成25)年11月時点の情報です。

地域全体で子どもを育てる。 未来を育む横浜型小中一貫教育とは。/横浜市立荏田南中学校 校長 榎登志裕先生
所在地:神奈川県横浜市都筑区荏田南2-5-1 
電話番号:045-942-0960
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